【登場人物】
あん（私）…メーカー勤務のシングルマザー。7年前に離婚し、実家に出戻り。38歳。
息子…生意気盛りの小学生。10歳。
Hくん…学生時代からの飲み友達。あんの恋愛復活に協力し、Rさん・Sくん・Oくんの3人を紹介。
Rさん…Hくんと同じ会社に勤める42歳。結婚歴はナシ。
【前回までの話】
40歳を目前に控え、「私、このままシングルでいいの？」と、ふと我に帰った私。再度恋愛に挑もうとマッチングアプリに登録してみるも、目の前に立ちはだかる様々な現実に直面し前途多難。そんな折、学生時代からの友達HくんからBBQのお誘いが。参加した男性Rさんが気になり、再度Hくんと3人でご飯をセッティングしてもらう。後日、SくんからRさんの過去の恋愛話を聞き、それでももう一度会いたいと思い、RさんにLINEを送る。「既読スルー」状態が続く中、ようやくLINEの返信があり食事へ。お互いの”譲れない家族”の存在を確認した上で付き合うことに。
こんにちは。シングルマザー歴7年で、念願の彼氏ができたあおいあんです。前回はRさんの家に行き、大人の関係に進んだところまでお伝えしました。
お泊まりデートをしている間に、息子にもステキな出会いが…
気がついたら朝で、隣にはRさんが寝ていた。ふんわりと夢見心地な朝。いつもなら「早く！まだ？」と叫んで騒がしい時間。同じ朝でも、こんなにも静かで幸せな時間が過ごせるなんて…本当に恋愛を諦めないでよかった。そう思いながらRさんに引っ付く。
「おはよう」
Rさんが起き、ギュッと抱きしめてくれた。
「あんちゃん、ずっとこのままでいたいけど、そろそろ時間やばくない？」
時計を見たら7時30分。今日は普通に平日だった！
「先にシャワー浴びて」
Rさんに促されるまま、バスルームに。シャワーを浴びながら、自分の身体が昨日とは違う感じがしてなんだかくすぐったかった。リビングに戻ると、パンとコーヒーのいい香りがした。
「先食べてていいからね」
そう言ってRさんもシャワーを浴びに。コーヒーを飲みながら、メイクをしつつ改めて部屋を見渡した。これだけ無駄なものがない生活、果たして私にもできるのだろうか。
万が一、本当にいろんなことがうまくいって、一緒に住むってなったらこのミニマリストな生活をしなきゃならないのかな。ついつい買ってしまう100均の便利グッズや、もう着ないのに見て見ぬ振りしている洋服＆靴どうするんだろう…。遠い目をしている私を見て笑いながらRさんが戻ってきた。
「どうしたの？」
「こんな綺麗な部屋を見て、自分の部屋の汚さに気が遠くなっていたの。一緒に食べよう」
「断捨離は簡単だよ。今度教えるね」
一緒に朝食を食べ、一緒に部屋を出る。駅まで行き「行ってらっしゃい」とお互い言い合い別れる。まだ付き合って1ヶ月しかたっていないのに、すごく自然で、Rさんという存在が元から自分の中にあったかのようだ。
仕事を終え、家に帰ると息子が「待ってました」と出迎えてくれた。
「ただいま。はい、お土産ね」
お城好きの男子に、ブロックで作る大阪城を渡した。こんな小さなブロックどう組み立てるんだろうと思うが、小さい頃からブロック遊びが好きな息子には、この小ささがまたたまらないらしい。
さて、現実にも戻ったことだし、『俳優と付き合いたい作戦』を小出しにやっていこうかな。夢中でお城を作っている息子の背中がすごく愛おしく見ていると、何かを思い出したらしく近づいてきた。
「そういえば僕、彼女できたんだよね。うふ♡」
そう耳元で呟くと、変な踊りをしながらブロックの元へ戻っていく。
「えっ!? ちょっと待って！ なにそれ？ 誰？ いつ？ 何〝うふ♡〟って？」
息子の元へ行き、何度も同じ質問をするが答えてくれない。ニヤニヤしながら結局、何も教えてくれないまま寝てしまった息子。これはママ友に急いで連絡しなきゃ！ 彼女って一体誰なの？
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あおいあん
契約社員でメーカー勤務、現在38歳のシングルマザー。高学年になりちょっと生意気になった10歳の息子と実家に出戻り。40歳を前に「もう一度、女としての人生を！」と一念発起。離婚をしてから7年という恋愛ブランクを埋めるべく奮闘中。
