宝塚歌劇団の元トップスターと元トップ娘役によるストレートプレイは初の試み
舞台『8人の女たち』は、元トップスターと元トップ娘役の8人という豪華な顔ぶれに加え、演出はジャンルレスに活躍する板垣恭一さん。タカラヅカOGのファンにも現役ファンにも、舞台好きにも刺さる作品です。
▲左から、久世星佳、花乃まりあ、夢咲ねね、水夏希、湖月わたる、珠城りょう、蘭乃はな、真琴つばさ
そもそも本作はフランスの戯曲で、2002年にフランスで映画化されてカトリーヌ・ドヌーヴら出演した8人がベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)を授与された名作。ミュージカル映画化もされ、日本でも人気のキャスト&スタッフで2回舞台化されたことのある傑作戯曲です。
歌も踊りはなく、セットが変わらないから転換もなし。出てくるのはマルセル家の主人・マルセル(この人は出てきません)を取り巻く家族たちと、マルセル家のメイドの8人の女性。とにかくいろんなものが削ぎ落とされた、いたってシンプルな舞台。だからこそ登場人物ひとりひとりの輪郭が際立ち、物語に奥行きをもたらしていました。
8人の衣装も、その奥行きにひと役買っているように感じました。みんな「赤」を使っているのですが彩度や明度、役的にテイストはバラバラ。でもちゃんと「赤」の統一感があって。個人的に、水さん演じるオーギュスティーヌの衣装が好みです(赤と水色の色合わせが素敵)。
▲左から、湖月、花乃、珠城、蘭乃、夢咲、久世、水、真琴
とにかくセリフのテンポがよくて、ちょっとした言い回しにユニークさがあってクスッとする箇所が散りばめられています。途中から少しずつ謎めいた部分が生まれてきて、女性特有のイヤな部分が見え隠れしたり、最後もなんだかザラッとするNOハッピーエンド(バッドエンドと言えばバッドエンドなのですが、あえてこの言い方で)。出てくるのは女性ばかりだし人間関係や起こる出来事が入り組んでいるから、集中して観ないとわからなくなりそう…と思いきや、8人がそれぞれの個性をしっかり見せてくれて楽しむことができました。
そして宝塚歌劇ファンにとっては心躍るキャスティング。なんといっても全員が元トップスター&元トップ娘役です。重なる期の人がいなくて、組もいろいろ。退団して活躍を続けてきた8人が一堂に介すってすごい! 宝塚歌劇団といえば、お芝居だけじゃなく歌も踊りも必須だから退団後は主にミュージカルの舞台を主戦場にすることが多いのですが、こんな舞台作品も魅せてくれることを教えてくれた舞台でした。OGのみのストレートプレイは初なんですね。これは絶対に観るべきなのでは!
▲頭の位置の順で左から、花乃、久世、水、夢咲、湖月、珠城、真琴、蘭乃
ここで演出家+8人のキャストのコメントを紹介します。
上演台本・演出/板垣恭一
「ありそうでなかったお芝居が生まれたかも知れません。そのチャンスを与えてくれた梅田芸術劇場に感謝。演出家の要望に身体を張って応えてくれたキャストたちに感謝。様々なアイディアを提案してくれたスタッフたちに感謝。何よりこの演目を楽しみにしてくださっている観客のみなさまに感謝。ご来場ご視聴、どちらもお待ちしております」
湖月わたる/ギャビー役 (殺されたマルセルの妻。ジュゾンとカトリーヌの母)
「今回のギャビー役は私にとって、とても大きな挑戦です。妻・母・娘・姉・義姉としてのプライドを、秘密を、必死に守ろうとする彼女…。演出の板垣さんが、ここまで来たらとにかく楽しんで!と仰ってくださったので、カンパニーの皆さんと楽しみながら、思い切って 演じたいと思います。劇場で、配信で、お楽しみいただけたら嬉しいです!」
水 夏希/オーギュスティーヌ役(マミーの娘。ギャビーの妹)
「宝塚 OGのみのストレートプレイ。初の試みに精一杯挑みます! とは言え、そんな事関係なく一人の俳優として、人間味溢れたオーギュスティーヌを演じきりたいと思います」
珠城りょう/ピエレット役 (マルセルの妹)
「私にとって初挑戦のストレートプレイ。個性溢れるキャストの皆さんとハラハラドキドキする時間をお届けしたいです! 皆様に心から楽しんでいただけます様に」
夢咲ねね/ルイーズ役 (マルセル家の新しいメイド)
「早く皆さまに観ていただきたい! 8 人の女たちのどの目線でも楽しめますし 愛おしい 8 人です。どうか劇場にこの閉ざされたお屋敷を体験しにいらしてください」
蘭乃はな/シュゾン役 (マルセルとギャビーの長女)
「奇跡のような時間を過ごせることに感謝し、お稽古で積み上げたものを本番で昇華していきた いです。お客様に楽しんで頂けましたらこれ以上の幸せはありません。『8 人の女たち』をどうぞよろしくお願いします」
花乃まりあ/カトリーヌ役(マルセルとギャビーの次女)
「演じている私自身も楽しくてたまらないこの作品。劇場で一緒に推理していただける日が待ち遠しいです!」
真琴つばさ/マミー役 (ギャビーとオーギュスティーヌの母)
「衣装とセットと演出家の板垣さんの斬新なアイデア! いままでの舞台でも映画でもない、宝塚 OG ならではの『8人の女たち』を堪能していただけたらと思います!」
久世星佳/シャネル役 (マルセル家のメイド)
「宝塚で育った年代バラバラの卒業生8人。果たしてそれぞれがどんな色を舞台上で紡ぎ出すのか、お楽しみ頂ければ幸いです」
▲左から、花乃、夢咲、湖月、久世、真琴、珠城、水、蘭乃
東京公演は9月4日まで、大阪公演は9月9日〜12日。オリジナルステッカーのプレゼントやアフタートークショーなど楽しい仕掛けも! ライブ配信が予定されているので、リアル観劇がかなわない人はぜひ。マルセル家の不思議な空間に足を踏み入れてみてください。
文/淡路裕子
宝塚 OG キャストがおくる、極上のミステリー劇! 華麗なる8人の真実はひとつの結末へ…
『8人の女たち』
フランソワ・オゾン監督によるミュージカル映画化も話題になった傑作戯曲が、元宝塚歌劇団トップスターたちの豪華顔合わせにより、ストレートプレイ版として上演。
本作はフランス戯曲で、2002 年にフランス映画で有名となった作品です。ベルリン国際映画祭ではカトリーヌ・ドヌーヴを含む 8 人の女優全員に対して、銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)が与えられました。フランソワ・オゾン監督によるミュージカル映画化も話題になった傑作戯曲を、元宝塚歌劇団トップスターたちの豪華顔合わせによって、ストレートプレイ版として上演致します。
出演は湖月わたるはじめ、水 夏希、珠城りょう、夢咲ねね、蘭乃はな、花乃まりあ、真琴つばさ、久世星佳と宝塚歌劇団 トップスターだけの豪華 8 人で極上のミステリー劇を繰り広げます。
【Story】
舞台は 1950 年代フランス。クリスマスイヴの朝、雪に閉ざされた大邸宅で一家の主マルセルが刺殺される。クリスマスを祝うために集まった、彼の妻ギャビーや二人の娘ら、8人の女性たちは一転、全員が容疑者に。お互いが疑心暗鬼に陥るなか、妖しくも美しき8人の女たちの謎めいた秘密と嘘がつぎつぎと明かされます。犯人は一体誰なのか!? 華麗なる8人の真実はひとつの結末へ…。
【原作】《HUIT FEMMES》by Robert THOMAS
【上演台本・演出】板垣恭一
【出演】湖月わたる 水 夏希 珠城りょう 夢咲ねね 蘭乃はな 花乃まりあ / 真琴つばさ 久世星佳
【公演日程・会場】
<東京>2022年8月27日(土)〜9月4日(日) @サンシャイン劇場
<大阪>2022年9月9日(金)〜12日(月) @梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【チケット料金(税込)】
<東京>S席¥11,500 A席¥9,000
<大阪>全席指定¥11,500
※当日券あり!
【お問い合わせ】
梅田芸術劇場(10:00〜18:00)
<東京>0570-077-039
<大阪>06-6377-3888
\ライブ配信決定!/
◆実施日:9月3日(土) 17:00公演
※9月6日(火)23:59までの3日間のアーカイブ付き
◆料金(税込):
配信のみ¥5,000
プログラム郵送サービス付き¥7,000
◆発売日:8月27日(土)10:00〜9月6日(火)21:00まで購入可
◆情報掲載ページはこちら
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