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LIFESTYLE子育て

2020.05.26

行ってみたかった場所は裁判所!初めての裁判傍聴エピソード【しまおまほのおしえてコドモNOW!】

おしえてコドモNOW!は、エッセイストのしまおまほさんが、今を生きるバラエティに富んだ子どもたちに出会い、話を聞き、限られた時間で彼らの本音を引っ張り出すというもの。毎回登場するのは、お話が得意な子もそうでない子も。コドモ連載の第5回が始まります~。

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第5回:トーコちゃん(10歳)

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。新型コロナウィルスの世界的流行で、すっかり変化してしまった日常。新しい学校、学年、クラス。まだ一度もそのスタート地点に立てていない人もいるかもしれません。長い長い春休みの只中にいる公立小学校に通う小学生のひとり、トーコちゃんに、LINEでリモートインタビューしました。

まほ:トーコちゃんは何年生になったの?

トーコ:5年生。

まほ:まだ、授業もしてないよね?

トーコ:4月に、始業式が1日だけあって……。

まほ:それは、どんな風にやったの?

トーコ:学校の校庭に学年ごとに集合して、そこでクラス替えが発表されて、クラスごとに並ぶ。

まほ:校庭のあちこちで各学年がホームルームやってるって感じなのかな。

トーコ:うん。

まほ:クラス替え、わたしすごく苦手だったんだけど、トーコちゃんはどう?

トーコ:面白かった。

まほ:面白がれるんだーいいなー。

トーコ:クラスが3つに増えなかったのは残念だったけど。

まほ:どうして、クラスが増えてほしかったの?

トーコ:(他の学年はみんな3クラスあるし、クラスの人数が少ない方がゆったりするから。

まほ:ひとクラス何人?

トーコ:30人。

まほ:クラス替えって2年おきにやるのかな?

トーコ:ううん、今年から毎年やることになった。

まほ:そうなんだ。環境が変わるのが苦手なわたしは毎年はキツいなー。だって仲良しの友達と離れちゃうかもしれないんだよ?

トーコ:んーでもー友達は何人かいるから大丈夫。

まほ:でもさ、一番仲良い子と離れるのヤじゃない?

トーコ:でもー会えるから。

まほ:会えるから……いいね、トーコちゃんは気持ちが広いんだなあ。

自粛期間、どうやって過ごしてる?

まほ:始業式から、授業はもちろんないのよね?

トーコ:うん。

まほ:オンラインとかでやったりするの?

トーコ:ううん、やってなーい。

まほ:じゃあ、宿題とか?

トーコ:始業式の時にー、これやりなさいって渡されてー。

まほ:わーそうかー。じゃあ新しいことは習ってないんだね。

トーコ:うん、あー、でも漢字は新しいの覚えてってプリント渡された。

まほ:そっかー。わたしだったら絶対やらないな。休み最終日にやるタイプ。

いつ学校が再開するかもわからない長いお休み。大人も子どももケジメをつけて生活するのが大変ですね……。わたしも息子も起きる時間がどんどん遅くなっています。そう考えると、保育園や学校、仕事ってすごくありがたいなあって思います。

お家のパソコンからLINEのテレビ電話でリモートインタビュー中のトーコちゃん。画面をこげ茶色の猫が横切りました。

まほ:猫飼ってるんだ。なんて名前?

トーコ:ミック。

まほ:ミックはどうやってお家に来たの?

トーコ:あのーえっと、前から猫飼いたくて、引っ越して飼えるようになって……。そしたら、お母さんが「猫をもらってください」みたいなのを発見してー。

まほ:里親募集してたんだ。

トーコ:そう。それでーえっと、なんだっけな……えーっと、もらってきた。

まほ:ミックはいま、何才くらいなの?

トーコ:4才。

まほ:じゃあ、トーコちゃんが6才の時から飼ってるんだね。わたしも8才で猫の赤ちゃんを拾って飼い始めたんだけど、その猫23年生きたよ。

トーコ:へえー!

まほ:10才の誕生日も、ハタチの誕生日も、30才の誕生日の時も、その猫がいたの!

トーコ:へえー!

まほ:ミックも長生きするといいねえ。

トーコ:うん……あの、猫って……段ボールに入れられているものなの?

まほ:ん?ああ、捨て猫?

トーコ:そう。

まほ:ああ……! たしかに、漫画とかの捨て猫のイメージってたしかに段ボールに入れられてるよね……そっかートーコちゃんの世代でもそういうイメージってあるんだ(笑)。うん、たしかにウチの猫も段ボールに入れられてた!

トーコ:ええ~! そうなんだー(嬉)。

まほ:トーコちゃん、目が輝いたね(笑)。

裁判傍聴に行きたくて。

まほ:トーコちゃん、裁判傍聴に行ったって聞いたんだけど。

トーコ:うん、行った。

まほ:どうして行ったの?

トーコ:裁判、見に行ってみたかったから。

まほ:そもそも、興味を持ったきっかけは?

トーコ:コナンくんで見て、行ってみたいと思った。

まほ:なるほど……『名探偵コナン』ね。裁判のシーンとかあるんだ。

トーコ:うん。

まほ:どんな裁判を見に行ったんだろう。

トーコ:えっと……みんぽう……?あ、みんじ。民事裁判。

まほ:刑事裁判でなく。

トーコ:警察の裁判じゃなくて、民事裁判。

まほ:未成年でも入れるものなんだね。

トーコ:うん、行けた。

まほ:わたしも一回行ったことがあるけど……建物に入るまえに飛行場の持ち物検査みたいなのなかった?

トーコ:あった。ウィーンってやつを通って……。

まほ:あった、あった。ウィーンってやつ。傍聴する裁判は行ってから決めたのかな?

トーコ:うん。入ったらまず壁に大きいiPadみたいなやつが5台くらい食い込んでて……。

まほ:食い込んで(笑)。

トーコ:それに「何時何分にやります」っていうのが書いてあって、それを見て、裁判を決めた。

まほ:あの表見てもわからなくない?

トーコ:よくわかんなかった。……最初、刑事裁判の方も見てたんだけど、途中でやめて。

まほ:なんでやめたの?

トーコ:殺人事件とか、怖そうだったから……。

まほ:たしかに。怖いよね。

トーコ:それで、エレベーターに乗って……すごく……頑丈だった。

まほ:? 裁判所が?

トーコ:うん。裁判する部屋の前に頑丈なドアが2枚くらいあって……裁判所もものすごく大きくて……。

まほ:建物はたしかに威圧感あるよね。

トーコ:それで、見つけた優しそうなやつ……優しそうな裁判を、見た。

まほ:優しそうな裁判(笑)。どんな裁判だろう。

トーコ:建物の……。

まほ:ああ、土地とか欠陥住宅とかかしら。

トーコ:それでー、裁判を見たんだけど……。

まほ:どうだった?

トーコ:なんか、裁判長が入ってきたら、みんなが立っておじぎして「これから裁判を始めます」って言って……。

まほ:ふんふん。

トーコ:そしたら裁判長が次の裁判の日を決め始めて……。

まほ:へー。

トーコ:「わたしはこの日が空いてます。〇〇さんと〇〇さんの裁判、この日はどうですか?」みたいな……。

まほ:スケジュール調整を始めたんだ。

トーコ:うん。それでー……終わった。

まほ:終わったの!

トーコ:そう。5分くらいで終わっちゃった。

まほ:あー、わたしもそういう場面に出くわしたの思い出した。本当に予定合わせるだけの裁判ね。あれも「裁判」っていうのかしら?

トーコ:それでー、そのままその部屋で次の裁判も見たんだけど……それは答え……えーっと、なんだっけ。裁判の答えみたいな……。

まほ:判決?

トーコ:そう、判決だけでー。

まほ:それも、すぐ終わっちゃったんだ!

トーコ:そう。早口でよくわかんなくて、「え?もう終わったの?」って感じだった。

まほ:テレビや映画の裁判シーンってすごく大げさでドラマチックだけど、意外と呆気なかったり緊張感もそれほどなかったりするんだよね。

トーコ:うん。びっくり。

まほ:トーコちゃん的には何が面白かった?

トーコ:裁判所の中に本屋とか、すき家が普通にあったのがおもしろかった。

まほ:他にもどこか興味あって見学に行った所とかある?

トーコ:うーんと……お父さんが仕事で行ってたのを見てー興味湧いたから、刑務所の文化祭?に、行った。

まほ:これまた……!でもさ、ちょっと怖くなかった?

トーコ:うーん、怖くなかった。犯人とかいなかったから。

まほ:文化、アイドルとかライブやったりするって聞くもんね。

トーコ:刑務所で作られてるものとか、えっとね、バッグとかお財布とかを売ってた。

まほ:すごいねえ、小学生でそこに興味湧くの。まだある? どこか見学したこと。

トーコ:うーん、秋田の鶏めし弁当の工場?

まほ:急に弁当(笑)。いいね、美味しそう。

トーコ:お母さんの実家が秋田でー、行った。

まほ:どんなことしてた?

トーコ:うんとね、ご飯とか手作業で詰めてた。

冷静なトーコちゃんの怖いもの。

まほ:トーコちゃん、塾とか行ってるの?

トーコ:うん、えっと、新しい塾に通い始めたんだけど、いまはコロナで行ってない。

まほ:そうかー電車で通ってたのかな?

トーコ:そう。

まほ:初めてひとりで電車乗った時のこととかって覚えてる?

トーコ:え? あーうーんと……どうだろう……。

まほ:わたしも塾通うようになって、ひとりで電車に乗ってたけど、すっごい緊張した。「お、大人じゃん! わたし!」ってなったけど。

トーコ:うーん、いつかなー。去年? 通ってた保育園にひとりで行った時かな?

まほ:小3の頃ってことだよね。緊張しなかった?

トーコ:うーん、でも、携帯持ってたから……。

まほ:意外とクールだねえ。ひとりでも怖くないんだ。

トーコ:あーでも、小1の時にー学童から帰ってきたら鍵持ってなくてー、家に誰もいなかった時は「ウワーッ!」ってなった。

まほ:怖かったんだ。

トーコ:うん。怖かった……。

まほ:それで、どうしたの?

トーコ:えっとー同じ長屋の隣の隣の人のウチに入れさせてもらった。

まほ:トーコちゃん、長屋に住んでたんだー。でも冷静だねえ。怖いものってないの?

トーコ:あーあのね、えっと、ジェットコースター……。

まほ:わージェットコースター、わたしも苦手。

トーコ:よみうりランドの有名な長いやつ……お母さんに乗ろうって言われてムリヤリ……。

まほ:うわー絶対ムリ。

トーコ:怖かった……腰抜かした。もう死ぬほど乗りたくない。

まほ:わかるよ~。

トーコ:遊園地はもう行きたくない。

まほ:わたしも遊園地苦手な子どもだったなあ。ディズニーランドはどう?

トーコ:ディズニーはね、お土産がすっごい高かった。

まほ:(笑)。じゃあ、行きたい場所とかはある?

トーコ:北海道と……カナダ、とムーミンバレーパーク。

まほ:自然が好きなんだね。

トーコ:ムーミンバレーパークは……一度行ったことがあって……。

まほ:そうなんだ。

トーコ:お母さんと、おばあちゃんと、おばあちゃんのお姉さんと、おばあちゃんのお姉さんの子どもふたり。

まほ:おばあちゃんのお姉さんのこども……ということは、お母さんのイトコってことかな。

トーコ:えっと……、うん、そう。全員女。おばあちゃんは85歳か86歳で、おばあちゃんのお姉さんは90歳。

まほ:そのメンツでムーミンバレーパーク行ったんだ。いまコロナだから、おばあちゃんともなかなか会えなくなっちゃったんじゃない? 連絡とかはしてるのかな。

トーコ:うん。LINEやってる。

まほ:そうかー。わたしも最近になって母にLINEやってもらうようになったもの。

トーコ:でもね、全然「きどく」がつかない。

まほ:(笑)。早くコロナが落ち着くといいね。

トーコ:うん……怖いけどー。うーん……いつ止むんだろう。どうなっていくんだろうなー。

おっとりとした印象の反面、冷静な観察眼のトーコちゃん。一番好きな漫画は手塚治虫の『ブッダ』で、主人公のシッダルタが好きなんだそうです。

ミックをナデナデ、時々おやつのチョコブラウニーを食べながらのリモートインタビューでした。

ママからのひとこと

遊園地のことは、本当に申し訳なかった! としまえんのジェットコースターが大丈夫だったから、ついゴリ押ししてしまいました。反省。あと、よく我が家の形態をふざけて「長屋」と言ってるけど、「テラスハウス」という呼び方もあることを覚えておいてくれるとうれしいです。(長屋の方がカッコいいとは母も思う。思うが)これからも弟ミックと仲良くね。トーコが30歳になっても一緒にいられますように。
                              母(ライター)より

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文・絵/しまおまほ 編集/小川知子  デザイン/根本真路

エッセイスト、イラストレーター

しまおまほ

1978 年生まれ。主な著書に『ガールフレンド』『マイ・リトル・世田谷』(共にスペースシャワーブックス)など。初の本格長編恋愛小説『スーベニア』(文藝春秋)が5月22日発売予定。

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