信頼関係なき組織に、成果なし。週に一度、思いや考えをシェアする時間があれば、あとはリモートワークでも大丈夫なんです。
今月の母:服部結花さん
インクルージョン・ジャパン株式会社
代表取締役・38歳
出産・子育てを通して、価値観のものさしが変わりました
「実は今の会社は、会社員時代に実験的に始めた“副業”でした。ですが事業展開するうちにどんどん楽しくなり、もうこれは独立するしかないと5年前に退社して、会社経営を本業にしてしまったんです」と語る服部さん。
事業の柱はふたつ。ベンチャー企業への出資と大手企業の新規事業開発や人材開発のコンサルティングだ。個人や企業の“情熱のスイッチ”を入れるのが楽しいと笑顔を見せる。
「出産後は子育てで働く時間が限定されてしまうため、過去のスキルや経験を切り売りするだけで成長できていない自分を感じて焦っていました。最近ようやく、限られた仕事時間でも成長はできるのだと体感でき、気持ちにゆとりが出てきました。今は珍しく比較的悩みの少ない時期ですが、半年後に夫の仕事状況が変わるため、現在の家事バランスがくずれることが今後の課題になりそうです」
働く母になったことで“社会の中で初めて弱者となった”自分を感じ、女性に優しい会社づくりを実現したいと考えた。リモートワークを推奨、社員5名で集まるのは週1回、2時間の会議のみ。毎回冒頭にひとり3〜5分前後で“最近気になっていること”について話す時間をもち、それが自然とそれぞれの家族や子供、悩みなどプライベートな話題をシェアする場にもなっているという。
「仕事の進捗確認はオンラインでも可能です。やはり対面でコミュニケーションすべきは、個人的なトピック。マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱する“組織の成功循環モデル”でも、人間関係の質を高めることで自ずと成果が出るとされています。わが社も“年にひとり、社員のだれかが子供をもてるような組織”を目ざして頑張ります」
Profile
はっとり・ゆか/1979年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒業後、リクルート入社。人事制度設計、生命保険会社との協業事業責任者などを担当。在職中に現在の会社を立ち上げ34歳でリクルートを退社。翌年ベンチャーキャピタルファンドを設立。経済産業省に国内の主要な創業支援企業と選定される。36歳で結婚、出産。翌年復職。仕事服は半期に一度、お気に入りのブランドでフルコーディネートをセット買い。
Domani2018年6月号『女[独身]、妻[既婚子供なし]、母[子供あり]Catch! 働くいい女の「月曜16時』より
本誌撮影時スタッフ:撮影/真板由起(NOSTY) ヘア&メーク/今関梨華(P-cott) 構成/谷畑まゆみ