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LIFESTYLE 私の生き方

2018.10.18

アラフォー女子のセカンドハウス物語【カリスマエステティシャン真理子の場合】/story2 銀座の夜景を観て暮らす

 

マイホームと別に、自分だけの「セカンドハウス」を見つけたワーキングウーマンの実録ストーリー。エステ開業と同時に銀座のマンションを借りた真理子さん(仮名)の2回目。

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
Tags:

story2 セックスレスからの銀座ひとり暮らし

Profile
真理子さん(41歳/仮名)夫あり
職業/エステティシャン
趣味/漢方、習字
住まい/東京・立川市(戸建・購入・地上2階2LDK+半地下1部屋)
            東京・中央区銀座(マンション・賃貸・35平方メートル・家賃20万円)

○story1 ホームシアター付きのマイホーム
○story2 銀座のセカンドハウスで夜景を観て暮らす
○story3 物を減らしてわかる家のよさストーリー

銀座のセカンドハウス物件探しへ

銀座でのエステ開業にあたって、物件探しはそれほど苦労しなかった。というのも、場所を銀座と決めてしまえば、予算の家賃20万円にかなう物件は数件しかなく、その中からお客さまが寛ぎやすい環境――外の音がうるさくない、プライバシーが守られる、シンプルな内装――を考えると、空室があったのはたった2軒だった。エステの施術台を置くには、2軒のどちらも優劣はない。けれど、窓から東京駅舎や丸の内のビル群が見えたとき、12Fのこの物件に心は決まった。

「35平方メートルと狭いけど、この景色なら、さびしくならない。そう思いました。と、そこで気づいたんです。仕事用に探していたた物件だったけれど、物件探しをしているうちに、いつしか自分が住むセカンドハウスとして考ていたんだってこと。

契約を済ませてから、夫には事後報告しました。銀座にマンション借りたから。遅くなったらそっちに泊まるから。そう言ったら、なんて言ったと思います?

『やれるなら、どうぞ。でもお金は出さないよ』

そのころの太郎は、家のローンは終わっていたものの、金銭的余裕はなかったと思います。少しかわいそうだと思いながらも、でも、たまに語ってくれる映画への夢を聞くと、今もその熱があることにホッとさせられたり。私は、子どもをつくることへの諦めが落ち着きに変わってきて、そして、太郎に対してはむしろ母のような気持ちになっていました。ごはんちゃんと食べてるかな、シアタールームに引きこもってないかな。って(笑)。だからといって、ずっと一緒にいる必要性はもうない。少し距離を置いて暮らすのが、ちょうどいい気がしてきました」

自分だけのスペースで好きな仕事ができる幸せ

赤坂のエステで使っていた施術台は、銀座のマンションのリビングダイニングに運び入れ、そこをエステルームにした。エステルーム(元リビングダイニング)とキッチンの間に可動式の壁を置き、お客さまからは余計なものが目に入らないように配慮した。ドアを隔てたベッドルームが真理子のプライベートスペース。5畳ほどしかないのでシングルベッドを置いたら余裕がなくなってしまったけど、仕方ない。物を増やさないようにすればいいだけだ。

ただ、「遅くなったら泊まる」はずだった銀座のマンションが、いつしか「ここに居たいから泊まる」になって、やがて「ずっと居たい」に変わっていった。昼から施術が始まって、夜11時終了のお客さまを見送るまで、休みなく施術をして、すぐにその日の記録をつけたり片付けをしたり、翌日の準備をする。最初は終電に間に合わせようと急いで東京駅から中央線に乗って立川に向かったけれど、今は銀座で泊まるほうが多い。

「早く帰らなくちゃ、という焦りがなくなって、お客さまのグチの相手も追加マッサージの要望も、丁寧にできるとわかりました。体の不調だけでなくて、何か話したい方が多いんです。それをうなずきながら聞くのも、私の仕事ですから」

お客さまの話を聞くとき、真理子はひたすら聞き役に徹し、「大変でしたね」「お気持ちわかりますよ」とうなずく。背中にそっと手を置くだけのこともある。「YES」も「NO」も言わないし、真理子が決めることもしない。でも、話を聞いてもらえただけで、お客さまのほうは気持ちが明るくなって、足取り軽く帰っていく。

1日の施術が終わった真理子は、施術中は閉めているカーテンを開けて空気を入れ替える。そこには丸の内のビル群が見えて、晴れた夜にはその上に小さな星を見つけることだってできる。都会の真ん中で、自分の腕一本で、自分だけのスペースで、大好きな仕事ができる幸せを、感じている。

「私にしかできないこと」を探していた

そして、以前に母から提案のあった静岡の実家でのエステも、本格的に始まった。毎月4週目をすべて静岡での施術日にして、予約は母が調整してくれている。こちらは朝から10人ほど続くこともあるが、合間に母のおにぎりを食べて、夜まで休みなしで続ける。たまに早く終わると、母を連れ出して外食をする。先日は76歳の母の誕生日をふたりで祝った。

「静岡のお客さまは、銀座のお客さまとストレスの種類が違うけど、どんな環境でもそれぞれの悩みがあって、言いたいことがあって。私は聞きながら、うなずきながら、マッサージすることしかできないけれど、これが私の仕事。私にしかできないこと。そうわかりました」

真理子が子どもを欲しかったとき、仕事で独立しようと思ったとき、その根底にあるものを考えてみると、いつでも「私にしかできないこと」を探していた。40歳にしてそれがわかった今、気持ちがすっと軽くなった。

story3 「物を減らしてわかる家のよさ」に続く

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。10/3発売・後藤真希エッセイ『今の私は』も担当したので、よろしければそちらも読んでくださいね。Cancam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。

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