人気番組「華麗なる宝塚歌劇の世界」のシーズン7がスタート! 秘密のカフェを訪れたのは元雪組トップスターの彩風咲奈さん
スカパー!などで視聴できる「時代劇専門チャンネル(CS292)」では、数々の時代劇の名作を24時間365日放送。10月20日より毎週月曜日22時には「華麗なる宝塚歌劇の世界〜Season7〜」が放送されます。宝塚歌劇の中から、日本物(和物)作品を厳選してお届けしている人気番組です。作品のほか、さらなるお楽しみとして宝塚歌劇OGをスタジオゲストやVTRゲストに迎え、フリーアナウンサーの中井美穂さんがお話をうかがうナビゲート番組も話題に。

10月20日(月)22時には、2022年の雪組宝塚大劇場公演『夢介千両みやげ』を放送。番組ゲストとして、昨年宝塚歌劇団を退団した元雪組トップスターの彩風咲奈さんが登場します。番組収録の様子に加えて収録後に行われたインタビューの様子をまじえ、イラストと共にレポートします!
おしゃれと評判の彩風さんの今回のファッションは、フェミニンなテイストをプラスしたパンツスタイル
ここは東京・日比谷。東京宝塚劇場と同じビルの中にある秘密のカフェにやってきた、彩風咲奈さん。案内役の中井美穂さんがお迎えします。
中井さんが「ファッションリーダー」と言われたように、彩風さんのおしゃれな着こなしは現役時代から健在。この日は、ブラウンのブラウスに黒のパンツという、洗練されつつもどこか柔らかい印象。でもスカートにはまだ挑戦していないそうで、「どう穿いたらいいかわからないんです」と笑います。

「男役時代のファッションは好きで着ていたもので、今もそのテイストは続けています。でも、パンツのコーディネートでも今日のように、リボンのついたブラウスを合わせたり、透け感のあるトップスに挑戦したりして、ちょっとソフトなニュアンスを取り入れています。パンツ自体も少し足首が見える丈にしてみるなど、ほんの少し変えるだけで見え方は大きく変化するので、今までできなかったことを取り入れながら楽しんでいるんですよ」(彩風さん)
宝塚歌劇のファンだったお母さまの影響でタカラジェンヌを目指したそうで、93期生として宝塚歌劇団に入団。同期との関係性や初舞台公演についてのお話もされていました。

トップスターになって初めての日本物『夢介千両みやげ』についてたっぷりのエピソードを!
そしていよいよ、彩風さんが雪組トップスター就任2作目となる日本物作品『夢介千両みやげ』(’22年雪組 宝塚大劇場公演)のお話へ。
その前に、「観劇のお供」としてゲストがオススメのお菓子を紹介するコーナーも。彩風さんが用意されたのは、専科の汝鳥 伶(なとり・れい)さんからいただき、その甘じょっぱい味のトリコになってしまったという逸品。どんなお菓子が登場したのか、詳しい商品名はぜひ番組で!
『夢介千両みやげ』は、『桃太郎侍』や『遠山の金さん』を生み出した人気作家・山手樹一郎の代表作のひとつで、腕っぷしは強いけれどケンカ嫌いでお人好し、おせっかいな心優しき青年・夢介の活躍を描く傑作小説が原作です。
「牛のようにボーッとしている」とも言われる夢介を演じることについて、中井さんも「トップスターがやる役としては異色ですよね。どこに男役としてのカッコよさを出そうと思いましたか?」と、みんなが思っていたであろう質問を(笑)。
彩風さんも最初は戸惑ったそうですが、誰からも愛されて懐の深い人柄にスポットが当たることがうれしかったのだとか。自分とかけ離れている役の方が演じやすいとのこと。朴訥とした訛り言葉は、あまり苦労されなかったようです。
「台本にあのままのセリフがあり、すごくお稽古したというより最初からあんな感じでしゃべれていました。もしかすると、私が訛りのある地域の出身だからかもしれません。前に雪組でやった『壬生義士伝』(’19年雪組 宝塚大劇場公演)のときには、東北の方言指導の先生が入られてお稽古したんです。そんな経験も含め訛りに対して抵抗がなかったことで、考えすぎることなく臨めたのも大きかったかもしれません」(彩風さん)
夢介は、小田原の庄屋である父から千両をもらって「道楽修行をしてこい」と言われて江戸へ向かうのですが、「道楽修行ってなんぞや」と思ったそう。千両は現在の1〜2億円だそうで、今もしそんなお金を渡されたら…。
「海外に行っていろいろなことを見聞きしたいです。まずはずっと行ってみたいトルコに。ひとり旅をしたことがないので、それもやってみたい。でも1〜2億円ってものすごく大金ですよね。雪組のみんなと一緒に旅行するのもいいかもしれません」(彩風さん)
この作品が上演された2022年はコロナ禍で、世の中が鬱々としていた頃。そんな中でみんなが幸せになるほのぼのとした物語は、みんなの心も温かくしてくれたと中井さんも彩風さんも口をそろえます。
「テンポ感が大事なコメディ作品だから、たくさんお稽古しました。夢介として板の上にいながらも話し出すまでに時間のある場面では、そこに登場している人のやり取りを客観的に見て『ここはこうするのがいいかも』と意見を伝えたり。掛け合いの場面はひとりでお稽古しても間がわからないので、とにかくみんなで探りながら進めていました」(彩風さん)
収録では、朝美 絢(あさみ・じゅん/現雪組トップスター)さん演じる総太郎とのお芝居や、綾 凰華(あや・おうか/元雪組男役)さん演じる悪七と希良々うみ(きらら・うみ/元雪組娘役)演じるお滝夫婦との場面、今だから言える裏話、中井さんと彩風さんが好きなシーンについてなど、じっくり語っていました。『夢介千両みやげ』は彩風さんの夢介をはじめ、インパクト大な人物がたくさん登場するのも面白いポイントです。
「真那(春人、まな・はると/雪組男役)さん率いる悪党一味は楽しそうで、私も演じてみたいです。真那さんの一つ目の御前は面白すぎて! わかりやすい悪人なのにコミカルで、最後の爆発後に頭にネギが刺さっている姿はかわいすぎました(笑)。あの振り切れた存在感がすごかった」(彩風さん)

彩風さんと、相手役だった朝月希和(あさづき・きわ/元雪組トップ娘役)さんとの「さききわ」コンビが大好きだという視聴者の方の質問に答える形で、朝月さんとの関係やきゅんとするエピソードも披露してくれました。
それから、17年在籍した雪組の魅力や、退団後の過ごし方、憧れのシソンヌ・じろうさんについてなど盛りだくさんのトークを。この先のお仕事では12月のディナーショーのほか、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』で退団後初のミュージカル作品への出演が決まっているそう。

これからの彩風さんも目が離せませんね! ということで、たっぷり2時間弱の収録が終わりました。
日本物のプロフェッショナル!? 雪組ひと筋の彩風さんが語る日本物の面白さや難しさ
収録後に行われた取材会では「時代劇専門チャンネル」に関連して、「和物の雪組」を率いていた彩風さんに、「日本物の作品」にまつわるお話を厚くうかがいました。
――本日の番組収録はいかがでしたか?
彩風さん(以下敬称略):中井さんとは、現役時代に出演した『宝塚カフェブレイク』でご一緒して以来の再会でした。私は新人公演の頃から番組に出させていただいていたので、中井さんには本当に長くお世話になっています。今日は収録ということを忘れるほど、楽しくお話をさせていただきました。
『夢介千両みやげ』について話していると、公演中のことよりもお稽古のことがたくさん思い出されます。「ここはうまくいかなくていっぱい練習したな」とか。また、自分より先に退団した仲間が出演しているのを見て思い出がよみがえり、懐かしい気持ちになりました。
――雪組が得意とする日本物に、トップスターとして初めて主演することになったのが『夢介千両みやげ』です。決意されたことやプレッシャーはありましたか?
彩風:雪組ではお稽古のときの着物の着方から上級生に教えていただくんです。着物を着ているときの立ち方や座り方などの所作も大切で、上級生が教えてくださったことを自分も下級生に伝えていく。そういう伝統も含めて、日本物はピシッと背筋がのびるような気持ちでした。夢介は庄屋の息子で武士のような堅さはなかったため、少し気楽に臨めたような気がします。
――日本物の難しさと面白さはどんなところにあると思いますか?
彩風:海外の作品ですと気持ちを身振り手振りで表すこともありますが、日本物ではなかなかその表現はしにくいですよね。心の中にある物をセリフや表情で出すにしても日本人の奥ゆかしさを大切にしたいですし、そのあんばいが難しいなと思います。
面白さは、日本人ならではの感覚が理解しやすいことです。海外作品の登場人物は心の中を紐解くのが難しいこともある中で、日本人だからこそわかる深い気持ち、たとえば切なさとか身の引き方とか、そういうちょっとした機微にアプローチできるというか。それは演じていてとても楽しいですね。

――日本物の役作りをされるとき、時代劇を参考にすることもありますか?
彩風:もちろんあります。演出の先生が「これを観るといいよ」と教えてくださることもありますし、時代背景が似ている作品を選んで観ることもあります。NHK大河ドラマの『西郷どん』を観て、鈴木亮平さん演じる西郷隆盛のおおらかさや懐の深さのようなものが、夢さんのエッセンスになればいいなと思ったことを覚えています。
――雪組の日本物の中で、『夢介千両みやげ』以外で思い出深い作品や役は何でしたか?
彩風:いつも気持ちを張り詰めていたのは『星影の人』(’15年雪組 博多座公演)です。新選組のお話で、ほとんどの登場人物は新選組の隊士。私が演じた桂 小五郎は、みんなと違うところでひとり、「長州藩を背負っている」ことを演じるプレッシャーがありました。
舞台上で着替えたり、主演の沖田総司役の早霧(せいな、さぎり・せいな/元雪組トップスター)さんとふたりきりの立ち回りがあったりして、たくさんお稽古を積んでも毎公演緊張していましたね。大好きな作品だからこそ、役を懸命に生きていたことが強く印象に残っているのかもしれません。
――番組の中でこれからのお仕事の話をされていましたが、この先チャレンジしたいことはありますか?
彩風:まだ女性の役を演じたことがないので興味があります。男役からチェンジできるのかな…と。舞台を観にいっても、いまだに男性キャストの方に注目してしまうので。そういう意味でも『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』のデロリス役は挑戦ですね。
個性的でカッコいい悪い女、みたいな役にも惹かれます。たとえばですが、『101匹わんちゃん』のクルエラみたいな。悪役が好きなのかな(笑)。宝塚歌劇はミュージカル寄りでしたから、ストレートプレイにも挑戦してみたいです。
また、退団後初のコンサート『no man’s land』で演出をしてくださった荻田浩一さん(元宝塚歌劇団の演出家)が、「『サウンド・オブ・ミュージック』が似合いそう。大草原を駆け回って、大自然の中で歌うのがとっても合いそうだよ」と言ってくださったのがすごくうれしかったので、いつかそんな役もやってみたいですね。

――舞台作品以外でやってみたいことはありますか?
彩風さん:番組でも言いましたがシソンヌのじろうさんと共演するのが夢なので、それがかなうのであれば媒体にはこだわらないです(笑)。
それから、ファッションが好きということもあり、雑誌のモデルのお仕事なども機会があればやってみたいです。男役のときは、露出を抑えたりフェミニンなものは避けたりしていましたから、その枠がなくなった今、メイクもファッションもこんな自由なやり方ができるんだということが楽しくて。メイクアップアーティストやスタイリストの方々に魔法をかけていただいてカメラの前に立つと、ワクワクします。
――最後に、「華麗なる宝塚歌劇の世界〜Season7〜」のオンエアを楽しみにしている視聴者の方へひとことお願いします。
彩風:タカラヅカを卒業して1年が経ちましたが、「彩風は変わらずに、変わっています」(笑)。いろいろなことを見て、学んで、感じて、それを活かしていけたらいいなと考えています。相変わらず宝塚歌劇が大好きですので、みなさまと同じタカラヅカファンの一員としてこれからの推し活を楽しみたいと思います。

次回は、彩風さんの今の生活や美容方法などを教えていただきます。お楽しみに!
番組情報
時代劇専門チャンネル【華麗なる宝塚歌劇の世界~Season7~】
2025年10月20日(月)22時/[再]11月3日(月・祝)22時
『夢介千両みやげ』(’22年雪組 宝塚大劇場) 番組ゲスト:彩風咲奈
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撮影/黒石あみ イラスト/春原弥生 ヘア&メイク/栗原里美 構成・文/淡路裕子


