「中庸」とは、特定の考え方や立場に偏らず、中立な立場にあるという意味です。
Summary
- 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の意味は、度が過ぎるのは足りないのと同じく良くないこと
- 言葉の由来は、中国の思想家・孔子とその高弟の問答を記録した「論語」
- 類語は「薬も過ぎれば毒になる」「大吉は凶に還る」などがある
Contents
【目次】
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」とは?
この記事では「過ぎたるは猶及ばざるが如し」がどんな言葉なのかを確認していきます。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の意味
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」は、「すぎたるはなおおよばざるがごとし」と読みます。度が過ぎるのは足りないのと同じく良くないことだという意味です。物事は中立であることが大事だということを伝えています。

【過ぎたるは猶及ばざるが如し】
《「論語」先進から》何事でもやりすぎることはやり足りないことと同じようによくない。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」は孔子の論語を由来としており、徳川家康が似た意味の言葉を遺しています。
中庸が大切なことを示す
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」とは、「何事も行き過ぎればやり足りないことと変わらない」という意味です。物事はほどよいことが大切ということを伝えています。
「過ぎたる」は行き過ぎているという意味で、「及ばざる」が不足していることを表しており、どちらにも偏らない中立が大事ということです。やり過ぎることを戒める言葉といえるでしょう。

孔子の論語が由来
言葉の由来は、中国の思想家・孔子とその高弟の問答を記録した「論語」です。
孔子が二人の弟子のどちらが優れているかを尋ねられ、「一方は度が過ぎていて、もう一方は基準に達していない」と答えました。
高弟は「それでは度を過ぎている方が優れているのか」と聞いたところ、孔子の答えは「過猶不及」すなわち、どちらも同じように良くないという返答をしたということです。
類語に徳川家康の遺訓がある
類語として「及ばざるは過ぎたるより勝れり(およばざるはすぎたるよりまされり)」という言葉があります。
徳川家康が遺した「東照公御遺訓(とうしょうこうごいくん)」にある一文で、「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」から始まり、「及ばざるは過ぎたるより勝れり」で結ばれています。「足りない方がやり過ぎてしまっているよりも良い」という意味です。

「及ばざるは過ぎたるより勝れり」は、やりすぎを戒め、謙虚であることをすすめる言葉とされています。
【実際のエピソード】「過ぎたるは猶及ばざるが如し」に関する成功談・失敗談
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の体験談には、どのようなものがあるのでしょうか?ビジネスシーンにおいて、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」に関して何かしらの気づきや学びを得た実際のエピソードを紹介していきます。
【episode1】完璧主義が招いた「最悪のタイミング」での提出
Hさん(管理職、43)
私が20代の頃、完璧な企画書を作ろうと細部にこだわり抜き、データの裏付けを何重にも重ねていたことがありました。結果、提出が締め切り直前になり、上司から「内容は素晴らしいが、これでは検討する時間が足りない。過ぎたるは猶及ばざるが如しだ」と苦言を呈されました。 当時は「良いものを作っているのに」と反発心もありましたが、今なら分かります。どれほど質が高くても、意思決定のタイミングを逃せば、それは「質の低い資料」と同じ、あるいはそれ以下の価値しか持たないのです。40代の今、部下には「80点の速報が、120点の遅報に勝ることもある」と、この言葉を添えて伝えています。
【episode2】上席の「引き際」から学んだ交渉の美学
Kさん(管理職、45)
ある大手クライアントとの重要な契約更新の際、同席した役員の振る舞いから大きな学びを得ました。交渉は終始こちらが優勢で、さらに有利な条件を引き出せそうな局面でしたが、役員はあえて最後の一押しをせず、相手の面子を立てる形で合意しました。 後でその理由を尋ねると、「相手を追い詰めすぎれば、将来的な協力関係にヒビが入る。過ぎたるは猶及ばざるが如しだ」と仰いました。目先の利益を最大化すること(過ぎたる)は、長期的には信頼を失うこと(及ばざる)と同等のリスクを孕んでいる。この「負けない程度に勝つ」という高度なバランス感覚こそが、組織を永続させるリーダーに必要な資質だと深く納得した経験です。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の例文
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の例文をいくつかご紹介します。実際に使う場合は「猶」を省略することが多く、特に会話では「過ぎたるは及ばざるが如し」と言う場合が多いでしょう。

例文を参考にして、文章の中で「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の意味を把握してみてください。
ビジネスシーンで
質・量・スピードのバランスを欠いた時に使います。「良かれと思ってやった過剰な努力」が、かえって成果を阻害していることを指摘する際に有効です。
例文
・部下へのアドバイスも、過剰になれば指示待ち人間を作ってしまう。【過ぎたるは猶及ばざるが如し】と考え、あえて口を出さずに見守る勇気も必要だ。
・丁寧な資料作りは大切だが、こだわりすぎて提出期限を過ぎては本末転倒だ。【過ぎたるは猶及ばざるが如し】で、8割の完成度でスピード感を優先しよう。
・リスクヘッジのために承認フローを増やしすぎた結果、意思決定が遅れてチャンスを逃した。まさに【過ぎたるは猶及ばざるが如し】の典型的な失敗例だ。
教訓として
人生の指針や、人格形成における「ほどほど」の重要性を説く際に使います。単なる妥協ではなく、「最適解を求める姿勢」としての教訓です。
例文
・キャリアアップを急ぐあまり、プライベートを完全に犠牲にするのは危うい。【過ぎたるは猶及ばざるが如し】という言葉通り、心身の健康を損なっては元も子もないからね。
・自信を持つのは素晴らしいことだが、度を越せば傲慢(ごうまん)になり周囲が離れていく。【過ぎたるは猶及ばざるが如し】と肝に銘じて、常に謙虚さを忘れないようにしたい。
・リーダーシップも、強すぎれば独裁になり、弱すぎれば組織が停滞する。【過ぎたるは猶及ばざるが如し】で、絶妙な『加減』を見極めることがリーダーの終生の課題だ。
日常で
善意や熱心さが裏目に出た時に使います。日常生活における「適度な距離感」や「適量」を意識させる、少しマイルドな戒めのニュアンスが含まれます。
例文
・子供のためを思って習い事を詰め込みすぎたけれど、結局本人が疲弊してしまった。【過ぎたるは猶及ばざるが如し】だと反省して、少しスケジュールを整理したの。
・健康診断の結果が気になって過度な食事制限を始めたら、体力が落ちて風邪をひきやすくなった。【過ぎたるは猶及ばざるが如し】、バランスの良い食事が一番ね。
・良かれと思って友人の悩みに深く介入しすぎてしまい、かえって距離を置かれてしまった。【過ぎたるは猶及ばざるが如し】で、適切な距離感を保つべきだった。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の類語
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」には、いくつかの類語があります。「分別過ぐれば愚に返る」「薬も過ぎれば毒になる」はどちらもやりすぎを戒める言葉で、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」とよく似た言葉です。
類語を覚えておけば、状況に合わせた使い分けができるでしょう。ここでは、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」の類語をご紹介します。


