Q.結婚7年目。夫への愛情が冷めてしまったのですが、こんな理由でも離婚できますか?
(ネイリスト・32歳・4歳の女の子のママ)
A.「まず、離婚の裁判では『夫婦の婚姻関係が破綻している』と判断されないと、離婚は認められません(協議離婚や調停離婚はお互いの話し合いで決まるのでこれに当てはまりません)。そのためには嫌いになったという理由だけでは通常は認められないでしょう。
私が離婚の相談を実際に受けていて、離婚理由で最も多いと感じるのは『性格の不一致』、次に『不貞行為』です。前者の場合は、なぜ離婚したいと思っているのか、まず依頼者に想いを思いっきり吐き出してもらいます。そうすると、夫婦間の会話がないとか性の悩み,金銭感覚が合わない、家事育児の負担の不公平さなど、依頼者の様々な不満が見えてきます。
この価値観の不一致は結婚生活を何年か送ることでわかってきたり、年を取ってお互いの合わない部分が増長されてきて我慢できなくなることが多い傾向に思います。
ただ、離婚を認められるには重大な事由を積み重ねて行かなければならないため、今回のような理由で離婚がしたいけれど決定的な原因がみつからない場合は、まずは別居をしてみるのもひとつの手段。これは、別居期間が長ければ(通常は7年以上と言われているが,年々この期間が短くなっている印象あり)、離婚が認められることもあるからです。
逆に言えば、別居期間等も含め民法770条に定められた離婚理由がない場合には、たとえ離婚の裁判をしたとしても負けてしまいます。そして一度負けてしまうと、同じ理由を原因として再度の離婚申立が出来なり、その点で離婚が困難となってしまうので、今裁判まですべきかどうかは、弁護士と相談して慎重に決める必要があります。
また、よく相手方から「調停するぞ」、とか「裁判するぞ」などと脅されているという相談を受けることがありますが、よくよく聞いてみると相手方の言っている事情では到底離婚理由にならない、なんてケースも。そんな時は相談者に「ドーンと構えておいて下さい」なんていうアドバイスをすることもあります。
いずれにせよ個々のケースで判断も異なってきますので、まずは信頼できる弁護士に相談し、詳細を伝えてみるのがいちばん確実でしょう」(中川先生)
●本連載では離婚に関する慰謝料や養育費など、法律的な悩みや疑問にプロの弁護士が直接回答します!ご相談ごとがあるかたは、domani2@shogakukan.co.jpまでメールでお寄せください。 件名に「離婚相談」と書いてなるべく具体的な内容をお送りください。すべてのご相談にお答えできるとは限りません。あらかじめご了承ください。
お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカー旅行に飛び出し、世界中を回ってみつけた、弁護士となって社会的正義を守るという生涯の目標のため、紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にするために日々奮闘中。親身になってアドバイスをくれる人情派弁護士として、依頼者たちからの信頼も篤い。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの人気連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。