Q.こんな大変な思いをして仕事してるのに、手元に残るお給料はごくわずか…。心が折れそうです。
現在、時短勤務中。保育料やら家事代行やらに出費がかさんで、手元にお金が全然残らない。いっそ専業主婦になって倹約に励んだほうがコスパがいいのでは…。疲れがたまる一方で、もう泣きたいです。(36歳・一般事務・1歳のママ)
A.とりあえず今は、仕事を「回す」こと優先で考えてみては?
編集部:子どもを産んで子育てして、いざ時短で復帰したらお給料の安さに血の気が引いた…って話、よく聞きます。働くモチベーション、登坂さんにとっては、ズバリ。
登坂さん:「金」ですね(笑)。
編集部:なんてシンプル…! でもまあ、そうですよね。それでこの相談者の女性も悩んでいるわけですから。
登坂さん:今は夫婦共働きがあたりまえで、専業主婦は‶勝ち組〟って言われる時代ですもんね。お金があり余るほどあって専業主婦になるのはいいとは思いますけど、「いっそ専業主婦になったほうがコスパがいいのでは」というのはたぶん違うと思います。専業主婦になると、自分の収入がゼロになるわけです。きっとそれはそれで、冷静になったらすぐに後悔すると思いますよ。
編集部:そうはいっても、この女性は「今」仕事を続けるのがつらい、と。
登坂さん:もちろん、共働きの大前提は夫の協力あってこそだとは思いますよ。それは夫婦間でよく話し合うのがいいとは思います。ただ、今は子育て中。子育て中の働くモチベーションとはいっても、仕事と子育て、どっちかというと子育てのほうが大事じゃないですか? そこでモチベーションを保てというほうが無理なお話で。だからこの時期は仕事も収入も少し横に置いといて、「回す」だけに集中したほうがいいと思います。そこを乗り越えたら働き方や稼ぎ方をシフトチェンジしていけばいいんですよ。仕事も子育ても全部、って思うから苦しくなると思うんです。「働くママにはこの道しかない!」って思い込まず、「今はこの働き方」「次の段階はこう」など、柔軟に考えたほうがいいのでは。「これしかない」と思うとどんどん疲れるし、それこそ心が折れるから。
編集部:そう考えたら、ちょっと気持ちが楽になります。それでも、働き続けたほうがいいとは思いますか?
登坂さん:これもほんとに考え方によりますけどね。奥さんが仕事に対して未練がなくて、夫の理解もあるなら辞めたっていいと思います。今までの時間を子育てに全部注いで全力で取り組む、って決められるなら。でも、いずれは仕事に復帰して「仕事も子育てもどっちもやる女性として生きていきたい」と思うのであれば、今は少し考え方を変えていただいて。ご自身の中で優先順位じゃないけど、「どういう人生を送っていきたいか」ということを基準にして考えてみたらいいのかなと思います。「今は10のうち子育てに7を投入しなければならないから、仕事にかける割合は少し下がるけれども、最終的には子育てと仕事を両立させたい」となれば、その先で両立することができるように、今はうまく回すことが大事じゃないですか。‶働くモチベーション〟というよりも‶両立させるために仕事を回すモチベーション〟というので考えると、新しいアイディアが出てくると思います。…なんだか僕、偉そうですね(笑)。子育てしたことないので、全部想像で話してますけど。
編集部:そんなことないです(苦笑)。働くママってつい目先のことがツラいって思っちゃいますけど、もう少し長いスパンで考えてみたら、違う見方ができるかも。
登坂さん:結局は、ご自身が自分の人生をどうしたいかだと思います。
取材・文/佐々木 恵(スタッフ・オン)
フリーアナウンサー
登坂淳一
1971年生まれ。NHK入局後、和歌山放送局を経て2003年に東京放送局へ異動。「おはよう日本」や正午のニュースなどを担当した。2018年にNHKを退局後は、フリーアナウンサーとしてTOKYO MX「TOKYO LOVE SPORTS」、BSフジ「BSフジニュース」などを担当するほか、バラエティ番組でも活躍中。