30おんな・喜怒哀楽
1.Apr.2004 Up Dated

ズバリかわいげ

ここ数年のテレビ番組は、恋愛バラエティがダントツ強い。芸能人同士がメールのやり取りをし、ほど良いころにご対面してデート、はてさて? という設定もむやみに多い。金曜日の23時、TBSの「恋するハニカミ!」もそんな番組のひとつ。先日、たまたまなんとなく観ていると、華原朋美がケイタイをもって浮かれているではないか。これから、正体を知らされぬままにケイタイでやりとりしていた誰かとご対面デートらしい。 お風呂に入ろうとしていたが、ついつい思わず座り直す。

デートの相手は、格闘家の武蔵だった。日比谷公園で待ち合わせして、いよいよご対面 。あのまんまのキャラのともちゃんとテレテレの武蔵、 デートはともちゃんリードで始まった。確か最初に向かったのは、ケーキの食べ放題。
「私が食べさせてあげる」と10皿分? のケーキをひたすら食べさせられる格闘家武蔵。大食漢の格闘家とはいえ、明らかに限度を越えているはずの顔。すでにともちゃんワールドにメロメロになりつつあった彼は、なされるがままにケーキを食べ続ける。それでも食べてしまう男心と、ともちゃんの巧みなハンドリングは、そこに恋愛の神髄を見た気がした。

ケーキ食べ放題の後は、銀座を散歩しながらカラオケにいくのだが、その間のともちゃんの甘えんぼうぶりは、拍手喝采なのだ。「手つないでいい?」と巨漢武蔵を見上げるときの目といい、声といい、ケイタイカメラで写真を撮るときだって、片手を放さざるをえなかったら、空いているほうの手でしっかりタッチ。そして、写真を撮った後のリアクションも「わーい」みたいな。とにかくかわいい。抱きしめちゃうぞって100%思うはず。不思議なことに、これが佐藤玉緒なら日本全国の女を敵に回しそうなものだが、女の私も惚れた。たぶん武蔵も本気で惚れたはず。やはりあれが佐藤玉緒なら「計算」っぽいのに、ともちゃんだとカメラ忘れて彼に接してるように見えるから不思議。ちゃんと恋してるように見える。純粋さがちゃんと伝わるから、単純にカワイイと思えるのかも。

オチとしては夜20時、大阪に帰らなくてはいけない武蔵に、何度も何度も「帰らなくちゃダメ?」とさみしげな顔で聞き、しまいには東京駅の前で泣き出してしまう。カメラがなかったら絶対キスしてただろうという盛り上がりっぷり。泣き出したまま止まらないともちゃんを抱きしめて、頭を撫でなだめる。後ろ髪を相当引きずられながら、立ち去る武蔵選手だったのでした……。

イラスト

さて! これを見終わった私は、猛烈に感動した。ふたりの恋物語にではなく、ともちゃんの女っぷりに。それぞれの見解はあろうとも、少なくともあれだけ女っぷりをムンムンとフル活用させても、見苦しくなく、いやらしくないともちゃんの実力は感動に値する。冷静に考えれば、始終ああで、付き合って一年経ってもああで、結婚してもああだと、正直「いいかげんにしろ」っていう話。しかし、少なくとも恋愛初期において、女は本来の自分プラスともちゃん的要素が少しでもあるほうが、ことは円満に運ぶだろう。つまり、感情に素直であるということ。

先日、ハワイへ取材旅行へ行った。その時にご一緒したカメラマンの衝撃発言を聞いてほしい。最近話題の酒井順子さんの著書、「負け犬の遠吠え」をみなさんもうご購読いただいたでしょうか? 「30代、未婚、子なし」の女を「負け犬」とカテゴライズし、負け犬の著者自身が負け犬的人生、恋愛、結婚、趣味、傾向などなどについて淡々と書き綴っている。やはり負け犬である私は、数人の負け犬である編集者たちに強く薦められ、ハワイの旅のお供にこの本を持っていった。ハワイ取材時の編集者も同じく負け犬で、偶然にも先日ある業界誌のブックレビューにこの本の書評を書いたばかりだという。

そんなこんなでハワイの道中、この本の話題や負け犬という言葉は、ひっきりなしに飛び交っていたわけである。本の中の一文に「負け犬は、男性と食事しテーブルを立つ時に、迷わず自分が伝票を持つ」というようなことが書いてあったので、この一例を引っぱり出して、バツイチでお姉ちゃんには一家言ありそうなカメラマン氏に「こういうのってどう思います?」と男性サイドの意見を求めた。そして一言。「結局は、かわいげがあるかどうかだけの話なんだよ」

車移動中の出来ごと、車内の空気が張り詰めた。
「っていうことは! 極論、かわいげさえあれば、女は何をやっても許されるということですか??」掘り下げる私。
「そうそう、そういうこと」
これには負け犬ふたりものけぞり、あまりにも的を得たコメントに、ただただうなずくばかりであった。
「では、そのかわいげとは?」という話しに及ぶと「もって生まれた資質」との身も蓋もない返事。

かわいげなく生まれついた女に、愛される資格はないというのか!! そうかも。この話を周囲の負け犬友だちに切々と語ると、誰ひとりして反論を唱える者はいなかった。むしろ、誰もがハッとした顔で「そうだよね……。そうかー……」と遠い目をする。

カメラマン氏、あなたの教えを私、世の負け犬たちに啓蒙していきます。そして私自身、いついかなる時もかわいげを忘れず生きていきたい! そう誓いましたです。かわいげ。答えはシンプル。


柿崎 こうこ

イラストレーター
柿崎 こうこ プロフィール
1970年 青森生まれ セツ・モードセミナー卒業
女性誌や書籍で活躍中 美容、旅、食が得意分野、ひとり作業が多い職業ゆえ取材で人に会うのも好き。
共著に「東京おんなひとり暮らし」(双葉社刊)
「ハッピー ローマ」(双葉社刊)など

※こうこさんへの感想、はげましのお手紙はこちらまで。

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