元祖クリエイティブ・ディレクター⁉岡田三郎助・生誕150周年記念展覧会で戦後のおしゃれ文化を体感
空気が澄んだ、冬の箱根っていいですよね。先日、温泉旅がてらポーラ美術館で開催されている『モダン美人誕生―岡田三郎助と近代のよそおい』に行ってきました。和装から洋装へ、日本人のおしゃれや美意識ががらり!と変わった明治期から昭和初期の様子を、洋画家・岡田三郎助の作品を中心に体感することができます。
岡田三郎助は洋画家の大家として有名ですが、実は今でいうクリエイティブ・ディレクター的な活動も。たとえば三越呉服店(のちの三越百貨店)とのコラボポスターや雑誌『主婦之友』の表紙原画を描いたり、日本初の美人写真コンテストの宣伝画はもちろん、審査員まで務めたり。つまり、当時の“イケてるファッション”や“トレンドの美人”を決めたのは、この人だったといっても過言ではない(?)ほど。岡田さんの私的な好みが入っていたかどうかはわかりませんが、日本の美の基準に大きく関わっていたことは間違いありません。
▲岡田三郎助《ダイヤモンドの女》。日本初の美人写真コンテストの宣伝用に描かれたもので、最優秀賞にはダイヤモンドのリングが贈られたとか。面長&ぱっちりEYE!1908 (明治41) 年 福富太郎コレクション資料室蔵
そして、こちらがその岡田三郎助さんです。
はい、イケメン!お名前がクラシックなので、勝手に素朴なビジュアルを想像していましたが(失礼)、才能もあって容姿も恵まれているなんて……さぞかし、おモテになられたことでしょう。ときには女子美術大学で教鞭を取るなど、女性の社会進出のサポートにもひと役買っていた岡田さん。今、私たちが楽しく生活できるのは(できてますよね?)、この方のおかげかもしれません。
和装から洋装へと、普段の着こなしが変われば、自然とヘアメークも変わるもの。本展では、当時発売されていたコスメの容器(めちゃめちゃかわいい!)や、ヘアアクセサリー、ジュエリーなども展示。そのトレンドの移り変わりも興味深いですが、「女って、いつの時代もキレイでかわいいものが好きよねー♡」と、共感できるのも観ていて楽しい。もし、この時代にタイムスリップしても、ワイワイ女子トークしながら仲よくなれそうです。
撮影/Ken Kato
岡田三郎助作品以外にも、当時の美人像を描いた絵画は多数観られるのですが、展覧会に同行した友人と話したのは、「結局、男はやわらかくて優しそうな女が好き…」。多くの絵に共通する女性の“もち肌っぷり”にご注目を!同性ですら触れたくなるような、ほわんほわんの体つきは最強なのですね。なーんてことを思ってしまいました。冬休み、箱根に訪れる際には、ぜひお立ち寄りを!
【ポーラ美術館『モダン美人誕生―岡田三郎助と近代のよそおい』展】
開催中~2019年3月17日(日)※会期中展示替えあり。1月30日(水)は展示替えのため常設展示のみご覧いただけます。
構成/湯口かおり