恋人の浮気××画像発覚で傷心の破局へ
浮気相手のSさんに本気になり、離婚した麻美さん。その頃を振り返り、彼女はこう言います。
「当時の2000年代初頭って、パリス・ヒルトンがもてはやされていたバブリーな時代。特にマスコミ業界はお金もあって自由で、周りも自分も浮かれていました。だから恋愛に対する常識も破綻して、浮気しまくってしまったというのもあるのかもしれません」
Sさんと何度も別れたり付き合ったりを繰り返すうち、恋愛マニュアルで有名な、ぐっどうぃる博士の本を読み、「復縁したいなら一度完璧に連絡を絶ってみると男性から追いかけて来る」というルールを目にした麻美さんは、そのマニュアル通り、「別れる」と言い渡して一切の連絡を絶ってみました。
するとどうでしょう。まんまとSさんから連絡が来て、「結婚を前提に付き合おう」と、ずっと欲しかった言葉を手に入れるのです。
――Sさんと再婚してめでたしめでたし、となればよかったのですが、そうはいかないのが人生の常(涙)。ある日彼の携帯の中に、浮気相手の女性との××写真(××に何が入るかは想像にお任せします)をみつけてしまい、またまた修羅場に。疲れ切ってSさんと別れ、離婚してからもSさんとの恋を相談していた元夫のFさんの元に戻ろうとしたところ、
「俺はお前の保険じゃない」
と突き放されてしまいます(当たり前だ)。
ここで本当に大事だったのは誰かということにようやく気付いた麻美さんですが、時すでに遅し。そこから、麻美さんが「何人と寝たか覚えていない」というワンナイトラブ・カーニバル全盛期に突入してしまうのです。
毎晩違う男性を取っ替え引っ替えしても空虚な心
麻美さん(以下、あ)「毎晩のように朝まで飲んで、男性をひっかけては部屋に連れ込んで-―」
さかい(以下、さ)「どういう心境でそんな風に過ごしていたんですか?」
あ「彼氏は欲しいけれど、あんなにしんどい想いをするくらいならワンナイトでいいや、と。その頃は一回寝ると征服欲が満たされて飽きてしまっていました。『連れ込んだら勝ち』、というゲームみたいなもの。もう一度あの頃に戻りたいかと言われたら、疲れるし二度とごめんだけど、それはそれで楽しく過ごして居た時期ではあったんです。そのくせ、夜ひとりになると、夫への罪悪感とSさんへの未練で毎晩泣いていました。
もはや自分のやっていることがよくわからなくなり占いに通いまくっていたのですが、ある占い師に、住んでいたマンションに霊道が通っていると言われて。たしかに、キャンドルの火を消したあと4時間後にまた火が灯ったり、部屋の中に知らない男女の姿が見えたり金縛りにあったりと、おかしなことがたくさんありました。そんなこともあって、精神的にも若干病んでいたんでしょうね」
――いつも楽しそうで恋の相手が途切れたことのない麻美さんにも、毎晩泣いていた時期があったなんて……。実は著者である私も離婚して最初の2年半は毎日泣いていたので、とっても共感してしまいました。別に元夫への未練というわけではなく、家族という存在とその歴史を失ってしまった喪失感が大きすぎて、どんなに今が充実していようと、ひとりになると心に虚無が押し寄せてくる。それくらい離婚って、精神的ダメージが大きいのだと思います。
さてそんな中、麻美さんに新たな恋が芽生えます。
お相手は、年下のIT系企業に務める男性、Nさん。
あ「彼はまじめで優しくて。酔っ払っていつものように部屋に連れ込んだんですが、他の男性のようには手を出して来なかった。それで『いい子かも』と思って付き合うことにしたんです」
まじめなNさんは、交際が始まるとすぐに麻美さんにプロポーズ。それなのに麻美さんは「それが、付き合ってみると一緒に居て死ぬほどつまらなかったんですよ……! つまらなすぎて泣けて来るくらいに。なので自分はこの人のこと、全然好きじゃないってことにすぐ気づきました」
さ「え、じゃあ、どうして2年も付き合ってたんですか?」
あ「そりゃあ、この年になって結婚してくれるっていう奇特な相手は、手放せないからですよ」
――やはり打算的な麻美さん(笑)。でもこれくらい強い女性の方が、最終的に幸せを掴むのかも!
占いを信じて京都の鞍馬寺へ!
こうして気乗りしない相手と結婚を前提に交際していた麻美さんですが、一度目の結婚のときはまじめな相手を推奨していた麻美さんのお母様は、Nさんが「麻美のことを手に負えるような相手じゃない」と見抜き、結婚は反対していたそう。その頃、麻美さんが、山梨県まで行ってみてもらった占い師に「京都の鞍馬寺へ行け」と言われたことをお母様に告げると、「行かなきゃダメよ!」と連れて行かれます。
あ「母親の勘で、何か閃いたんでしょうね。ちょうど弟の結婚式で家族で京都を訪れる機会があったので、母に半ば引きずられるようにして行きました。鞍馬山を父と母と3人で登って、鞍馬寺もお参りして。近くにある、縁結びで有名な貴船神社の水占いという恋みくじを引いたら、大吉だったんです。そうしたら母が、『麻美ちゃん。来年は色々変わるわよ!』って。実際、翌年に入ってすぐに、ずっと働いていた雑誌が休刊になり、フリーランスのエディターとしてやっていくことに。フリーになってすぐに受けたハワイ出張の仕事で出会ったのが、今の夫なんです」
人生のパートナーも仕事も手に入れたマウイ島
撮影で訪れたマウイ島で、カメラマンのアシスタントとして連れてこられたのが、13歳年下のKさん。広告の撮影だったためスケジュールがゆったりしていて、スタッフみんなでビーチで遊んだりしているうちに一気に距離が縮まったのだとか。
あ「そのあとも撮影でそのカメラマンさんと仕事をするときは、彼がいつもアシスタントについてきて。その頃にはNさんとは別れていて、彼が私のことを気に入っていることは、カメラマンさんに聞いて知って居たんです。年末になり、そのカメラマンさんが私たちをくっつけようとクリスマス飲み会を開いてくれて、そこで付き合うことになりました。あのとき訪れたマウイ島では、仲良しのスタイリストさんが私が昔勤めていた雑誌の編集長と仕事で偶然来て居て、そこから今の仕事に繋がったし、夫となる男性にも会えたし。マウイに行ったことで仕事も夫も手に入れて、人生が180度変わった気がします」
13歳年下のKさんはクラブ好きで安アパート住まいで見るからに頼りなく、麻美さんは「野良猫に餌をあげているような感覚」で付き合っていたと言います。けれど頼りないなりに、40歳になろうとしていた彼女の将来をちゃんと考えてくれていて、「子供とか結婚とかどう考えてるの?」と聞いてくれたそう。子供が絶対に欲しいと思っていた麻美さんは、「年齢的に妊娠はもしかしたら無理かもしれないけれど、トライするだけしてみよう」と、Kさんと一緒に暮らし始め妊活をスタート。その半年後には妊娠が発覚したのでした。
年齢差があるふたりの交際には猛反対だった両家の親も、子供ができたことで折れて、付き合って9か月でのスピード結婚が成立。このとき麻美さん、40歳。
――これもお母様が鞍馬寺に連れて行ってくれたご利益なのか!? ちなみに、彼女は同じバツイチである、著者の私に以前、「私、鞍馬寺行ったら再婚できたから、もゆるも行った方がいいよ!」と勧めてくれたのですが、鞍馬寺に行ってから3年が経ちますが、残念ながら一向にその気配は現れていません。
――長くなったので、その後の麻美さんの年下イクメン主夫の旦那様との結婚生活の実情については、次回に続きます。
※プライバシー保護のため、インタビューの内容を一部変更しています。
イラスト/naotte 取材・文/さかいもゆる
さかいもゆる/出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。