大人だからこそ、自分の〝好き〟を大切に!
三好 彩さん/スタイリスト
心が動かないものはどんなに流行っていても、結局着ない
『Domani』をはじめ、さまざまな女性誌でカジュアルからコンサバ、さらにはラグジュアリー…、と多彩なコーディネートを提案している三好さん。求められるテーマに沿いながらも、新しさのあるスタイリングへと仕上げる腕に、多くのスタッフが信頼を寄せています。
「主に大人の雑誌でスタイリングを提案させていただいていますが、個人的には派手な格好が大好き(笑)。赤とか花柄とか…。さらに、絵が好きというのもあって、洋服の色や柄も〝絵〟として見ているところがあるのかも。だから赤や柄の服を着ていると、とにかく気分があがって楽しいんです」
とはいえ働くひとりの女性として、自分の気分だけでなく、シーンに合った着こなしはマスト。そのあたりのバランスはどうしているのでしょうか?
「信頼感のある着こなしであることが最も大事で、プラスできるだけ各媒体のイメージに合う着こなしを心がけています。でも、トレンド感の強い媒体のお仕事のために、気がつけば使わないものばかり買ってしまっていたなんて経験も…。自分のスタイルになじまない服は、どんなに旬であっても結局着ないし、わくわくもしない。けっこうなお金をかけて、痛感しました(笑)」
仕事柄、トレンドに敏感でいなければならないけれど、他人軸に委ねた着こなしをするのも違う。そう実感したことよって、買い物へのアプローチにも変化が。
「その媒体に寄り添いたい、信頼されたいという気持ちに変わりはありませんが、そのために好きでもないものを買うのはやめました。自分が素直に『好き』と思える範囲の中で、マナーとシーンを踏まえたおしゃれをすればいいかなって。実は私、大人になるまで他人の目を気にしておしゃれをしたことがなかったんです。学生時代には友達に『今日、何かあるの?』と驚かれる派手な格好をしていたこともしばしば(笑)。だから、社会人になって逆に他人の目を意識しすぎていたのかも。また、スタイリストとして独立して14年、やっと自信がついてきたことも、自分軸で仕事服を選べるようになった理由のひとつかもしれません」
華やかな〝赤ワンピース〟は着るだけでテンションアップ!
「赤いシルクワンピースは3年ぐらい前に〝トゥモローランド〟で購入。Gジャンやフラットシューズで、さらりと着るのが理想です」
ワンピース/ソフィードール ジャケット/リーバイス バッグ/JW ANDERSON 靴/ザ・リラクス
花柄ワンピースは何枚でも欲しい
「首が詰まっていてロング丈、落ち感のある素材、そして好きな花柄であることがセレクト基準。常に探していて、いい出合いがあったらシーズン関係なく買っています」
ワンピース右から/トーガプルラ、シンゾーン、シティショップ
エレガント&お茶目な絶妙バランス
「小さめの襟やゆったりしたシルエット、しなやかなシルク素材…。〝エキップモン〟のブラウスは、私にとってパーフェクト。チャーミングな柄もツボで、もっている5枚すべてが柄ものです(笑)」
ブラウス/エキップモン
「好き」をレイヤードして気分があがる手元に!
「赤いハートモチーフが好きで、自然と集まりました。パールは10年ほど前の、夫からのプレゼント」
ブレスレット右から/マリー・エレーヌ・ドゥ・タイヤック、ティファニー、ヴァン クリーフ&アーペル、レッド ライン
インパクトのあるリングを効かせて
「ライオンのリングは、緊張感のある仕事の最中にふと目が合うと、勇気をもらえます(笑)。〝シャネル〟の『ココクラッシュ』は辛口な女っぽさにうっとり」
リング右から/グッチ、シャネル
これさえあれば安心の黒クロップド
「いろんな素材をもっていて、買い替えながら週4ではいている黒パンツ(笑)。とにかくシルエットがきれいで、高く見えるのが最高。派手なアイテムをシックにまとめてくれるので、なくてはならない存在です」
パンツ/ユニクロ
想像力を刺激する本や写真集
「本や写真集から、スタイリングのイメージをふくらませることもしばしば。上は、勝手に心の師と仰いでいるスタイリスト北村道子さんの『衣裳術』。中は海外のSNAP集、下は〝エルメス〟のスカーフの柄を堪能できる写真集です」
働くことに自信をくれる相棒
「『アマソナ』のスクエアなフォルムと品のよさが仕事をするうえでの信頼感をくれる気がして、独立したのをきっかけにピンクスエードのタイプを購入。それから少しずついろんな色や素材を集めています」
バッグ/ロエベ
だれにでも共通するおしゃれの正解は存在しない
今後は読者である働く女性に向けて、より柔軟で楽しい着こなしを提案できたら…、と考えているのだとか。
「社会で活躍している女性って、パワーも自信もあって魅力的。そしてそういう人は、自分なりの価値基準をしっかりもっていると思うんです。なので、雑誌で提案しておいてなんですが(笑)、惹かれない流行はスルーすればいいし、雑誌に載っているコーディネートだってどんどん自分流にアレンジしてほしい。自分なりの正解を探すことでしか、自分のスタンダードって見つからないのかなと思うんです」
そんな三好さんも、最近はパターンや縫製など「パッと見ではわからないつくりのよさ」に惹かれることが増えてきたそう。
「今までは見た瞬間にときめく服ばかり買っていたのですが、ちょっと大人になったのかもしれません(笑)。とはいえ、赤も花柄も一生着ていると思います。やっぱり〝好きって正義〟ですから」
スタイリスト
三好 彩
女性ファッション誌をはじめ、ブランドのカタログや広告など、多岐にわたり活躍するスタイリスト。ハイブランドや毎シーズンのトレンドにも精通していて、ファッション企画を練り上げる際にも頼りになる存在。5歳年上の料理上手な夫と温かな家庭を築いている。
Domani2020年10/11月号「ALL私物で見せてもらいました!『これが私の〝10年ベーシック〟。』」より
撮影/谷口大輔 構成/今村紗代子 再構成/Web Domani編集部
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