「二の足を踏む」とは思い切れずためらうこと
「二の足を踏む」とは、思い切れずにためらうことを意味する言葉です。何かをしたいと思っているけれど、実行することを躊躇し、尻込みをしてしまうさまをあらわします。日常の会話でもビジネスシーンでも使う機会が多い言葉の1つといえるでしょう。
さっそく、「二の足を踏む」の意味が辞書にはどのように記載されているかを確認してみましょう。
【二の足を踏む:にのあしをふむ】一歩目は進みながら、二歩目はためらって足踏みする。思い切れずに迷う。ためらう。しりごみする。「正札を見て―・む」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「二の足」は二歩目の足の意味
「二の足を踏む」の「二の足」は、歩き出すときの二歩目のことです。実行したい、進めたいという気持ちから勢いよく一歩目を踏み出したものの、その次に足を前に踏み出すことができない様子をあらわしています。
二歩目の足を宙に浮かせたまま、前に出せない状況と捉えていただければよいでしょう。「二の脚」でも間違いではないようですが、一般的に「二の足」と書きます。
「二の足」は刀を腰から吊るす金具の名前という説も
「二の足」は二歩目の足のほか、日本刀を腰に吊るすための金具の名前に由来するという説もあるようです。腰に日本刀を吊るす道具である「帯執(おびとり)」の、刀につける金具2つのうち、「鞘口(さやぐち)」から遠いほうを「二の足」と呼びます。「鞘口」とは、刀をしまう鞘(さや)の、刀身を入れる口のことです。
そのため、侍が鞘から刀を抜くことをためらったことから「二の足を踏む」という言葉が生まれたという説もあります。
「二の舞を踏む」は誤用
「二の足を踏む」と「二の舞を演じる」という言葉を混同し、「二の舞を踏む」と誤用してしまうケースが見受けられます。間違いないように注意しましょう。
「二の舞を演じる」とは、前の人のミスを自分も繰り返してしまうことを意味する言葉です。前の人が失敗するのを見ているのにも関わらず、自分も同じようなミスをしてしまうことをあらわしています。「あの人の二の舞になってしまう」などと言うことがありますが、この場合の二の舞は、二の舞を演じるという言葉を略したものです。
【例文付き】「二の足を踏む」の使い方
「二の足を踏む」は一度はやろうと思ったものの、そのことに関する不安がよぎり、そのまま続けることをためらっている様子をあらわす言葉です。例文をご紹介しますので、参考にしてみてください。
【例文】
・ずっと欲しかった時計だが、値段を考えるとやはり【二の足を踏んで】しまう
・おひとりさまで焼肉を食べに行きたいと思うものの、いざとなると【二の足を踏む】
・そんなことで【二の足を踏んで】いないで、さっさと始めるべきだ
「二の足を踏む」の類語・対義語
「二の足を踏む」には、同じような意味の類語、反対の意味をもつ対義語がそれぞれいくつかあります。「二の足を踏む」という言葉とあわせて、類語や対義語を確認することでさらに理解を深めることができるでしょう。
ここでは類語として「しり込みをする」「優柔不断」、対義語として「決断」「思い切る」の意味や使い方をご紹介します。