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LIFESTYLE子育て

2020.03.20

小学5年生の男の子が最近ハマっていること。【しまおまほのおしえてコドモNOW!】

おしえてコドモNOW!は、エッセイストのしまおまほさんが、今を生きるバラエティに富んだ子どもたちに出会い、話を聞き、限られた時間で彼らの本音を引っ張り出すというもの。毎回登場するのは、お話が得意な子もそうでない子も。コドモ連載の第4回が始まります~。

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第4回:はじめくん(11歳)

最近ものすごくハマっていること。

とある中華料理屋。いわゆる「町中華」の店です。ここをインタビューの場所に指定したのははじめくん(11才)。現在「町中華巡り」に絶賛ハマり中とのこと。

お父さん、お母さんと3人で店にやって来たはじめくん。席に着くと、ヤクルトが出てきました。この店の子ども限定サービスだそう。

まほ:はじめくん、よろしく。

はじめ:(キョロキョロしながら、小さくペコリ)

まほ:この店は、なんで知ったの?

はじめ:(メニューを見ている)

:はじくん、この店、どうして知った?

はじめ:ん?

まほ:何かで見た?

はじめ:なにかで?

:テレビとかさ。

はじめ:ああ、ほん、本。

まほ:何食べようかな。はじめくん、何がおすすめ?

:おすすめ教えて。

はじめ:あそこ見て。

まほ:「今日のおすすめ」のボード、ね。はじめくんのお気に入りのメニューを教えて?

はじめ:(メニューを指差す)

まほ:チャーハン、か。美味しそうだね〜迷うな。

「町中華巡り」にハマったきっかけは?

口数は少ないながらも、キョロキョロと店を見回したり、メニューを眺めたり、町中華にいる喜びを静かに噛み締めているはじめくん。はじめくんは自分の気持ちを言葉にするのに時間がかかる自閉症の男の子です。家から15分ほどの距離にある特別支援学級に通っているそう。今回、ご両親サポートのもとインタビューをさせてもらいました。

まほ:町中華はよく来るの?

はじめ:(お母さんを見る)

:もう毎週末です。父親と一緒に、家から遠い所でも……。

まほ:この店は初めて?

はじめ:4かいめ。

まほ:えー!4回も……そもそも、何で町中華にハマったんだろう。

はじめ:(お母さんを見る)

:なんで町中華好きなの?って。

はじめ:え、テレビ。

:「町中華で飲ろうぜ」っていうBSの番組を僕の横でたまたま観て……。

まほ:それでハマったんだ。

:どハマりしたみたいです(笑)。

「町中華で飲ろうぜ」は毎週月曜にBS TBSで放送中。各町にある気楽に入れる「町中華」を番組前半は玉袋筋太郎さん、後半は女性でも入ってお酒が飲める店を高田秋さん、坂ノ上茜さんが紹介しています。

まほ:放送が夜11時からだけど……。遅いんじゃない?

:毎週ちゃんと録画してるんだよね。

はじめ:うん。

まほ:それをいつ観るの?

はじめ:朝。

:学校に間に合うように、火曜日は朝5時半に起きて観てるんです。

まほ:はえー(笑)!

:朝5時半から、玉袋さんが飲んでる様子を観てるんです(笑)。

まほ:小5でしょ?

はじめ:(恥ずかしそうにニコニコ)

:あ、そうだ。はじくん、ロクサンサンを取ってきてくれる?

はじめ:うん、いいよ。

まほ:……ロクサンサンって?

はじめ:(ビールを冷蔵庫から取ってくる)

まほ:ビールのことなんだ。

:はじくん、教えてあげて。

はじめ:男の義務教育。

まほ:え?

:ビールの大瓶って633mlあって……。

まほ:ああ! 6・3・3で義務教育ってこと?

はじめ:玉さんが言ってた。

まほ:なるほど、言いそう(笑)。ビールは男の義務教育。玉さんの格言な訳なんですね。

:しまおさんは、玉さんと面識あるんですか?

まほ:お会いしたことは。

:はじくん!玉さんに会ったことあるって!

はじめ:えっ会ったことあるの?

はじめくん、この日一番の素早い反応で目を輝かせました。

まほ:うん。たまたまだけど、先週の火曜日に会ったよ。

はじめ:火曜日!? どこで?

まほ:横浜。

はじめ:よこはま? なんで?

まほ:ラジオのイベントで。お客さんとも話したりしてたから、来れば会えたよ。

はじめ:…………。

まほ:玉さん、優しいよ。「スナック玉ちゃん」のTシャツいただいたよ。

:はじくん! この間の「町中華で飲ろうぜ」で内山くんが着てたTシャツだよ!

はじめ:え! 内山くんが!?

まほ:そこにも反応するんだ(笑)。

そうこうしているうちにご飯がやってきました。

はじめくんはチャーハン、お父さんはオムライス、お母さんは肉野菜炒め、編集のO川さんはレバニラ、そしてわたしは鶏肉とタケノコ炒め。

「男の義務教育」ことビールをはじめくんが進んでお父さんとわたしについでくれました。

繰り返し観るから、細かいとこまで覚えてます。

まほ:録画してるってことは、見返したりするの?

:何回も観るよね?

はじめ:(チャーハンを食べながらうなずく)モグモグ……100回くらい。

まほ:そんなに?

:大袈裟じゃなく、そのくらい観てると思います。とにかくずーっと同じものを。

はじめ:モグモグ……。

:好きなシーンもあるんだよね?

まほ:どんなシーン?

:どのシーンが好きなんだっけ?

はじめ:「川ばた」の、玉さんの……。

:飲みっぷりが好きなんだよね。

はじめ:(すごくうれしそうに顔を赤らめてニコニコ)うん。

まほ:ピンポイントだねえ(笑)!

:「ブハー!」ってね、飲むんだよね。

はじめ:うん!(ニコニコ)

まほ:じゃあ「川ばた」にも行った?

はじめ:喫茶店なんだよ!

まほ:え?喫茶店、なの?

はじめ:貸して(お母さんからスマホを借りる)。

はじめくん、お母さんのスマホから「川ばた」へ行った時の写真を見せてくれました。

まほ:わあ、ホントに昭和の喫茶店って感じ。

:おもしろい店でした!コーヒーも飲めて、中華も食べられるという……。町屋にあるんですけど。

まほ:町屋って、お家から遠いですよね?

:東京の中でも反対側です(笑)。

はじめくんが見ている写真には、店内の写真のほかに、メニュー表だけを撮った写真も。

それを口を押さえて嬉しそ〜に眺めているはじめくん。

まほ:マニアックだね〜。

:店も番組も本当に細かいところまで見て、覚えているんですよ。玉さんが好きなビールの銘柄とか……。

はじめ:玉さんは、アサヒ。

まほ:おおー。

はじめ:柴又でビール3本開けた。

まほ:お、おお(笑)。

はじめ:坂ノ上さんはアカボシ。

まほ:アカボシって……?

はじめ:らがーびーる。

まほ:ラガーのことアカボシって言うんだ。

はじめ:秋さんはアサヒ。

まほ:みんないつも銘柄が決まってるんだね。

はじめ:黒ラベルは、誰も飲まない。

まほ:飲まない銘柄まで覚えてる(笑)。

はじめ:秋さんは、日本酒も飲む(真顔)。

こんな「町中華」が好き!

まほ:好きな店のポイントとかってあるの?

はじめ:……古いのがいい。汚くて……。

たしかに、この日選んでくれた店もかなりの年季が入った店です。かつては白かったであろうエアコンが、煙と油で真っ茶色。

:暖簾も重要だって言ってたよね。

はじめ:うん。

:とにかく店構えにはこだわりますねえ。

まほ:お気に入りの店は?

はじめ:一番!

まほ:「一番」って店?

:これも、町屋の店で……。

はじめ:(スマホで地図を見始める)

:そこのハムとキュウリの和え物が忘れられない味だそうで。

まほ:ああーそういうのは大人になっても忘れないでしょうね。

:一度ネットで探して行った店が自分の思う町中華じゃなかったみたいで、すごく怒ったことがありましたね。

:あの時は怒ってたね〜。

:美味しかったけど……。「K(店名)は町中華じゃない!」って。それで「町中華で飲ろうぜ」で紹介してた店に行き直したよね。

まほ:学校では何が流行ってるの?

はじめ:……(スマホの地図で町中華を検索中)。

:はじくん、聞かれてるよ。

はじめ:ねえ、ここ、看板が道路に出てるよ!

まほ:もう完全に町中華モードに入ったね。

はじめ:すごいよ、この通りは7軒も並んでる!

まほ:学校でも、町中華が好きって話してる?

はじめ:……何もしゃべってない。

まほ:ナイショなんだ。

はじめ:(うなずく)。

まほ:担任の先生は男?

はじめ:男。フクダせんせい。足が早い。

:先生とすごく仲良いんですよ。

はじめ:(口を押さえて笑う)フフフ……笑っちゃう。

まほ:フクダ先生、笑っちゃうくらいおもしろいんだ。大人の男の人だったら、町中華に興味あるんじゃないかなあ。

はじめ:……(お母さんを見る)。

:先生の住んでる駅知ってるよね? お店探して教えてあげたら?

はじめ:(検索を始める)あ! せいりゅうってお店がある!

まほ:ほら。

はじめ:うーん。

まほ:それでも、ヒミツ?

はじめ:うん。言わない。

ボリュームたっぷりの食事を終え、楽しかったインタビューもそろそろおしまい。店員さんが暖簾をしまいだしました。

まほ:あ、すみません!閉店は何時ですか?

店員:8時45分です。

まほ:もうそんな時間かー。

はじめ:トクダイと同じ閉店時間だ。

まほ:トクダイって?

:荻窪の町中華です。

まほ:閉店時間まで把握してる(笑)。はじめくん、今日はありがとう。

はじめ:うん。

まほ:楽しかった。また、町中華教えてね。

はじめ:うん。来年、また話したい。

まほ:(笑)。OK、来年話そう。

つづく

ママからのひとこと。

寝ても覚めても町中華。大好きな電車に乗って毎週末、町中華の食べ歩き。母は若干飽き飽きしていましたが……(笑)、はじめくんのおかげでたくさん楽しい発見があります! 好きなことがあるって素晴らしい。しまおさんにも町中華の魅力を伝えられてよかったね。さて明日はどこの町中華に食べに行こうか?
                 母(在宅秘書)より

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文・絵:しまおまほ 編集:小川知子  デザイン:根本真路

エッセイスト、イラストレーター

しまおまほ

1978 年生まれ。主な著書に『ガールフレンド』『マイ・リトル・世田谷』(共にスペースシャワーブックス)などがある。

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