東山サリー(韓国コーディネーター・ライター)
ソウル在住/都内出版社で広報として勤務した後、韓国が好きすぎるあまりフリーランスに転身。 ソウルへ移住し現地の最新情報を日々収集している。韓国カフェ通としてテレビ番組『にじいろジーン』にも出演。著書に『韓国カフェ巡り in ソウル』(ワニブックス)、『本当は秘密にしたいソウルのおいしいもの巡り』(産業編集センター )などがある。 instagram:@saliy83
轟 友貴(ライター)
東京在住/高校生の頃にBIGBANGがきっかけでK-POPにハマる。韓国好き歴12年。日本と韓国を行き来しながらK-POPアイドル、俳優にインタビューなどを行う他、美容雑誌やWEBマガジンでは韓国コスメ記事も執筆。instagram :@__y.92
【#톡톡 vol.1】
ソウルの冬の必需品〝ペディン〟って何!?
【ペディン】とは…
ペディンは韓国語で「패딩」と書き、ダウンコートのことを意味します。つまり、ロングペディンは〝ロングダウンコート〟、ショートペディンは〝ショートダウンコート〟のこと。マイナス10度以下になることの多い韓国では定番のファッションアイテム。
サリー:先日ソウルでも初雪が降ったばかり。寒くなってくると、本当にロングペディンが手放せなくなるんだよね。着るとシルエットはペンギンみたいになってしまうんだけど(笑)。
ユキ:ペンギンからペディンと言われるようになった説もあるもんね。韓国では高校生や大学生が着るイメージがあるかも。
サリー:確かに。以前「thisisneverthat(※1)」のブラックロングペディンを着てカフェへ取材に行ったら、カフェのスタッフさんに「ディスイズネバーダッツ〜!若い子に人気のブランドだね!」と言われてしまった苦い経験があるの。ただ、韓国ファッション好きとしては、現地の気分を味わいたくて、ついついよく着てしまうんだよね。
※1:2010年にソウルで誕生したブランド。20代のストリートファッション好きのメンズから絶大な人気あり。
ユキ:韓国の国民アイテム(※2)だもの。私は一昨年買った「THE NORTH FACE」のペディンが気に入っていてずっと着ているから、今年は新しいものを買おうかと思っているところ。
※2:ひとり1つ(1枚)は持っている認知度も人気度も高いベストセラーアイテムのこと。
サリー:本当はおしゃれなトレンドコート着たいけれど…冬のソウルは寒すぎてどうしても実用性重視になってしまう。となると、どうしたってロングペディン一択になってしまうんだよね。あと、毎年各ブランドのペディンの広告モデルに大物スターが起用されているのでついつい新調してしまうっていうのもあるかも。
ユキ:ソ・ジソプやコン・ヒョジンのような大物俳優・女優が広告モデルを務めることからも、いかにロングペディンが国民的なアイテムかっていうことがわかるよね。2018年「THE NORTH FACE」はMAMAMOOのファサ、2019年「FILA」のキム・ユジョンなど、その年にブレイクした人が広告モデルとして起用されるイメージかな。今年はSF9のロウンが「THE NORTH FACE」が選ばれたりしているので、ペディンの広告はライジングスターの登竜門的な役割もあるし、リアルに韓国の若い子たちから人気がある人が選ばれるから、〝ペディンの広告に出演する=ステイタス〟でもあるのかも。
サリー:今年は『夫婦の世界』でブレイクした女優のハン・ソヒの「EIDER」の広告を見て、白のショートペディンがめっちゃかわいいなと思った!
ユキ:白かわいいな! 汚れを気にしなくてもいいのであれば、本当は白がいいんだよな。
サリー:絶対白汚しちゃうのはわかっているんだけど…でも着たいという乙女心。
ユキ:白のペディンを着てる子は、オシャレに敏感だなと思う。
サリー:去年くらいからショートペディン、かわいいなぁ〜って思うようになってきたんだけど、年齢的には腰回りも温めたくって、結局ロングを買ってしまった(笑)。
ユキ:トレンドとしてはショートペディンが流行ってきてるように感じるな。モデルカットは大体ショートのことが多いし。大人は優雅なダウンやムスタン(ムートンライダース)、どんなに極寒でもきれいめコートを着てる女性も多いだよね。凍え死んでも絶対コート(얼죽코/読み方:オルチュッコ)って言葉があるくらいだから(笑)。
サリー:さすが、韓国の女の子たちは気合い入ってるわ。そうだ、Red Velvetのスルギが広告モデルを務めている「CONVERSE」もかわいかったよ。やっぱり、スポーツブランドやアウトドアブランドのものは安心感がある。
ユキ:うん、結局、スポーツブランドが信頼性が高いよね。韓国人の友達は「選ぶブランドでその人のキャラクターがわかる」、「○○のブランドのものを着ていたら、インサ(인싸=イケてる)!」って話していて、そういう部分も面白い。
サリー:あ〜その意識、なんとなくわかるな。日本に住んでいた時はスポーツブランドにはそんなに興味がなかったけれど、ソウルに住むようになってからスポーツブランドはかなり買うようになったかな。
ユキ:たしかに韓国ではスポーツブランドもおしゃれ着として着ているかも。韓国は〝ロゴ、ドーン!〟のデザインを好む傾向にあるよね。韓国で人気が出たら、日本でも人気が出るという逆輸入現象が起こってもいるし。
サリー:あとは、ロゴが見えるほうがおしゃれというイメージもあるかも。韓国の友達と買い物の話をしてた時に「オンニ、それはロゴが見えてないから意味ないじゃん」的なことを言われたことがあるし。人気ブランドは、やっぱりナイキかな?
ユキ:ナイキは比較的買いやすい値段ということもあるのかも。去年江南にいる若い女の子たちは、みんなこぞって「DESCENTE」を着ていたよね。
サリー:「DESCENTE」は、今年も人気みたい。あとはやっぱり「THE NORTH FACE」「adidas」もちらほら見かけるかな。「THE NORTH FACE」は定番になったかもね。最近は、ペディンだけどダッフルコートみたいなデザインのものも出ているよね。「ル・コック」のペディンもかわいかった!
ユキ:これか〜!かわいい!この感じなら軽さがあるから、春先まで着れそう。
サリー:広告モデルは、大好きな俳優キム・ドンヒだし! ドンヒが着ているこのダッフルコートみたいなデザインのペディン、韓国のインフルエンサーの女の子が着ていてかわいいと思ってたんだよ。あ〜かわいい!! とにかく今年はショートペディンに挑戦かな。
ユキ:ペディンはお店に入った時の置き場所にも困るのだけがネックだよね(笑)。どう畳んでいいかわからないし、収納場所がないしかさばる。
サリー:脱いだところで置き場所ないもん。あと無理やり置いても、見栄えがよろしくないというか…。
ユキ:まぁ、韓国の人たちはお店に入ってもそもそも脱がないんだけどね(笑)。
サリー:ペディンを着たままでいると、現地の人ぽく見えるかもね。
文/東山サリー (※店内写真は許可を得て撮影しています)
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