「私の話、聞いてくれない!」夫への対策は…
この夏休み、旅行に行っていいものかどうか、行くとしても行き先は…と、本当に頭を悩ませました。密を避けるには、感染予防対策は、と考え出すとキリがない。みんなが不安に思っている中だから、いろいろな選択肢を考えた上で比較検討したい。でも、夫は以前から考えていた沖縄旅行のプランをあきらめたくない様子…。私の相談も右から左で、聞いているのか、いないのか。いや、そもそも話し合いをする気もなさそう。
20代のころの私なら、話し合いにエネルギーを使うくらいなら、夫の話に素直に従うほうが楽だと思っていたことでしょう。その結果、あとからモヤモヤして、それでも夫が言うんだから仕方ないか、と自分の内側に気持ちをおさめてまったこともたくさん。「妻が夫に従う」ということに、あまり疑問をもっていなかったけれど、そんな関係、やっぱりヘン!
今思うと、夫と前向きな話し合いをするには、作戦が必要でした。まず、夫の意見に流されてしまわないように、私なりに安心だと思う行き先と現地での過ごし方のプランを、先にいくつか立てておきました。大事なのは、冷静さとタイミングです。いつものように夫が話し合う気がなさそうなときは、見送ります。話し合いによさそうなタイミングなのかは、ちょっと声をかけてみればわかります。話し合いを見送ること3回。4回目となると、さすがに夫も私の強い意思を感じたのか、聞く耳をもつように。そう思えた時を逃さず(!)、私は用意していた「伊豆のキッチン付きコテージで過ごす」プランをプレゼンテーション。近くには比較的混雑の少ない海があるし、スーパーで買った食材を持ち込んで料理をすることができるので、感染予防対策もしやすいことなどを伝えました。
夫に丸め込まれそうになっても、感情的にならずに夫の意見を聞き、声のトーンもいつもより落ち着かせて!! すると、いつもは頑固な夫も「ママのプラン、いいね」と賛同してくれるという結果に!! うれしくなって理由を聞くと、「ママが冷静だったから、パパも素直になれた」のだそう。時間はかかりましたが、ようやく対等で前向きな話し合いができたのです。
北欧の女性首相がいいお手本。リラックスして話すことの大切さ
2020年6/15発売の雑誌『Pen』(CCCメディアハウス刊)では、「北欧諸国では、女性の活躍が国を豊かにしている」という特集があり、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、デンマークの女性首相が紹介されていました。
彼女たちについて調べてみると、話すときにとてもリラックスしていて、周囲の声にしっかり耳を傾けているという共通した特徴がありました。認められたい、意見を聞き入れてもらいたいと思うと、誰もがつい強く主張してしまいがちです。私自身を振り返っても、自分の意見をひたすら通そうとするときは、眉間にシワがよっていたと思いますし、知らず知らずのうちに戦闘モードになっていたような気がします。これはあとから気づいたことですが、前向きな話し合いの環境をつくるには、そんな自分を振り返ってみることも大事だと思います。もちろん、夫にもそうであってほしいと願いますが。
そう気づいたこの夏は、珍しく(笑)夫婦のケンカは少なく、家族の行事もスムーズに終了。私の眉間のシワも、薄くなっていますように…!
モデル
牧野紗弥
愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。