チャット・メッセージでのカジュアルな敬語表現
チャットツールなど、スピーディなコミュニケーションが求められる場面では、堅苦しすぎない表現が好まれます。
・ありがとうございます、とても嬉しいです。
・〇〇さんのおかげです。嬉しいです。

書き出し・結びに使える表現のバリエーション
<書き出しに使える表現>
・「この度は、〇〇のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。一同、大変喜んでおります」
・「先日は〇〇の件で温かいお言葉を頂戴し、大変嬉しく拝読いたしました」
<結びに使える表現>
・「皆様のご期待に沿えるよう、一層尽力する所存です。この度は誠にありがとうございました」
・「末筆ではございますが、〇〇様のお心遣いに、重ねて御礼申し上げます」
間違いやすい「嬉しい」敬語の注意点とNG表現
よかれと思って使った言葉が、実は相手に不快感を与えてしまうことも。ここでしっかり確認しておきましょう。
間違いやすい「嬉しい」の使い方・例
・「嬉しいです」の連発
多用すると、語彙が少ない、あるいは軽い印象を与えかねません。場面に応じて「光栄です」「ありがたく存じます」などと言い換えましょう。
・感情表現の過度な使用
「すごく嬉しいです!」や「めちゃくちゃ嬉しい」という言い回しはビジネスシーンにはふさわしくありません。また、会社の品格を損なう恐れもありますので「大変嬉しく存じます」「心より嬉しく思っております」と言い換えるようにしましょう。
避けるべきNG敬語・言い回し
・「喜ばしいです」
「喜ばしい」は、自分以外の誰か(同僚や部下など)のいい出来事を客観的に祝う言葉です。上司やお客様からの厚意に対して「喜ばしいです」と使うと、他人事のような尊大な印象を与えます。
・「参考になります」
目上の人のアドバイスに対して「参考になります」と返すと、「評価している」ような印象を与え、失礼にあたる場合があります。この場合は「大変勉強になります」が正解です。
正しく伝えるためのコツ・ワンポイント
感謝+感情+今後の意欲の3点セットで伝えることを意識してみてください。
・感謝:「温かいお言葉をいただき、誠にありがとうございます」
・感情:「大変嬉しく存じます」
・今後の意欲:「この言葉を胸に、より一層精進してまいります」
このようにセットで伝えることで、あなたの誠実さと前向きな姿勢が相手に伝わり、好印象につながります。
「嬉しい」以外のポジティブな感情表現・言い換えリスト
語彙を増やすことで、あなたの表現力はさらに豊かになります。
「ありがたい」「光栄」などの言い換え表現
・感謝を伝えたいとき:「ありがたく存じます」「感謝の念に堪えません」
・名誉に思うとき:「光栄です」「名誉なことと存じます」
・相手の配慮に恐縮するとき:「恐縮です」「恐れ入ります」
・期待に応えたいとき:「身が引き締まる思いです」
より丁寧に気持ちを伝えるフレーズ集
・お心遣いに深く感謝申し上げます。
・〇〇様のお言葉、胸に染み入りました。
・望外の喜びでございます。(思いがけない喜びを表現)
・ご期待に沿えるよう、粉骨砕身の覚悟でございます。
場面や関係性に合った言葉の選び方
相手との関係性や状況のフォーマル度によって、最適な言葉は変わります。例えば、長年の付き合いがある取引先には「〇〇様のおかげです、本当に嬉しいです」と少し感情を乗せた表現が響くこともあれば、初めての相手には「幸甚に存じます」のような格調高い言葉が求められることもあります。
迷った時は、より丁寧な言葉を選ぶのが無難です。
最後に
- メールでは理由を添えて書くと誠実さが伝わる。
- 上司・お客様には「光栄です」「幸甚に存じます」を活用。
- 言い換え表現を使い分けることで、信頼感ある会話になる。
「嬉しい」は、ビジネスでもっとも使いどころの多い感情表現です。しかし、相手や状況によって適切な敬語に置き換えることで、より丁寧で信頼感のある印象を与えられます。
大切なのは、「気持ち」だけでなく「背景」や「理由」も添えて伝えること。そうすることで、単なる感情表現が相手への敬意と感謝を込めたメッセージになります。
今日からは「嬉しいです」一辺倒ではなく、TPOに合わせた表現を使い分けて、ビジネスコミュニケーションの質をぐっと高めてみてください。
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執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。


