今回の主人公、藍子さん・49歳。美肌でアラフィフにはとても見えない美魔女!
18歳で最初の結婚をし、23歳で離婚・再婚、32歳で再び離婚し、シングルマザーに。それ以来、仕事ひと筋で生きてきたという、彼女の波乱万丈な人生とは?
【目次】
最近、巷でよく聞く「モラハラ夫」の実態とは?
一体、どういう男性が結婚してからモラハラ夫に豹変するのか? そして彼らがターゲットにするのはどんな女性なのか? 今回は、モラハラ気味夫と結婚した経験を持つ、バツ2の藍子さん(仮名)へのインタビューから、その辺りを探っていきます。
仕事にしか興味がない、美魔女シングルマザーの謎
藍子さんは、とある業界では名の知れた存在のビジネスウーマン。そんなワケで今回は、身バレを防ぐために彼女の仕事内容はあえて伏せさせていただきます。
藍子さんのことを以前から仕事を通じて知っていた私ですが、実は年齢をきちんと伺うのは初めて。「49歳。数えで今年50歳ですよ(笑)」と聞いて、思わず「ひょえ〜〜!」と、ヘンな声が出てしまいました。前回の遙さんもそうでしたが、この連載でお会いするバツイチ女性の外見が、みんな異常に若い! コレはバツイチ女性の共通点なのか? それとも私の人選がたまたまなのか?——その辺りも、この連載を通じておいおい探っていければと思います。
藍子さんは私のなかで、宇宙人とも思えるくらいにぶっ飛んだ存在。何がって、美人で若く見えて身なりにも気を使ってらっしゃるのに、本当に仕事にしか興味がない。たいていの女性って、おしゃれのこととか食べ物のこととか恋愛のことにも興味があるものだと思うのですが、彼女との会話のなかでそういう話題が出てきたことがほとんどないのです。——職業柄、美容には詳しくていらっしゃるのですが、それもいってみればビジネスに関係することだし。
一度だけ、彼女から「外国人男性と知り合うにはどこに行けば良いか?」と聞かれたことがあったのですが、その目的も、「仕事で英会話を身に付けたいから。それには外国人と付き合うのが手っ取り早い」。——って、打算的すぎだし(笑)!!
一見楚々とした美魔女なのに、中身はビジネスマンのおっさんのよう。そんな彼女にあるとき、「実は私、バツ2なんです」と聞いてさらにびっくり。当時高校生だった息子さんを女手ひとつで育てているということは聞いていましたが、仕事ひと筋、真面目な藍子さんが、そんな波乱万丈な生き方をしていたなんて! そんなワケでワタクシ、兼ねてから藍子さんがどんな結婚生活を送って来たのか、興味津々だったのであります。
18歳で結婚した理由は「早く実家を出たい」だった
さかい(以下、さ):「藍子さんって、たしか2回離婚してらっしゃるんですよね?」
藍子(以下、あ):「そうなんですよ。一度目の結婚は18歳のときでした」
さ:「え!? 早いっ! めちゃくちゃ早いご結婚だったんですね」
あ:「ここでプロポーズを断ったら、一生結婚できないんじゃないかと思って」
さ:「ちなみに2回とも、離婚の原因って何だったんですか?」
あ:「私ね、本当に人を見る目がないんですよ〜(苦笑)。一度めの夫は束縛が酷くて、二番目の夫はモラハラだったんです」 。
この早い結婚の裏には、藍子さんのご実家の事情が関係していました。事業をやっていた藍子さんのお父様は、藍子さんが中学生の時に事業を失敗、さらに知り合いの連帯保証人になっていたために財産を全て失います。
子供の頃から、習い事をいっぱいさせてもらえるような裕福なお嬢様育ちだった藍子さんが、一転して貧乏暮らしに。そのことが原因で、いちばん多感な時期に、父親と母親は毎日ケンカばかり。借金の取り立てが家まで押しかけて来ることもあり、お母様はストレスで頭に円形脱毛症が20個くらいできてしまったとか(涙)。今までいいところの奥様として生きてきた母親が、自分と妹を食べさせるためにパートに出る姿を見て、長女である藍子さんは「こんな風に自分たちを守ってくれようとしているお母さんのことを、いつか絶対にしあわせにしてあげたい」と強く心に思うように。
また、この頃、藍子さんは肌荒れが酷く、「常に他人が自分の悪口を言っているのではないか」という被害妄想にとらわれた対人恐怖症でもありました。
そんな居心地の悪い家庭から逃げるように、飲食店のキッチンのバイトを始めた16歳のとき、職場で出会ったのが、8歳年上で板前のイケメン男性、Kさん。明るい性格で、ジョークも上手いKさんは職場の人気者だったそう。
あ:「その頃から私には、ビジネスがやりたいという夢があったんですよ。Kさんはいつか和食の店を持って独立したいと言っていたから、この人とだったら商売ができるかも、と思って付き合ったんです」
さ:「その頃から、男性選びも打算的というか、合理的だったんですね……!」
知り合ってすぐに同棲をスタートし、早く親元から離れて自立したかった藍子さんは、17歳で高校を中退し、その後彼にプロポーズされるまま、18歳で結婚。お母様想いだった藍子さんは、実家の近くに引っ越し、お母様は嫁いだ娘の元に頻繁に通ってきました。
しかし、嫉妬深い性格だったKさんは、次第に藍子さんの母親にまでヤキモチを焼くようになり、お母様が家に来ると不穏な空気が漂うように。お母様は遠慮して、夫がいないときを狙って訪ねてくるようになります。また、夫Kさんはその頃、職場で出世し始めて、独立せずサラリーマンとして出世街道を登りつめたいと話すようになりました。
このとき藍子さんの頭によぎったのは、 「このままこの人と一緒に居たら、ビジネスを始める夢が叶わない」 ということ。
「年収3千万円ないと私の理想の生活は成り立たないんです」
さ:「藍子さんがそこまでビジネスにこだわる理由って何なんですか? 旦那さんが出世するなら、それはそれでいい気がするんですけど……」
あ:「サラリーマンの年収なんて、たかが知れてるんです(キッパリ)」
さ:「なるほど……! じゃあ、年収がいくらあれば、藍子さんの満足いく暮らしが送れるんでしょう?」
あ:「3千万円ですかね(即答)。それだけあれば、お嬢様育ちの母の面倒を看ながら、自分も買いたいものを買っていい生活ができる。貧乏は二度と嫌なんです。それに、お金のこともそうですが、父が事業をしていたからか、何かを生み出してそれでお金を儲けるという行為自体に惹かれるところがあって」
高校中退の愛子さんは、学歴がないので実務を身につけてお金を稼ぐため、結婚してからはホテルの日本料理屋でバイトをし、着付けなどの知識を身に付ける努力をしていたそう。
あ:「私の夢を邪魔する奴は許さない、という気持ちが強くて。男か夢か、と言われたら、迷わず夢を取るタイプです、私(笑)」
そんなある日、藍子さんのお父様が脳梗塞で倒れ、藍子さんは家族交代で父親の介護に通うようになるのですが、あるとき、忙しい夫に対し「お見舞いに来なくてもいいよ」と言ったら、本当に来なかった。これが最終的に藍子さんに離婚を決意させる決め手となりました。
あ:「それまでの母に対しての態度にもモヤモヤしていたのが、『この人は私の家族に対してどうでもいいと思っているんだなあ』と再認識した感じ。男性の代わりはいるけど、家族の代わりはいないですからね。あと、今思えば、外では明るいいい人で通っていたけれど、感情を出すのが苦手で、モノに当たることがよくあったんです。キレるとフライパンをフローリングに投げつけたり、私のお高かった美顔器を『手入れする音がうるさい!』とひっくり返して壊そうとしたり……」
離婚を決めた藍子さんは、1年かけて貯金して部屋探しを始め、「家を出るから」とKさんに告げ、2か月で離婚が成立。
さ:「スムーズに別れられてよかったですね!」
あ:「はい。でも、そのあと、彼の住んでいる駅からかなり離れた私の家の前を、彼が通ったところを目撃することがあったんです。それと、彼が再婚してから、その奥さんから電話がかかってきたことがあって」
さ:「え? なんで?」
あ:「『実は子供を産んでから、夫に暴力をふるわれているんです。あなたと結婚していたときはどうでしたか?』って」
さ:「え〜〜〜〜〜〜〜! 怖い(涙)! ホラーみたいな展開ですね。じゃあ彼にはDVのケがあったってこと?」
あ:「そうみたい。私は争いが嫌いで、少しでもケンカになりそうだったら、言いたいことも言わずに我慢する性格だから、彼と一度もケンカしたことがなかったんです。そのおかげで殴られることはなかったけれど、今思えばモノに当たるのもDVの兆候ですよね。あのまま結婚生活を続けて居たら、いつか私も暴力をふるわれていたかもと思うと、ゾッとしました」
16歳で知り合ったKさんと23歳で離婚し、バツイチになった藍子さん。しかし、その後すぐに知り合って再婚した相手とも、またまた7年で破局することになるのです。
その嘘つきでモラハラな2度目の旦那さんのお話は次回に続きます。
※プライバシー保護のため、記事内の一部を実際の内容から変更しております。
イラスト/naotte 取材・文/さかいもゆる
さかいもゆる/出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。