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LIFESTYLE シングルマザー・再婚

2019.10.16

徹夜明けに毎晩シャンパンで乾杯の29歳。30歳で離婚。アラフォーで「基盤ある」幸せを手に入れるまで〜ヒロミさんの場合vol.3

 

人生とは喪失と再生の繰り返しのドラマ。「バツイチ」という離婚経験者たちは、ある意味、喪失を乗り越えてなお強く生きるサバイバー。格差婚から離婚し、独立・起業! 幸せになることをあきらめない、ヒロミさんの物語、完結編。

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徹夜明けにシャンパンで乾杯。キャリアの絶頂で迎えた、離婚という決断

「結局、私と夫との成長スピードに急激に差が開いてしまったことが、離婚の原因だったのでしょうね」。

大手広告代店勤務で、その頃日本一売れていたある商品の担当になったことで、ヒロミさんのキャリアも生活も一変した。

前回のお話▶︎妻の方が稼ぐ『収入格差夫婦』。妻の愛が冷めた夫のひと言

(C)ShutterStock.com

移動には毎回タクシーを使い、深夜の仕事終わりにはシャンパンで乾杯するような日々。―それは、同じ頃売れているファッション誌の編集部で働いていた私もよく見かけた光景だ。アパレル産業もマスコミ業界も、リーマン・ショック前の平和ボケした世界で、みんな浮かれていた。

その頃、仮面夫婦生活が続いていたヒロミさんだったが、仕事の集大成のような、ある大きなプロジェクトの発表の日に離婚を突然決意できた。

ヒロミさん:私の30歳の誕生日の、ちょうど1週間前でした。「日本史上最大」と銘打たれるようなプロジェクトを達成したこともあって、「私の人生、20代は全てやり尽くした。30歳前に離婚しよう」と、気持ちが吹っ切れたんです。離婚届を区役所に提出して、その向かいにあった鮨屋でひとり、お祝いランチをしてから会社へ向かいました。

会社に着くと、プロジェクトの完成を祝って、部署全員がシャンパンを飲んでいた。「離婚しました」と上司に報告すると、「お、○○離婚だな! お前、○○のせいで離婚したんだろ」とイジられた。○○は、そのプロジェクトに関係する商品の名前だ。

ヒロミさん:「そうなんです、ありがとうございます(笑)」って返しましたけど、ある意味、ほんとにそうだなあと思いました。その当時、日本一売れていた○○の仕事には、日本一面白い人たちが関わっていたから、いろんな人に会えて、私の色々な標準値が急激に上がっちゃったんです。だから、その私の成長スピードについて来られなかった夫のことが、物足りなくなっちゃったんだと思う。今だったら、彼を引っ張り上げるとか、もっとやり方があったのかもしれないけど、若かったから、「私はこんなに成長してるのに、あなたは何をやっているの」と思ってしまったんですよね。

離婚を切り出したときに、夫から出された条件は、「口座に入っているお金を半分俺に寄越せ」だった。

稼いでいたのは明らかにヒロミさんの方だったけれど、結婚していたからには、夫婦共同財産と認められる。仕方なく、300万円近くを夫に渡し、離婚後は一度も連絡を取っていない。

離婚後モヤモヤ期に突入! 悩み続けた30代

離婚し、仕事でも燃え尽きたヒロミさんは、部署移動を希望し、それまでとは全く別の業種のクライアントを担当することになる。

ヒロミさん:今まで人生わりとスムーズに生きてきたのに、離婚で初めて挫折を味わって、「恥ずかしい」という気持ちもありました。貯金もなくなってしまったし(苦笑)。30歳の壁も越えちゃって、恋愛でも女性としてどう振る舞うべきなのか、という様々な戸惑いを抱えた30代でしたね…。

33歳のとき、リーマン・ショックが起こり、世界中の広告予算が激減する。その後36歳のときには母親が大病を患い、弟が事故に遭い、自分にも子宮筋腫がみつかるなど、「女の厄年」のオンパレードを体験したというヒロミさん。そんな中、東日本大震災が起こる。

ヒロミさん:20代はイケイケだったけど、30代はモヤモヤ期。自分がこれからどう生きるべきなのか、方向性がわからなくなって、哲学者やお坊さんのセミナーなどに行きまくっていました。

震災後に、広告業界も少しずつ陰りを見せ始め、ヒロミさんはコンサルタントとして独立・起業を決意する。

キャリアも恋愛も、40代からは長期視点が必要!

ヒロミさん:広告も売れなくなって、そのときの仕事に疑問が湧き始めたんです。で、将来のことを考えたときに、50代になってからリストラされるよりは、30代のうちに独立しておこう、と。それまでは目先の目標数値を突破するのが楽しくて生きてきたけれど、そこから長期視点に切り替えたんです。あと40年働けるような働き方は何かと。

―バツイチで独身な上、フリーランスでアラフィフ世代に突入した私にとっては、ドキッとさせられた言葉。

人生100年時代、結婚もキャリアも、長期視点で考えられるようにならないと、生き残りは厳しいのかもしれない。

ヒロミさんの場合、パートナー選びも視点が変わった。

ヒロミさん:それまでは、その時点で素敵な人を「落としたい」というゲーム的な恋愛だったけれど、そうじゃなくて、長く付き合える人を選ぶようになりました。長い人生で、この先、病気になったり不況になったり、色々あっても付き合えるかどうか。

離婚や仕事のバブル期や転職を経て、ヒロミさんが学んだのは、「万物流転」。世の中の全ての物事は変わってしまう、ということ。

「人や状況は変わっていく。そのときに、どんな状況になったとしても相手を受け止めるためにも、自分のしっかりした基盤が必要です。経済的な基盤はもちろん、精神的にもね。そのための精神力のインナーマッスルを、日々鍛えている感じかな」

現在は長年付き合っているパートナーがいて、独立して続けるコンサルタント業も順調な彼女。

どこかの雑誌で、「基盤のある女性は美しい」というキャッチコピーがあったけれど、揺るぎない基盤を自分で確立した女こそが、強くて美しいのだ。

インタビュー・文

さかい もゆる

出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。Web Domaniで離婚予備軍の法律相談に答える「教えて! 離婚駆け込み寺」連載も担当。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。

 

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