Q.出産後レス状態が続いています。どれくらいの頻度であればレスでの離婚って認められるのでしょうか? (アパレル勤務・34歳・3歳の男の子のママ)
A.「協議離婚や調停離婚であればセックスレスが離婚の理由になることもあるでしょうが、離婚裁判となった場合には、セックスレスもDVも、そのこと自体より、それらが夫婦の婚姻関係の破綻の原因になっているかどうかが焦点となります。
結論から言うと、セックスレスが不仲の要因となっているケースは多々見られるものの、レス=離婚という直接の原因にはなりません。なぜなら例えばお子さんがいる場合、夫婦がセックスレスの状態にあるとしても両親としては依然として扶養義務があり、家族である以上は、それのみが原因で夫婦仲が破綻しているとは見ることはできないからです。
ですから、頻度や、しなくなった理由などを裁判で主張することにはあまり直接的な意味はないと言えます。夫婦や家族には様々な形があり,そこには様々な価値観が介在しています。たとえ性的交渉が無くとも仲睦まじく幸せに生活されていらっしゃる夫婦も多く存在しますよね。覚えておいていただきたいのは、離婚の裁判というのは、夫婦という重大な身分関係を裁判所が強制的に分断させるという、非常に強力な効果を及ぼすものだということです。そのような強烈な効果を及ぼす程の判断を裁判所がするためには、当然、それ相応の理由が必要になってくるのです。単なる離婚したいという願望や個人的価値観のみで離婚の判決を得られるほど甘くはありません。」(中川先生)
●本連載では離婚に関する慰謝料や養育費など、法律的な悩みや疑問にプロの弁護士が直接回答します!ご相談ごとがあるかたは、domani2@shogakukan.co.jpまでメールでお寄せください。 件名に「離婚相談」と書いてなるべく具体的な内容をお送りください。すべてのご相談にお答えできるとは限りません。あらかじめご了承ください。
お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカー旅行に飛び出し、世界中を回ってみつけた、弁護士となって社会的正義を守るという生涯の目標のため、紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にするために日々奮闘中。親身になってアドバイスをくれる人情派弁護士として、依頼者たちからの信頼も篤い。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの人気連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。