Domani

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LIFESTYLE 私の生き方

2017.12.29

【カバーモデル就任・特別転載】小泉里子 35歳のポートレート Vol.3

 

年齢もキャリアも重ねた30代後半って、上司と部下に挟まれた〝中間管理職〞世代だよね。上の意見を汲みつつ現場を仕切ったり、後輩も育てたりしなきゃいけない…。自分の考えだけを押し通せないし、もどかしく感じることも増えたりして。モデルっていう仕事でいえば、私もそんな位置なのかな。後輩モデルも増えてきたし、編集さんやカメラマンさん、ヘア&メークさんなど、現場のスタッフが年下ばかり、ということも増えた。でもまだまだ活躍している先輩はたくさんいるしね。

今の世の中って、世代を無視してちょっと目立ったりすると叩かれるし、かといって言われたことだけやってると無気力のように見られるし…。うまく立ちふるまうのは難しいと思うけど、私自身は〝いい仕事のためには、上も下もあまり関係なくない?〞って思っていて。

モデルという仕事でいえば、いい写真を撮ることがいちばん大事であって、そこにキャリアがあるって理由で、私は自分の意見を強く押し付けたくない。たとえば撮影中、撮っている写真を見ながら〝これってどうなんだろう? 正解なのかな?〞って思ったとするじゃない? でも、みんながそれがいいって思うなら〝OK!〞って思えるんだよね。もちろんどう考えても違う、こうすればもっといいって明らかなことがあれば言うけど。個人のこだわりを貫いたところで、それって自分だけが気に入った写真にしかならないから。ほかの人や読者のみんなが見ていいと思うとは限らない。だから、なんて言うのかな…年齢もキャリアも重ねたからこそ、いい意味で〝ま、いっか〞という部分もつくれるようになったんだと思う。だって、どうしたって自分の好きな顔とかって決まってきちゃうのよ。ネタも尽きてきちゃうし。誌面になったときに自分の魅力は幅広くあったほうが絶対いい。だから私は、まわりの意見を大事にしています。

今でこそそういうフレキシブルな考え方ができてるし、そういう雰囲気のある時代だけど、私が10代のころはバリバリに上下関係が存在してたな(笑)。ひとつの雑誌に〝専属モデル〞っていうチームがあって、その中で上級生、下級生みたいな関係性があって、年上世代のスタッフも厳しかった(もちろん愛があってね)。実は、CanCamモデル時代に一度だけ、先輩にめちゃくちゃ怒られたことがあるの。私が撮影に遅刻したことを知って、呼び出されて真面目なトーンでめちゃ説教された(笑)。当時私はまだ10代で、学校にも行ってたし、どこか遊びというか部活感覚だったんだよね。後から知ったんだけど、編集部から〝里子にひと言言って〞とお願いされていたみたいで。根が体育会系だから、軽く注意されるよりも厳しく言ってもらえたから素直に聞けた。〝ハイ! どうもすいませんでした!〞って、背筋がピーンと伸びたよね。とにかく怖かった記憶(笑)。今でもその先輩にお会いすると、あのときはありがとうございました、って話をするんだ。もし私がその立場になったら? 絶対イヤ!(笑) 〝そっちから言ってよ~〞ってお返しします(笑)。

あと、これは社会一般でも言えると思うんだけど、ムダな感情が多くない? って思うことがある。先輩を前に後輩ができちゃったらまずいとか、先輩だから後輩よりやらなきゃいけないとか、気にしすぎなのかなって。ま、それを〝気使い〞と言ってしまえば、日本人らしい美徳なんだけど。でも、あくまで結果が求められる目標がある場合は、先輩後輩関係なくできる人がやればいい。そのほうが、結果的によりよいものが生まれると思うんだよね。

そうやって、みんなでひとつの方向に向かうためには〝ゴール地点はなんなのか〞を明確にすることが大事だと思う(私も、ターニングポイントに立ったとき、そう考えるようにしているのだけど)。そうすれば、おのずと必要な人材や具体的な方法が見えてくるはず。優先すべきはいい着地点で、みんなで同じ方向を向いて走れるのが最高の現場だよね。そこで効いてくるのが、われわれ、中間管理職世代だと思うの。私もそうなんだけど、女性って年齢を重ねるといい意味で図太くなるでしょ? さっきも言ったけど、〝ま、いっか〞と流せる余裕と、〝こういうのもアリなんじゃない?〞と臆せず発信できる図太さ。このバランスを絶妙に取れるのが、今の年齢なんだと思う。そういう人がいる現場って、スムーズでいい空気だと思うのよ。先輩後輩は関係ないけど、上と下のつなぎ役はいたほうがいい。その役を担えるのがDomani世代なのかなと。長く仕事を続けていると、どうしてもなあなあな部分は生まれるもの。言われたとおりにやっていれば楽だし。求められることに応えていれば、それはそれでみんなハッピーだしね。でも、40歳を目前にしてそれだけじゃ小さくまとまっちゃう気がして。まとまった上でさらに進化したり、ときには壊すことができたら、人としてもっと深まる気がする。

と、なんだか真面目に語ってしまいましたが…要は! みんなで同じ方向を向くことが大事で、上や下、ましてや後ろは気にせずにね。

 

Domani 2017年6月号 35歳のポートレート より
本誌撮影時スタッフ:撮影/YUJI TAKEUCHI(BALLPARK) スタイリスト/安西こずえ ヘア/EIJI KADOTA(SIGNO) メーク/水野美和子(3rd) モデル/小泉里子 構成/松井美雪

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