朝ドラのような胸熱展開が老若男女の心を揺さぶる!
舞台は1960年代のアメリカ。孤児院で育った天涯孤独の少女ベス・ハーモンは9歳でチェスに出会い、天才的な才能を発揮します。
ある日、孤児院からウィートリー夫婦の家に迎えられたベスは新しい生活を始めますが、高校ではクラスメイトの女子達から服が地味なことを笑われ孤立してしまいます。ただ、もともと周りに愛想を振りまいて、誰かと群れたがる女の子ではないこともあり、ただひたすらにチェスの世界へと想いを募らせていきます。
そんな中、雑誌で見つけたチェスの大会に参加することになったベスは、次々と強豪プレイヤーの男性達を打ち負かしていき……という朝ドラのような胸熱展開が幅広い世代の人間の心を揺さぶる本作。チェスのルールを全く知らなくても問題なく楽しめるのもこのドラマの魅力です。
主演をつとめるのは大注目の女優アニャ・テイラー=ジョイ
ベスを演じるのは、ホラー映画『ウィッチ』で高い評価を得て、M・ナイト・シャマラン監督の『スプリット』や『ミスター・ガラス』で壮絶な過去を持つ女子高生役で注目を集め、X-MENシリーズのスピンオフ『ニュー・ミュータント』(日本未公開)では主演を務めたアニャ・テイラー=ジョイ。大きな瞳が印象的で、どんなに強いチェスプレイヤーにも物怖じしない勝ち気なベスを魅力的に演じています。
他キャストには、ベスにチェスを教える孤児院の用務員のおじさんシャイベルを『バイス』や『ジョーカー』など数多くの作品で圧倒的存在感を放ってきた名優ビル・キャンプ、ベスの養母となり、時には友人のように、時にはビジネスパートナーとしてベスを支えるアルマを監督としても活躍する女優のマリエル・ヘラーが演じています。
このマリエルのお芝居が本当に素晴らしくて、未成年のベスにお酒を飲ませたりするような破天荒な性格だからこそ、彼女の心を開くことができたのかなと思わせてくれます。次第に本当の母と娘のような絆が生まれていくところも見どころで、難しい年頃の娘との関係で悩んでいるお母さん達には是非観て欲しい。ただし未成年にお酒を飲ませてはいけません(笑)。
魅力的な3人の男性キャストに注目!
ベスが対戦する男子チェスプレイヤーも個性豊かで、州チャンピオンのベルティック(演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズのダドリー役で知られるハリー・メリング)、ベスが惹かれる優しいプレイヤーのタウンズ(演じるのは『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に出演したジェイコブ・フォーチュン=ロイド)、アメリカのチェス・チャンピオンでベスとの関係がライバルから友人へと変わっていくベニー(『ゲーム・オブ・スローンズ』や『メイズ・ランナー』シリーズのイケメン俳優トーマス・ブロディ=サングスター)の3人がそれぞれ素敵なので是非チェックしてみてください。
中でも実年齢30歳には見えない童顔のトーマスが演じたベニーがとってもチャーミングで、ちょうど良い距離感でベスをフォローする姿にキュンとくること間違い無し!! 上記の3人含め男性プレイヤーのほとんどが、ベスをちゃんとリスペクトしているのでストレスなく観れるのも本作の良いところ。メディアは“女性プレイヤー”を強調して取り上げるけれど、ベスの対戦相手達は負けた瞬間に彼女に握手を求め、賛辞を送る人も。ベスが人生をかけてチェスに打ち込んできたのと同様に、彼らもまた人生をかけて勝負に挑んできたことがわかるので胸を打たれます。
60年代のレトロなファッションもこのドラマの大きな魅力
最初は地味だったベスが、チェスの世界で成功していくにつれて洗練された洋服を着こなしていく姿にワクワクします。Aラインのドレスやシンプルなタートルネックニットにフレアスカートを合わせたスタイル、チェス盤をイメージさせるようなチェック柄のドレス、スカーフをヘッドアクセサリーとして頭に巻いたオシャレなテクニックなど、アカデミー賞ノミネート歴のある衣装デザイナーのガブリエル・バインダーが手掛けたファッションはどれも素敵で、同じようなアイテムを探せばすぐにでも真似できそう。
ファッションだけじゃなく花柄やレース、パステルカラーに彩られたアメリカンミッドセンチュリースタイルのインテリアや美術セットも美しいので、このドラマを参考にして部屋の模様替えをしてみるのもいいかも。
ドラマの影響でチェスにハマる人が続出!?
最初にチェスのルールを知らなくても楽しめると書きましたが、ベスや対戦相手が駒をチェス盤に置く音を聴くとだんだんチェスをやってみたくなるので、気になった人はチェス入門書などでルールを学んでみてはいかがでしょうか。「チェス、実はできるんですよ」なんて言えたらカッコいいですし、ベスのように男性を打ち負かせたらスカッとしそうですよね。実際に、本作の影響でチェスにハマる人が続出したという噂も。さまざまな魅力が詰まった『クイーンズ・ギャンビット』はNetflixで配信中です。
※Netflixオリジナルシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』独占配信中
奥村百恵
音楽誌・映画雑誌の編集部を経て、現在はフリーのライターとして年間300本以上は観ている映画や海外ドラマなどのコラム執筆や海外・日本の俳優のインタビュー記事などを担当。愛犬と一緒にNetflixの作品を観るのが至福の時間!!