Q.結婚3年目です。夫がマッチングアプリで出会った相手と浮気していたことがわかりました。相手から慰謝料は取れますか?
(茨城県・42歳・2歳女児のママ)
A.「不貞の際に相手に慰謝料請求できる条件として、相手の女性に不貞行為の認識がある、すなわちご相談者様の夫のことを妻帯者だと認識している事が原則として必要です。
つまり、その男性に妻がいて、自分は不倫行為をしている。夫と共に『共同不法行為者』であり、その男性と関係を持つことによって、その妻に精神的苦痛を与えることになるとわかった上で行為に及んだのか。―そこに故意過失があったのかどうか、というのが裁判での中心的争点となって来ます。
ですから、もしも夫が既婚者だということを隠して女性と関係を持っていた場合で、妻帯者であると知らなかったと相手が反論をしてきたならば、当該女性が妻帯者であると知っていた事を立証せねばならず、それが立証出来なければ慰謝料を相手方から支払ってもらうことはできません。
もっとも、相手側が『私は彼が結婚しているとは知りませんでした。騙されていました』と主張していても、一般的に見て妻帯者であると認識できる明らかな兆候が夫側に認められる場合には、『気付かなかった点に過失あり』として、請求が認められる可能性もあります。
一方で、相手の女性が彼に妻がいることは知っていたとしても、そのご夫婦が長年家庭内別居や別居状態にあり、婚姻関係が実質的に破綻していると客観的に認められるような状況下では、夫婦関係はすでに破綻しており、不貞行為だとみなされないケースも。
もし別居中の場合ですと、どれくらいの期間であるとか、その間にご夫婦の間にどの程度の交流があるかなどが裁判での判断材料となって来ます。
また、慰謝料請求する際には請求する相手の名前と住所が分からないと内容証明等を送ることができません。なので大前提として、まずは浮気相手の本名と住所を把握することから始めましょう。(中川裕一郎先生)
お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカーとして世界に飛び出し、地球を一周回ってみつけた社会的正義を実現するという生涯の目標のため弁護士に。紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にすべく日々奮闘中。親身になってアドバイスをくれる人情派弁護士として、依頼者たちからの信頼も厚い。フルマラソン、3時間切りのランナーでもある。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの人気連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。