ダメ夫より仕事のできる既婚者との恋の方が幸せ
第1回:夫より稼ぐ私がマンションも車も手放してでも離婚したかった理由
中古マンションを購入して新生活のスタート
自分よりも稼ぎが悪く、いつも仕事のグチばかり。しかもレス!そんな夫に嫌気をさし、40歳目前に離婚に踏み切った香さん。離婚に際し、夫はふたりで購入したマンションや車も自分のものだと主張しだし、男前な香さんは「めんどくさいから」すべて彼に渡して貯金も3割しかもらわなかったそう。
めちゃくちゃもったいないし悔しい話ではありますが、誰もが知っている一流外資会社で役職もついていた香さんはストックオプションでまとまったお金があったため、離婚してすぐに都内の人気住宅街に広めの中古マンションを購入します。
香さん(以下、か)「離婚前から実家に戻っていたんですが、その生活がすごく快適で。毎晩飲み歩いても文句を言われなかったんだけどある日ついに『門限を2時にします』って宣言されて(苦笑)。別れて1年経ったころに母から『1年経ちましたけど。そろそろ出てってくれない?』って言われたんです。借りるよりも購入して月々ローンを払う方が断然安かったのでマンションを買うことにしました」
このときも内見などに付き合ってくれたのが、離婚前から付き合っていた既婚者の彼、Aさん。3つ上のAさんとは出会って1ヶ月で「この人のことはずっと好きでいられる」と確信したそう。元夫はマンション購入のときにダメ出しばかりして協力的ではなかったのに対し、Aさんは内見だけでなく、おすすめのインテリアショップに車で連れて行ってくれたり、「この家具はイケアでいい」と的確なアドバイスをくれたりと、とにかく頼もしい存在。
「何不自由ない不倫の関係が今は快適なんです」
交際4年になるこのAさんのことはすでにお母様にも紹介済みで、お母様にも「前の旦那さんとはそういうのなかったわね〜」と言われたとか。
さかい(以下、さ)「え〜と。いわゆる、不倫、てやつですよね?4年間交際って結構長いけど、Aさんと結婚したいとか思ったりしないんですか?」
か「彼はすごい年上の奥さんと結婚していて、子供はいないけど奥さんは専業主婦なんです。だから愛は冷めていても、彼は離婚するつもりはないみたい。だけど、フリーランスで仕事をしている人で時間の自由が効くから、毎日夕方18時くらいには一緒にパーソナルトレーナーのところに通って夕飯を食べて、それで23時には奥さんのところに帰っていく、という生活が続いてます。年末年始やクリスマスも一緒に旅行に行ったりしてるし、帰る場所が違うというだけで、むしろ今の状態がすごく快適なんですよね」
な、なるほど〜〜〜〜! 不倫って年末年始やクリスマスに一緒に過ごせなくて病むものだと思ってたけど、香さんはお正月に彼とバリやシンガポールに行ったりして、すごく楽しそう。
か「旅行のときもね、宿を3つくらい取ってくれて、いついつまでに決めようね、って段取ってくれたりするんですよ。そういうの、うれしくないですか?」
さ「仕事が出来る男性なんですね……!」
か「そうなんです。私が仕事で忙しい時期には『ちゃんとご飯食べなさい』って栄養のあるものを買って持って来てくれたり。お互いにリスペクトしあえる存在だし、前の夫は私が昇進しても一緒に喜んでくれなかったけど、Aさんは仕事も応援してくれるのがうれしくて」
さ「それって仕事をがんばっている女性にとって、すごく大事なことですもんね」
バツイチにとって不倫は理想の恋愛の形なのか!?
私は不倫否定派でも肯定派でもないですが、香さんとAさんの関係を聞いていると、
・毎日会える
・海外旅行も自由に行ける
・年末年始もクリスマス、誕生日も一緒に過ごせる
・香さんの親や仲間にも紹介済みで評判がいい
・いざというとき頼りになる
・香さんを大事にしてくれる
と、なんだかいいことばかり。
だから、香さんが「結婚したくないわけじゃないけど、前の夫とも結婚してバランスが狂ったから、今の彼とも結婚することで今の状態が変わってしまうのが怖い」という気持ちもわからなくはない感じ。
か「前の夫とは、一緒には住んでいたけれど時間を共有できていなかったなあって思うんです。わざわざ会う、とか、わざわざ旅行に行く、とか、そっちの方がお互いにちゃんと考えるし、なぁなぁにならないですよね」
一人暮らしの快適さも、パートナーが居る安心感も両方得られるのが、今の香さんとAさんの関係。それは、たしかに、奥さんを傷つけることさえなければバツイチの香さんにとってベストな状態なのかも……。
さ「ちなみに、レスだった前の旦那さんは浮気とかしてなかったんですか?」
か「してたと思いますよ(即答)。私とはしてないのに、カバンの中にコンドームが入っていたこともありますし。泥酔した彼が、ソファーで片手に携帯電話、片手にキャバクラの女の子の名刺を持って寝落ちしてたところも見たことありますもん」
さ「そういうとき、香さんはどう対応してたんですか!?」
か「コンドームのときは、彼に突っ込んだら、会社の先輩のいたずらだって。携帯のときは、彼を起こして『メール打ちたいんだったら、私が打ってあげましょうか?』って聞きました。相手はキャバクラというか、錦糸町のガールズバーの大学生で。そういうの行くなら銀座行けばいいのに、そういうとこもケチ臭い人だなって(笑)」
これは……。旦那さん、Aさんにかなり差をつけられちゃってますね。もちろん一緒に暮らしてないからこそ、かっこいいとこしか見えないってこともあるんでしょうけど……。でもすでに仮面夫婦だった香さんは、そんな元夫の浮気疑惑も「まあいっか」でやり過ごしていたそう。
そんな、離婚後新しい恋人との充実した生活を送り女性として満たされている香さんですが、元夫から衝撃の連絡が入り、彼の現在の落ちぶれた姿を目にすることになるのです。そのお話はまた次回に続きます。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。