Summary
- リップは油分・色素・密着力が強く水洗いでは落ちにくい。
- こすらず押さえる応急処置で汚れの広がりを防ぐことが大切。
- クレンジングやオイルを使うとリップ汚れに効果的。
気づかないうちに服についたリップの跡。慌ててこすっても広がってしまい、かえって落ちにくくなることもあります。この記事では、自宅にあるアイテムでできるリップの落とし方を、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにお聞きしました。
クリーニングに頼らず、自分でうまく対処できるようサポートします。
服についたリップ汚れを落とすには?
リップが服についたとき、まず何をすればいいか迷う方も多いかもしれません。ここでは、落ちにくいリップの特徴と、焦ってやってはいけない行動、落としやすくするための考え方を整理します。
リップが落ちにくい理由とは?|油分・色素・密着力
リップは、色を長持ちさせるために、油分や染料がしっかりと肌に密着するよう作られています。
この性質があるため、服に付着すると、水洗いだけでは簡単に落ちません。特にティントタイプやグロス系のように、発色と密着力が強いものは注意が必要です。
繊維の奥まで入り込んだ色素や油分を落とすには、素材に合った対応が欠かせません。見た目以上に落ちにくいのが、リップ汚れのやっかいなところです。

「こする」と逆効果になることも…|応急処置で差が出る
服にリップがついたと気づいたとき、ついこすってしまいたくなるかもしれません。ですが、この行動は汚れを広げる原因になってしまいます。
まずは、乾いた布やティッシュでやさしく押さえ、余分な油分だけを吸い取るようにします。擦らず、押さえるだけで十分です。
そのあとに水で濡らす場合は、必ず冷たい水を使いましょう。温かい水は、汚れを繊維の奥へ押し込んでしまうことがあります。
応急処置の工夫だけでも、帰宅後の洗濯の負担がずいぶん変わってきます。慌てず落ち着いて、最初の一手を大切にしたいですね。
こすらず押さえて油分除去、冷水で応急処置を。
アイテム別・リップ汚れの落とし方
家庭で使える落とし方にはいくつかの選択肢があります。ここでは、リムーバーがない場合や時短で済ませたい場合など、目的に応じたアイテムの選び方と注意点を紹介します。
メイク落としやクレンジングを使う方法
リップと似た油分を含むメイク落としは、汚れにしっかりなじむので効果的です。
中でもおすすめなのは、ポイントメイク用のオイルタイプやミルクタイプ。特にティントやグロスなど、色素が強く落ちにくいタイプのリップには、油分との相性が重要です。
使用するときは、乾いた布にクレンジングを少量つけ、トントンと押し当てるようにしてなじませていきます。すぐに洗い流すのではなく、少し時間をおいてからぬるま湯でやさしくすすぐと、繊維へのダメージも抑えられます。
クレンジングは化粧品なので、色落ちしやすい服には目立たない場所で試してから使うのがおすすめです。
ワセリンやベビーオイルでも代用できる?
クレンジングが手元にないときは、ワセリンやベビーオイルでも応急処置として活用できます。
これらも油分を含むため、リップの成分とよくなじみ、汚れを浮かせる効果が期待できます。乾いたコットンや柔らかい布に少量取り、汚れ部分にやさしく押し当てるようにしてみてください。
強くこすらず、時間をかけてなじませるのがポイントです。汚れが浮いてきたら、ティッシュでやさしく拭き取り、その後ぬるま湯と中性洗剤で洗います。
ただし、シルクやウールなどの繊細な素材に使うときは、生地を傷めないよう目立たない箇所でテストしてから使用しましょう。

水洗いではどうにもならないケースとは
リップは水をはじく性質があるため、水だけで落としきるのは難しいことがあります。
特に色が残っている場合は、見た目以上に繊維の奥に油分や染料が入り込んでいる状態です。そうしたときは、洗剤やクレンジングを組み合わせた再処理が必要になります。
一度洗っても落ちなかった汚れは、乾いてしまう前に再度対応するのがコツ。まず中性洗剤を汚れに直接塗り、ぬるま湯でゆっくりもみ洗いをしてみてください。
それでも色が残る場合は、酸素系漂白剤のつけ置きや、部分用洗剤の活用も選択肢に入れておくと安心です。状況を見極めながら、焦らず手順を重ねていくことが仕上がりを左右します。
クレンジングやオイルで油分をなじませ浮かせる。
素材やシーンで変わる落とし方の工夫
Tシャツ、ワイシャツ、デリケート素材など、素材によってリップの落ちやすさは異なります。ここでは衣類別・場面別に気をつけたいポイントを整理します。
シャツや制服などの綿素材にリップがついた場合
綿素材は吸水性があるため、汚れが表面にとどまりやすい性質があります。そのため、早めの対処ができれば比較的落としやすいといえます。
まずは乾いた布で軽く押さえ、余分な油分を吸い取ることから始めましょう。その後、クレンジングや中性洗剤を使って部分洗いを行います。
摩擦で色が広がるのを防ぐため、こすらず「つまみ洗い」を意識すると安心です。仕上げにぬるま湯でやさしくすすぎ、自然乾燥させると、しみが残りにくくなります。


