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LIFESTYLE インタビュー

2023.09.16

【宝塚歌劇団OGリレー連載/吉田詩織(優波 慧)さんvol.2】「今の仕事は転職サイトで見つけました」

宝塚歌劇団を退団後、初めてのメディア登場となる吉田詩織(優波 慧)さん。2回目の今回は、ファッションの仕事にまつわるあれこれをうかがいます。

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自分が企画にたずさわったカーディガンを着た方を劇場で見かけて大感動…!

宝塚歌劇団在団中は花組の男役として、舞台を引き締めてきた優波 慧(ゆうなみ・けい)さん。前回はタカラヅカ時代の思い出をメインに、お話をうかがいました。

退団後の現在は本名の吉田詩織さんに戻り、セレクトショップの「LOVELESS AOYAMA」に勤務されています。アパレル業界に携わるファッションのプロに聞く秋のトレンドについて、今の吉田さんの日々について…などをお届けしていきます。

優波慧さん

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現在のお仕事についてうかがいたいのですが、タカラジェンヌからアパレルへ転身したのはなぜですか?

吉田さん(以下敬称略):ちょっとリアルなのですが、私は転職サイトを見て決めました。宝塚歌劇団に入って男役になることしか夢がなかった私は、退団してからなにかをやりたいとは思わなかったんです。「どうしよう、でも働かなきゃ」と思って転職サイトで見つけたのがLOVELESSの求人だったんです。

もともと洋服が好きだったのもあります。男役としては肩幅がなく華奢な体格だったので、「普段の服から(男役として)気にしていたほうがいいよ」と言われていたんですね。そこで上級生の方にどこで洋服を買っているのかをうかがい、初めて聞いたのがLOVELESS。「メンズでも細身のジャケットやセットアップとか、女性でも着られるようなのがあるよ」ということで、現役時代からよく行っていました。

たしかに男役の方がよく行かれている印象です。

吉田:そうですよね。そんなわけでなんとなくビビッときて、面接が受かったので「入ります」と。そんな感じで普通に就職しました。

一般人からしたら、タカラヅカって特殊な世界じゃないですか。そこから普通の職業に就くには、みなさんどんな過程を経ているんだろうと思いました。

吉田:私のようなパターンはあまりないかもしれないですね。名前の話になるのですが、「優波 慧」という芸名はタカラヅカの男役のときだけと決めていたんです。「宝塚歌劇の舞台に立ちたい、男役になりたい」というのが私の唯一の夢だったので、タカラヅカを退団した今、その名前を使ってなにかの活動をすることはまったく考えていませんでした。今後もしかしたらその考えが変わることがあるかもしれませんが…。そんなわけで退団後は芸能のお仕事や取材などもいっさいお断りしていたんです。

今回受けようと思ったのは、花組で切磋琢磨した音 くり寿(おと・くりす)ちゃんから紹介をいただいたこと、同期に背中を押してもらったこと、ファッション系の媒体なので今の職業につながることなど、いろいろなことがピタッとハマったから。タイミングですよね。

優波慧さん

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受けていただけてうれしいです。今の仕事は自分に向いていると思いますか?

吉田:私みたいな人見知りが接客できるかなと思ったのですが、まわりのみなさんには「接客業をやったほうがいい」と言われました。そうじゃないと人と話さなくなるからって(笑)。退団後に表に出る(芸能などの)活動はしない、芸名も使わないと決めてはいましたが、やっぱりファンの方は気になっていたから、違った形で会える所に就職できたのはよかった。観劇に行くときに着るものを選んだり、生徒さん(タカラジェンヌ)へのプレゼントを選ぶお手伝いをすることで、現役時代にたくさんいただいたお気持ちを少しでも返すことができたらうれしく思います。幸せに、楽しく仕事をさせていただいていますよ。

観劇に行くときの着こなしとか、相談したいですね。

吉田:はい、お客さまと一緒に選ぶのが楽しいです。花組観劇なら「ピンクを入れましょうか」とか、宙組なら「この紫のパンツはいかがですか?」とか。あと、お客さまが私をひとりのタカラヅカファンとして見てくれるのもうれしいですね。それこそ芹香さんのことだったり、「○○さん、カッコいいですよね」というお話で盛り上がったり。

セレクトショップなので、それぞれのブランドの魅力や洋服の選び方を伝えたりしています。お客さまが試着室から出てきたときに「わーっ!」と輝く表情を見るのがすごく好き。「自分では選ばないような、新しいものに会えました」とか「いいお買い物ができました」という言葉を聞けるのがとてもうれしいです。そのときに買わなくても「またあの人に相談してみよう」「あのお店が楽しかったからまた行ってみたいな」と思ってもらえるようなお店であり、販売員でありたいなと思っています。

企画から手がけられたという5色のカーディガンについてのお話もうかがいたいです。

吉田:ありがたいことに会社からその話をもらい、そのときにまず思い浮かんだのが5色のカラー展開だったんです。アイドルグループでも推しカラーがありますが、やっぱりタカラヅカファンは、ピンク・イエロー・グリーン・ブルー・パープルの順に並べたくなりますよね(笑)。裏話としては、SS(スプリング&サマー)の商品というのは決まっていて、納期の期日が短かったんです。なのでLOVELESSオリジナルの既存のカーディガンの形をそのままに、カラー展開を新しいものにしました。

LOVELESSのカーディガン

吉田:AW(オータム&ウィンター)では念願がかなって、デザインから考えた5色のブラウスを展開します。ちょっとタカラヅカを意識したような大きめのリボンタイがついていて、3wayで使い回せるデザイン。パンツにもスカートにも合い、ドレスアップしたいときにもお仕事のときにも使えるようなブラウスです。

「舞台から見たときに何色が目立ちますか?」と聞かれることが多く、体感としてはやっぱり明るい色に目がいくんですね。なので今回は明るめの5色になっています。発売日は未定ですが、楽しみにしていてください。

タカラヅカとお客さまをつなぐ架け橋みたいですね。

吉田:うれしいですね。きっかけをくれた会社にも感謝です。自分が観劇に行ったときに、手がけたカーディガンを着ているお客さまに出会ったときは、「うわー! 観劇に着てきてくださっている!」と本当に感激しました。お店で「着ていますよ」というお話をうかがうだけでもうれしかったのに、実際にそれを目にすると喜びが深まりますね。

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