見つからないから…、フィレンツェの工場に注文!
足のサイズが22センチと小さい上に、かかとが細くて、ローファーでさえパカパカ。セレクトショップで試着した「ポルセリ」のバレエシューズは、ヒモでフィット感を調整できるから、かかともちょうどいいのだけど…。
ショップにサイズ35(22センチ)が残っていることはそもそも少ないし、あったとしても、出会えたのはホワイトやピンクなど。それでもいいけど、やはり1足目はプレーンなブラックやグレーが欲しい。しかも、私が探している「デコルテ」という3センチヒールのモデルは、めったにお目にかかれない…。
●2017年7月上旬
いくつかのネットショップで発見しても、モノトーンは売り切ればかり、サイズ35も大抵はSOLDOUT。あきらめられずに検索していると、ピエロトゥッチ・オンラインショップというイタリア・フィレンツェの革工場で注文できることを発見。
ただ…。「ポルセリのバレエシューズを作る職人が限られているため」約9月かかるとの説明(2017年当時)が。ポルセリにおいては、この工場で作るのではなく専門職人の元へ発注されるようです。うーん、どうしようかな。
●2017年7月20日
しばし迷って、「来春のために」オーダーを決意!
注文したのは、こちらの2足です。
初めての、しかも海外へのオーダーで、2足も大丈夫か? という気持ちもありましたが、もし1足ができてから、やっぱりもう1足となっても、さらにそこから9か月後、というのは気が遠い。もはや、失敗覚悟の2足オーダーです。
シルバーメタリックが199ユーロ、ブラックが173ユーロ。送料込み。トータル約5万円。次の春、デニムに素足で履くんだ。夏はフレアスカートと合わせるんだ。妄想コーディネートをしながらポチっとしたら、あとは待つのみです。
●2017年12月20日
注文したことも忘れていたクリスマス前、メールが来ました。
「手作りのポルセリのバレエシューズの生産が追いつかず、ご迷惑をおかけしますが……(中略)ご注文の商品は、4月入荷予定です。」
4月入荷なら予定どおりだし、ともかく忘れられていなくて、よかった。フィレンツエの職人さん、どうぞよろしくお願いします、という気持ちだけ、送っておきました。
覚えのない請求が…?
●2018年2月
注文したことを忘れていたとき、「372ユーロ 51,657円」の引き落としがクレジットカード明細に! カード会社に「怪しい請求があります!イタリアで買い物してません!」と電話をしてしまいました。オペレーターの方は落ち着いて、「イタリアにある会社への、ネットでの買い物です」と言われ、ようやく思い出しました。そうか、これでやっと、作り始めてくれたということなのですね。
●2018年5月11日
そういえば、「入荷予定」という4月を過ぎてたことに気づいた初夏。メールで 「4月予定の商品が、まだ到着しておりません。……」と丁寧めに送ってみました。
すぐに返事があり、「全体に遅れが生じており」、「デコルテモデルは限られた職人さんの中のさらに限られた職人さんのみが製作可能なこともあり」、「注文から1年ほどお時間をいただいている」とのこと。
1年ということは、7月末か。今年の夏には履けるかな。だといいけど…。
●2018年7月9日
前回予告された「注文してから1年ほど」になったものの、音沙汰なし。問い合わせてみる。ちょっとしつこいかな? いや、そんなことないよね。またもやすぐお返事あり、
「ご注文のシューズ大変お待たせしております。…(中略)…・今月に入って、デコルテモデルをご注文頂いたお客様のシューズが数足ずつ入荷してきております。只今の入荷状況から見て今月には入荷がかあると期待していますが、今月入荷しない場合は8月はポルセリがお休みなので、休み明けの9月に入荷するのではないかと思われます」
ここまでくると、急がせる気持ちはまったくなくなり、「どんなおじいちゃんが作っているんだろう」とか、「8月丸々夏休みなんて、うらましすぎる」とか、いろいろ想像がふくらんで。到着は秋かもね。と、あきらめかけていたとき…。
●2018年7月26日
<発送の連絡>というメール。ついに来た! とうとうフィレンツェを出発したようです! あとは到着を待つのみ。注文からちょうど1年。長かったな、でもなんだかんだ楽しかったな。
到着までの毎日、郵便局のホームページで<追跡サービス>をチェックしては、そわそわ。
●2018年8月3日
到着! あ、あ、あれ? ずいぶん包みが小さいけど…、そうか、夏休み前に間に合ったのは、2足のうちの1足だったのですね。ま、それでもいいです。
さっそく履いてみました。やっぱり…かわいいです。そして、どこにも締め付け感がなくて、軽くて、まるで昔の「上履き」みたいな感覚。でも、3センチのビールがあるから、ぺったんこバレエシューズのように、ペタペタ歩きで疲れることもなし。ちょうど、スニーカーばかりに飽きてきたし、これから毎日履きます。
長旅おつかれさま。そして、これからよろしくね。
「時間のかかるネット通販」ともいえますが、そもそも「手に入りにくいものがネットで買える」と考えれば、時間は二の次。丁寧につくっていることは物を見ればわかるし、大事に使おうという気持ちもわいてきます。
さて、ブラックのほうのもう1足は…、さらに気長に待つことにします。
南 ゆかり
フリーエディター・ライター。CanCam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。よろしければそちらも読んでくださいね。