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LIFESTYLE子育て

2019.07.22

成績優秀な9歳の男の子に聞いた、学校・塾事情。【しまおまほのおしえてコドモNOW!】

エッセイストのしまおまほさんが、今を生きるバラエティに富んだ子どもたちに出会い、話を聞き、限られた時間で彼らの本音を引っ張り出す。コドモ連載の第6回が始まります~。

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第6回:あおぺ(9歳)

「恥ずかしい……」
あおぺ(9歳)はそう言ってお母さんの腕を掴みました。
「何言ってるの、いつも通り話せばいいのよ」
妹のあーたん(5歳)は周りをパタパタ。いつも、男の子の取材は打ち解けるのに時間がかかるものだけど、素直に「恥ずかしい」と言った子は珍しいかも。お母さんが気を遣って妹のあーたんに「部屋で遊んでて」と促すと、あおぺはすかさず、「オレをひとりにしないでくれ!」と、懇願。しかし、あーたんはクールにスタスタとお部屋に行って遊び始めてしまいました。行き場を失ったあおぺは毛布にくるまって、ソファーにダイブ。「オレはこうやって包まれているのが好きなんだ……」と、独り言。うーん、男の子のこういう所ってホントに面白い。

しかし、実はあおぺ、成績優秀なんです。塾には特待生として、一年間授業料を免除されて入塾したとか。その他にも公文式などの習い事にも通っているので、家でのんびりできるのは、わたしたちが取材に訪れた水曜日だけなのだとか。

まほ:塾は楽しい?

あおぺ:楽しい。

まほ:学校とどっちが楽しい?

あおぺ:う~ん……それぞれ、別の楽しさがある。

まほ:塾にも友だちがいるんだよね。

あおぺ:すぐできた。トモキ。

母:すごく優秀な子なんですよ。

あおぺ:学校は違うけど、一番仲良い! この間も家でゲームして遊んだー。

まほ:学校では何をして遊ぶの?

あおぺ:鬼ごっこ。

まほ:おー、THE ・小学生!

あおぺ:オレ、足おそいけど。

まほ:そうなの?

あおぺ:すごいおそいよ。

母:運動苦手なんです。タイム見ただけだと、何m 走かわからないくらい(笑)。

まほ:でも、鬼ごっこが好きなんだ?

あおぺ:うん。おそいから楽しい。

まほ:えっ? そうなの? わたしも足遅かったから、鬼ごっこなんて絶対に入らなかった。

あおぺ:カンタンじゃないから、楽しい。

まほ:なんと、まあ!

あおぺ:鉄棒も苦手。逆上がりできない。

母:あーたんはもうできるのにね。

あおぺ:オレのぶんの運動神経、あーたんにいったから。

まほ:じゃあ、クラスに「こんな子になりたいな」みたいな、羨ましい子いる?

あおぺ:いない。

まほ:それこそ、運動神経抜群とかさ。

あおぺ:(首を横に振る)

まほ:女子にモテるとか。

あおぺ:(首を横に振る)

まほ:お家がものすごい広いとか、学校の目の前に住んでて朝寝坊できるとか……!

あおぺ:(首を横に振る)

まほ:いないんだあ。

あおぺ:いる。

まほ:アレッ(笑)?

あおぺ:でも、ママの前じゃ、言わない。

まほ:なるほど。じゃあ、この質問はこれ以上聞かないようにしよう(笑)。

読書家でもあるあおぺはお気に入りの本をわたしたちに見せてくれました。お母さん曰く、小さい頃から読み聞かせを欠かさなかったとか。そのせいか、幼稚園の頃から本が大好きなんだそうです。

あおぺ:(ドサッ)これが、オレの好きな本の一部。

まほ:星新一ばっかりだね。好きなんだ。

あおぺ:重松清もあるよ。重松清も大好き。

まほ:お気に入りはある?

あおぺ:星新一なら『未来いそっぷ』。重松清は『小学五年生』。

まほ:わたしたちが子どもの頃、重松清を読んでる同級生いたかなあ?江戸川乱歩シリーズとか、ズッコケ三人組シリーズ、あと『ぼくらの七日間戦争』とか……。

あおぺ:“ぼくらシリーズ”は全部読んだ!

まほ:マンガも読むの?

あおぺ:『ドラえもん』が好き。

母:大好きよね。のび太に憧れているらしいんです。

まほ:のび太に? 塾の特待生なのに?

母:ダラダラできるのが、羨ましいらしくて。

まほ:なんと……。

母:宿題が出ると、やらずにはいられないみたいなんです。放っておくことができなくて。

まほ:贅沢な悩みというか、逆に大変そうというか……。ダラダラさせてあげたくなるなあ。

あおぺ:アレッ? ん? ママ、あれドコ?

まほ:どうしたの?

あおぺ:ママ、オレの完璧無敵装置! どこ??

母:わかんないよ、なあに、それ。

あおぺ:ほら、オレの完璧無敵……あった!

あおぺは、いつの間にかどこかに脱ぎ捨てていた毛布を拾い、またくるまりました。完璧無敵装置(毛布)があると、落ち着くらしいのです。

あおぺ:ママ!

母:なに?

あおぺ:(突然、何かを手に持って口に運ぶジェスチャーの後、脇をパクパクする)

まほ:なにそれ? ワカチコ、ワカチコ?

あおぺ:違う。

母:何?

あおぺ:あれ? 知らない? そっかー言ってなかったかー。カイセイと作った暗号。

まほ:秘密の暗号なんだ。

あおぺ:そっかーママ知らないか。わかんない?(脇をパクパク)

母:わかんないよ。

あおぺ:ドリンク(手を口に)のみたい(パクパク)!

まほ:暗号にする必要ないじゃん!

あおぺ:カイセイはねえ、ピーマン大先生。

まほ:意味わからん(笑)。

あおぺ:フーンフーン♪(急に踊りだす)

まほ:創作ダンス?

あおぺ:浜田くんダンス。

母:そういえば、ダンス好きだよね。ヒップホップとか、そういうかっこいいのじゃなくて。

まほ:かっこいいダンスじゃなくて(笑)。

母:運動会で花笠音頭を踊った時、妙にうまくて感心しちゃった。

あおぺ:~♪(浜田くんダンスをまだ踊っている)

まほ:男の子同士で何して遊んだりするの?

あおぺ:イケメンコール。

まほ:どんなの?

あおぺ:カイセーイ! イケメン! フゥワッフゥワッフゥワッ!

まほ:ホストっぽい(笑)。

あおぺ:リュウクのイケメンポーズは面白いんだ。今川もイケメンコールの仲間。

まほ:イケメンコール、いつやるの?

あおぺ:帰り道。

成績優秀とはいえ、あおぺは学校の友だちとも仲の良い、普通の小学生です。あおぺ、だんだん慣れてきたのか、いつの間にかわたしの隣にちょこんと座っていました。

まほ:妹のあーたんが生まれた日のことって、覚えてる? あおぺはその時、5歳だったんだよね?

あおぺ:うん。へへへ……。

まほ:なあに? なにか面白いことがあった?

母:生まれるところ、見たかったのよね。

あおぺ:うん。

まほ:見れた?

あおぺ:ううん。まだ生まれなそうって言ってたから、マリちゃん(お母さんの妹)と病院の食堂にご飯食べに行って……。

まほ:もしかして……。

あおぺ:そしたら、その間に生まれちゃった。

母:ホント、急に産気づいて。スポッと。あおぺの時は、30時間以上苦しんだのに。

あおぺ:オレが広げといたから。

まほ:なにを? 産道?

あおぺ:そう。サンドー。

まほ:(笑)。ちなみに、何食べてたの?

あおぺ:かつサンド。

まほ:即答したね。しっかり覚えてるんだ(笑)。

あおぺ:美味しかった。

まほ:あおぺの一番古い記憶は?

あおぺ:前の家にいて……。

まほ:ふんふん。

あおぺ:なんかを手ですげー食ってた。

まほ:なにそれ(笑)。

あおぺ:たぶんおにぎり。米がすげー手にびっしりついてた。

今年の夏、あおぺはお母さんの実家がある島根へ遊びに行きました。そこで、広島に引っ越してしまった幼なじみ・ジンくんとも再会できたそうです。

まほ:島根では、どんな遊びをしたの?

あおぺ:キャッチボールしたり、おでかけしたり……将棋をしたり。

まほ:おお! 藤井四段。

あおぺ:じいじとやった。

まほ:じゃあ、じいじはひふみんだね。勝負はどうだった?

あおぺ:……負けた。

母:負けて、泣いちゃったのよね。

あおぺ:うん。

母:負けず嫌いなところがあって。

まほ:悔しかったんだね~。ジンくんとは?

あおぺ:DS。マリオパーティした。あと、水族館行った!

まほ:楽しそう。

母:宍道湖の淡水魚を展示している水族館へ行ったんですけど……。

あおぺ:ジンの弟のレイが濡れてる床ですってんころりんしちゃった。

まほ:大丈夫だった?

あおぺ:後頭部をガーン!

まほ:ありゃ!

あおぺ:そんで、頭パッカー! デミグラスソースぶっしゃー!……とは、ならなかった。

まほ:……? なにそれ。

あおぺ:デミグラスソースぶっしゃー!

まほ:デミグラスソース?

あおぺ:血のこと!

まほ:えーケチャップじゃないんだ。

あおぺ:学校で、友だちにエンピツが刺さって、血がぶっしゃー!ってなって、デミグラスソースぶっしゃー!って言うようになった。

まほ:よくわかんないけど(笑)。

あおぺ:あと、レイがね……。

まほ:島根の思い出ね……うんうん。

あおぺ:お昼の時に、一緒に出てきたかぼちゃスープをすき焼きの卵と間違えて、肉をかぼちゃスープにドボン!

まほ:あ~。

あおぺ:で、食べてオエー!ってなってた。

まほ:相性は良くなさそうだけど、そこまで危険な組み合わせでもないよね?

母:マズー!って叫んでたわよね(笑)。

まほ:思ってたのと違うものが口に入ると、たしかにビックリしますよね。

母:あと、ジンくん。ありがたいことに、本当にあおぺのこと大好きと言ってくれていて。

あおぺ:ご飯の時、ジンがオレのぶんまで盛ってくれる。

まほ:すごい! カノジョみたい。

あおぺ:オレがお母さんに怒られると、お母さんにデコピンするの。

まほ:そりゃ愛されてるね~。

あおぺ:愛が、のしかかってきた。

まほ:(笑)。

そんなあおぺの将来の夢は……。

あおぺ:研究者か、宇宙飛行士か、考古学者。

まほ:さすが。

あおぺ:ちょっと前まではトラック運転手。

まほ:あれ、全然違う(笑)。じゃあ、妹にはどんな大人になってほしい?

あおぺ:あーたん?

まほ:そう。アイドルとか、先生とか……。

あおぺ:いや、あーたんは好きなように生きればいい。

宿題や課題をキチンとこなすあおぺの「好きなように生きればいい」にはなんだか感動してしまいました。

あおぺ、どうやら取材が楽しかったらしく、この日の夜は「なんて幸せな日だったんだろう」と、言っていたそうです。

そういえば、わたしの子どもの頃にも、そんな気持ちになった日があったことを思い出しました。どんな出来事があったのかは、忘れてしまったけれど。

つづく

「しまおまほの教えてコドモNOW!」連載一覧はこちら

文・絵:しまおまほ 編集:小川知子  デザイン:根本真路

エッセイスト、イラストレーター

しまおまほ

1978 年生まれ。主な著書に『ガールフレンド』『マイ・リトル・世田谷』(共にスペースシャワーブックス)などがある。

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