幸せを妨げたのは「男のプライド」だった
前回のお話▶︎適齢期という理由だけで結婚したら失敗した僕の話
「世界でいちばん嫌いな人は元嫁」と語る賢治さん。
愛し合って結婚したふたりなのに、一体何がそんな風に、元夫婦の仲を拗れさせてしまったのでしょう。
アメリカで遠距離恋愛をしていた賢治さんとA子さん。同棲してみると合わないことがわかったのですが、「30歳で結婚する」と決めていた賢治さんは、別れる選択肢をまったく考えずに結婚してしまいます。
賢治さん:結婚したらどうにかなると思っていたけれど、どうにもなりませんでした。例えば向こうが外出好きなので、旅行やイベントなどを調べて「出かけよう」と誘って来る。それで一緒に出かけるのは別に構わないんですが、彼女は僕にも同じようにリサーチすることを求めるんです。だけど出不精の僕はそこまでする気力はない。彼女の中では「男だったらこうするべき」というイメージが勝手に出来上がっていて、それに僕が当てはまらないと許せなかったんでしょうね。男だったら男らしくもっといろいろ僕が決めてリードして欲しいと思ってたんじゃないかな。
おうち派の賢治さんに対して、出かけるのが好きなA子さんはしょっちゅう飲み歩き、遅い時間に帰って来る。ふたりがシカゴに住んでいたこともあり、「心配するから遅くなるなら連絡してね」と伝えているのに一切連絡はない。電話しても出ないし、LINEを送っても既読にもならない。
賢治さん:彼女が帰宅してから文句を言うと、「お酒を飲んで気持ち良くなってるのに、何でそんなこと言うの?」とケンカに。僕に対してのリスペクトがないなと思いましたね。
しかもこの頃、A子さんはビザの問題で無職の身。それなのに、「男はもっとしっかりしなくちゃ」「男ってほんとに子供よね」と、自分の勝手な「理想の男性像」を押し付けては賢治さんをディスってくる。夫として妻を養うためにも一生懸命働いていた賢治さんは、プライドもメンタルもボロボロになってしまいます。
お互いに合わないと感じつつ、毎日イライラして、顔を合わせればケンカ。そんな生活が8年間続きました。
さかい:よく8年も我慢しましたね。その間、離婚は考えなかったんですか?
賢治さん:僕は保守的な家庭で育ったので、結婚って人生で一度きりのものだという、ロマンティックで古い概念を抱いてたんです。だから、離婚というのは自分のプライドもあって出来なかった。
う〜ん。やはりここでも、プライドが賢治さんの決断を鈍らせてしまったのですね。男性にとってプライドって、そんなに大切なものなのでしょうか。
さかい:その間、お子さんを作ろうという話にはならなかったんですか?
賢治さん:それが、恐らくお互いに、「この結婚生活は長続きしないな」と感じていたんでしょうね。まったくそういう話は出なくて。そもそも同棲中からレス気味だったので、夫婦になってからの8年間も、数えるほどしか夫婦生活はありませんでした。
そんな賢治さんがどうして離婚に踏み切って、そしてその後今の再婚相手に出会ったのか。そのお話は、次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。