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2019.11.30

大人気ストール「モニカ・サルティ」をつくったNY生活と息子への愛

上質のストールで知られる「ファリエロ・サルティ」。創始者の孫でありデザイナーのモニカ・サルティさんのキャリアはどうつくられたのでしょうか。そして働くママたちへのメッセージも。

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
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イタリアの箱入り娘だった私がキャリアマザーに

―――70年続くイタリアのテキスタイルメーカー「ファリエロ・サルティ」に革新をもたらした、モニカ・サルティさん(前回の記事へ)。「結婚して家に入るのが当たり前」という保守的な環境で育ったモニカさんが、今ではクリエイティブディレクターとして世界を駆け回っています。その過程ではどんな変化があったのでしょうか。

NYで「自立すること」を知った

「私が生まれたのは、フィレンツェ郊外のプラートという小さな町。父は、『女の子は大学を卒業したら結婚して、家庭に入るもの』という古い考えの持ち主で、私が語学学校に進学するのも、その後に美術学校に行くのも、あまりよくは思っていなかったようです。そんな環境で育った私が、20歳のときに単身NYへ。父との仕事を通して知り合ったデザイナーのダナ・キャランの誘いがきっかけでしたが、そこでの1年が、私を大きく変えました。

箱入り娘だった私が、NYではひとり暮らしをして、自分で電話や水道の契約をして、英語の学校に通って。こんな様子を知って、両親は別人じゃないかと驚いていたくらい。すべてが刺激的で、スピードが速くて、イタリアの時間感覚が自転車ならNYはフェラーリくらいの速さ!(笑)。そして何より、自分をしっかりともっていないと生きていけないのがNY。私が影響を受けたダナ・キャランは、なにげなく私がはいているスカートでも「どうしてそれを選んだの?」と聞いてくるし、飲み物でさえ「どうしてそれがいいと思う?」と質問攻めにして、考えさせました。そして、パワフルで自立した仕事ぶりを背中で見せてくれました。まだ未熟だった私に、自分の頭で考えること、自立することを教えてくれたのです」

息子には物を買い与えるより、一緒の時間を愛おしむ

「NYからフィレンツェに戻った私は、美術学校に通い、そして家業の『ファリエロ・サルティ』で自分の名前の新しいライン『モニカ・サルティ』を立ち上げました。糸を選び、素材を開発し、デザインを考える時間は楽しくて、ほかでは味わえないくらいとっても幸せ。朝起きて、工場の匂いを味わうこと、柔らかい素材に触れることが、楽しみだったくらいです。

フィレンツェにあるファリエロ・サルティのオフィス。

夫と息子と、自宅のリビングで。

ただ息子ができてからは、どうしても時間的な制約が生まれます。私が出かけようとすると、「どうして仕事に行っちゃうの?」「僕をひとりにするの?」とダダをこねるしこともしばしば。また、約束していた行事に仕事が入ってしまって、「約束したくせに!」と怒ることもあります。あげく、日本出張前の晩は寂しくて泣き出してしまうし…。

今回のように数日イタリアを離れるときは、息子にちょっとした宿題を置いていくんです。私が描いた窓の絵に、毎日ひとつずつ色を塗るという宿題を。これは、私の仕事の都合だけでなく彼自身の時間感覚がもてるようにと、以前に精神科医がアドバイスしてくれた方法です。私が10日間いないなら、彼にとっても10日ぶんのタスクを与えて、自分で未来をデザインできるようにと。

そして出かけるときは、端切れを集めた彼のお気に入りの枕から、一片の布を取り出して私にくれます。これがあれば、いつでも息子の匂いを感じられますから。このお陰で私の緊張感が和らぐし、今はFacetimeで毎日と顔を見て話ができるからお互い寂しい思いも少なくなりました。

そして家に帰れば、携帯は切って仕事のことを忘れて、息子の近くで匂いを感じてリラックス。たくさんものを買い与えるより、一緒にいる時間を大事にして、彼に愛を伝えるのが、私のやり方なんです。

モニカさんのインスタ@monica_sarti_から。

かといって、あまりベタベタしすぎても、よくない。イタリア人男性は、「マンマこそすべて」で母親離れできないといわれるけれど、息子には自立してほしい。そう思うのは、私は母だけじゃなくワーキングウーマンであり、工場にたくさんの従業員を抱える経営者でもある。まだまだ男性優位な社会の中で生きていくには、強さも必要だし、賢く戦っていかなくちゃならない。なかなか大変なことですけれど。

おっと、そろそろイタリアでは息子が起きてくる時間。ほら、Facetimeがかかってきたわ」(続く)

撮影/石黒あみ 取材・文/南 ゆかり

Monica Sarti(モニカ・サルティ)

イタリアの老舗テキスタイルメーカー「Faliero Sarti(ファリエロ・サルティ)」のクリエイティブ・ディレクター。自身の名前をつけた新ライン「Monica Sarti」は、日本でも人気に。常に編み方や染技法を研究・開発し、新しい素材と新しいデザインで作品を生み出している。

●Faliero Sarti(オンラインショップは12月上旬リニューアルオープン予定)

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