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2021.11.27

俳優・寺島しのぶさん「120%の準備をして80%を出す」仕事論/ドラマ『女系家族』

 

来たる12月4日・5日、作家・山崎豊子の傑作『女系家族』がスペシャルドラマとして令和によみがえります。それも宮沢りえ&寺島しのぶによる華麗なW主演。自身と重ね合わせながら作品を語る寺島しのぶさんにスポットを当て、Domani世代へのメッセージとともにお届け。

「男性ばかり」の世界で育った寺島さんから見た「女系家族」

歌舞伎役者を父(七代目 尾上菊五郎)にもち、自身も幼いころは歌舞伎役者になりたかったという寺島しのぶさん。「男性のみ」が演じる世界だとわかってから、方向転換。そんな寺島さんの目には、姉妹による骨肉の争いを描いた物語『女系家族』は、どう映っているのでしょう。

「山崎豊子さんの書かれる小説は、どの作品も重厚感があり、リアルな面白さもあります。もちろんこの作品もそのひとつです。けれど――、男社会で育った私にとっては、女ばかりの争いや意地の張り合いは、想像も及ばない世界です。私自身長女ではあっても、歌舞伎役者としてあとを継ぐのは弟(五代目 尾上菊之助)の役目。弟は厳しく育てられましたが、私自身はとにかく自由。男の子たちと遊んだり、門限を破ったり、やりたい放題でした(笑)」

こんなふうに、今回演じた長女であり総領娘である藤代と立場は真逆。けれど、どこか共通するところも感じています。

「藤代は正直でひたすらまっすぐ。それゆえに、上手く生きていけないこともある。私もそうだから、立場は違っても藤代の気持ちがわかるんです。そんな藤代が言う『長いこと、女やいうこと忘れてた…』と少女のような顔に戻って言うセリフがあるんですけどね。こんな一面もあって、とても人間くさい。そして、不器用ゆえにトラブルに巻き込まれてしまうけれど、そこから成長もする。そこに、このドラマの面白さがあると思います」

120%の準備をして80%を出す

『女系家族』は、1963年の映画をはじめこれまでに何度も映像化されてきました。これから放送のスペシャルドラマでは、大阪の商人の街・船場の舞台はそのままに、シチュエーションは現代に置き換えられています。それでも、寺島さんが演じた長女・藤代は出演の大半が和装。そのうえ、独特の船場ことばで膨大なセリフを繰り出します。

「集中してセリフを頭に叩き込んだら、共演者のセリフも確認したり、場面を想像したりしながら現場に入ります。ヘアセットしてもらって、着物を着て、藤代ができあがったら、いざ本番。そのとき、頭に詰め込んできた余計なことはすべて取っ払って、シンプルに演じる。それが…、難しいんですけどね。

120%の準備をしていても、出すのは80%くらいの力が理想的です。とはいえ、30代のころは私も必死になって100%以上の力を見せつけたいと思って演じていたけど、それでは見る側が引いてしまうこともあるとわかりました。だから80%くらいが見る側にはちょうどいい。あとの20%は、観る方に託すんです。

必要なのは、シンプルに演じるために、たくさんの準備をして、広くいろんなことを知っておいて、いい演技をするための選択肢をたくさん用意しておくこと。その上で、どこを切って何を残すか。経験を積んできてようやく、わかってきたところです」

スペシャルドラマ『女系家族』で共演する宮沢りえさんいわく、そんな寺島さんの姿は「生きてきた時間がにじむような佇まい」。宮沢さん・寺島さん、ともに現在48歳。無駄を削ぎ落としたふたりの美しい佇まい、そして「観る側に託す余裕」を残した圧巻の演技は、『女系家族』でたっぷり鑑賞できます。

「50歳からが楽しい!」という言葉を信じて

2020年末に寺島さんがDomani誌上に登場したとき、こんなふうに語っていました。
「2020年は不調の年だったので、あとは上がっていくだけ」。

「仕事、家族のこと、次から次にいろいろあって、バタバタの日々が落ち着くことはまだなさそうだけれど、それもひとつひとつ片付けるしかありません。せめて、夜のバスタイムだけはひとりになって、エプソムソルトを入れた浴槽に顔だけ出して頭まで浸かって、浴室を真っ暗にして、うとうと。とろっとしたお湯に体をあずけると、赤ちゃんに戻ったようで、疲れが取れます。

50歳手前を迎え、体の疲れや歪みが出てくるのはしかたないこと。その上、ちょっとしたことで「体型が崩れないかしら」「病気じゃないかしら」と、よくないことばかり考えてしまいがちです。特に、休みのときほどね。だから、仕事をしているほうが、私の場合いいメンタル状態を保てるんです。どんなに両立が大変でも、集中できる仕事があるのは、やっぱりありがたいこと。ネガティブになることもあるけれど、『50歳からが楽しい!』と言っていた桃井かおりさんの言葉を信じて、めげずに進もうと思います。そして私も50代で堂々と『楽しい』と言えるように」

カットソー/参考価格(ROSETTA GETTY/MAISON DIXSEPT/03-3470-2100)ピアス ¥1,001,000・リング ¥267,300(TASAKI/0120-111-446)すべて税込み価格
その他 スタイリスト私物

撮影/石倉和夫 スタイリスト/中井綾子(crêpe) ヘアー&メイク/光倉カオル(dynamic) 撮影協力/BACKGROUNDS FACTORY   構成/南 ゆかり

2021年12月4日(土)・5日(日)夜9時~
2夜連続ドラマスペシャル 山崎豊子『女系家族』

舞台は大阪・船場で四代続く「女系筋」の老舗木綿問屋「矢島商店」。当主が亡くなり、莫大な遺産を巡って、総領娘・矢島藤代を筆頭とした女三姉妹による熾烈な争いが繰り広げられる。争いをさらに泥沼化させたのが、突然明らかになる父の愛人の存在。欲望と嫉妬が渦巻く、遺産相続と矢島商店のゆくえは…。

テレビ朝日系列
宮沢りえ 寺島しのぶ(W主演)
水川あさみ 山本美月 渡辺えり 役所広司(特別出演) 奥田瑛二 ほか

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▶︎【女優・寺島しのぶさんインタビュー】家族との日常、2021年に向けて思うこと

俳優

寺島しのぶ(てらじま・しのぶ)

1972年生まれ、京都市出身。舞台からキャリアを始め、2000年スクリーンデビュー。映画『赤目四十八瀧心中未遂』で2004年に日本アカデミー賞最優秀女優賞を受賞。2007年にフランス出身のクリエイティブディレクター、ローラン・グナシアさんと結婚。2012年出産。近年の出演作は映画『キネマの神様』『空白』など。

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