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2019.01.30

脱!女郎蜘蛛恋愛~平成年下男子の魅力に気づくまで【MBAと婚活/ユリの場合3】

 

MBA取得はビジネスのためだけれど、実は結婚にも大いに役立つ!? 身をもって証明したキャリア女性の実話シリーズ。

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
Tags:

story3 平成年下男子を“育てる”恋愛

Profile
ユリさん(38歳・仮名)既婚・子どもひとり
職業/人材紹介会社のエグゼクティブヘッドハンティング
趣味/地ビールめぐり
住まい/東京都北区(2LDK、家賃19万円)

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女郎蜘蛛の恋愛から、育てる恋愛へ

ビジネススクールではあったけれど、仲間たちはユリの恋愛を応援してくれた。そして、別れた後にその原因をさらに掘り下げてくれるのもまた、同じクラスメートだった。SWOT分析【※1】を使い、ユリの強み・弱みをみんなで振り返るのは、傷をえぐるような作業だったけれど、クラスメートの愛の鞭だと思って、痛みに耐えた。

ユリの強みは、仕事が好きなこと、いつもポジティブなこと。弱みは、負けず嫌いなために男性に意見を言いすぎてしまうこと。それに対して、クラスメートは、「じゃあ、どういう男性がユリのターゲットになるか、考えてみよう」と議論を展開していく。

「私はいつも仕事で実績のある人に惹かれる。あの人とつきあったら自分も成長できそう、年収も高そうだし…と。いい顔して近づいていき、網をはって男性のいいところを吸い取り、どんどん自分の思い通りにさせようとしていく。でも相手もそれに気づき、うまくいかなくなる。そういう“女郎蜘蛛”みたいな恋愛は、もうやめる。完成した男性は、優しく家庭を守ってくれる女性を好み、私みたいな女性に市場機会はない。

自分の強みを活かせるところ…、自分が大黒柱になり、男性を育てていく恋愛に切り替える。私が“攻め”のタイプだから、そうではない“守り”で家庭的な男性に市場機会があるはず!」

自分自身のことを分析した上での結論は、すべて納得だった。とはいえ、その直後のユリは転職があったりMBA取得のラストスパートがあったりで、人生でいちばん忙しい時間を過ごしていて、それなりに充実感もあった。こうしたことがひと息ついた35歳のとき、新たな出会いがやってきた。

「ビジネススクール通いが3年目になったころ、後輩にアドバイスする“メンター”をやることになりました。20代から50代までの新入生40人ほどから、それぞれの課題や悩みなどを聞き、アドバイスをする役目です。勉強と仕事の両立についての相談もありますし、特定の科目に対して具体的な勉強方法の相談もあります。たまに、将来の悩みや人生相談みたいなものもあります。その中で、『安定した大企業に勤めているけれど、もっと挑戦していきたい』という葛藤を話してくれたのが、翔太でした」

翔太は歴史のあるメーカーに就職して3年目。両親も親戚も、そして周囲の友人までも、今の大企業で働くことを応援しているという。冒険してまで別の道を求めることは得策ではないし、今は給料が安くても、定年まで安心して働ける環境は、手放すべきではないという。けれど本人は、このままでいいのかという気持ちもある。それを聞いたユリは、「やりたいことがあるなら、やってみれば!」と背中を押し続けた。

「そんなふうにポジティブな発言をしたのは、私だけだったみたいです。彼はまだ25歳で、野心はあるけれど、それを内に秘めているというか、周囲の話を聞きながら、自分の道を慎重に切り拓くタイプに感じました。芯はあっても、あからさまにガツガツしていないのは、平成生まれの特徴なのかもしれません」

たくましくなるのを見る楽しみ

「アドバイス後の翔太が、どんなふうになっているか気にかけていたら、ある日、授業後の夕食を、コンビニのおにぎり1個で済ませているではありませんか。まだお給料が少なく、でもビジネススクールの授業料は高いですから、節約していたのでしょう。私、気になってしまって、『ごはんおごるから、好きなもの食べていいわよ』なんて、つい言ってしまいました。もちろんそのときは、恋愛感情はありませんが、もっと話を聞きたい、何か力になりたい。そう感じたのは事実です。何度か食事に行くうち、彼が海外でのボランティア活動に興味があるという話を聞きました。今年の年末はインドのコルカタに10日間行くというので、私、思わず言ってしまいました。『私も行ってみたい!』と」

10歳年下の翔太のインド行きに、“乗っかる”ことにしたユリだが、「どうせ今年のクリスマスは予定ないし」という軽い気持ちだった。それが、インドでボランティア活動の10日間を一緒に過ごしているとうち、翔太がどんどんたくましくなっていくのがわかって、男性として魅かれていく自分に気がついた。

かつての失恋の後、クラスメートとのSWOT分析【※1】と戦略ミーティングがなかったら、翔太をターゲットとして考えることはなかっただろう。そのときの結論――男性を育てていく恋愛に切り替える――は、今ユリの目の前にある。理想の相手に出会うには、たくさんの合コンよりも、MBAのフレームワーク【※2】が効く。ユリはそう確信した。

汗はあまりかかない醤油顔で草食系ビジュアルの翔太だけど、いざというときは力を発揮する。現地の子どもたちにはユリが嫉妬するくらい優しい。現地に学校をつくりたいと話すときの目は、奥のほうからキラキラしている。翔太のほうも、自分を受け止めてくれるユリのことを、慕うようになっていた。翔太がやりたいと思ったことを、ひとつも否定せず、10歳年上ながら長時間一緒にいて疲れることもない。ふたりにとっては、それが心地いい関係だった。その気持ちを恋愛の形として確かめ合ったのは、日本に帰国してから。

いつもの定食屋に寄った帰り道、どちらからともなく手をつないでいた。そのとき、ふたりの間に言葉はなかったけれど、お互いの気持ちはよくわかっていた。
(次回へ続く)

【※1】SWOT分析/目標を達成するために、組織や個人を強み 、弱み 、機会 、脅威 の4つのカテゴリーで要因分析し、最適な戦略を考える方法。
【※2】フレームワーク/ビジネス上の問題を解決する際に使われる、思考の枠組み。SWOTのほか、3C、5Cフォースなどがあり、ビジネススクールでは多様される。

 

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。『Domani』2/3月号ではワーママ10人にインタビュー。十人十色の生き方、ぜひ読んでください! ほかに、 Cancam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。

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