「赤の他人」の意味や語源とは?
誰しも一度は聞いたことがあるであろう「赤の他人」という言葉。どうして「赤」がつけられているのか疑問に思ったことはありませんか? 実は、それなりの意味が込められているのです。そこで今回は、ユニークな表現「赤の他人」を取り上げて、その言葉の意味や語源、使い方や類語などを解説します。
意味
「赤の他人(あかのたにん)」の意味を辞書で引くと、以下の通りです。
《「赤」は明白の意》全く縁もゆかりもない他人。完全に無関係な人。(<小学館デジタル大辞泉>より)
個人的なつながりのない人や血の繋がっていない人のことを「赤の他人」といいます。見ず知らずの人のことを指すこともあれば、友人や恋人などの親しい関係であっても、喧嘩をして「赤の他人なのに余計なお世話だ!」などと言うこともあるでしょう。
語源
それでは、どうして単なる「他人」ではなく、「赤の他人」と表現されるようになったのでしょうか。
もともと「赤」には、色の名前だけではなく、「明らかな」「全くの」という意味があるとされ、古来は「明い(あかい)」という言葉だったそう。それが時代の変化とともに「赤」という漢字が当てられ、「明らかな他人」「全くの他人」という意味の「赤の他人」という慣用句になったとされています。
また、「赤の他人」以外にも、「真っ赤な嘘」や「赤っ恥」「赤裸々」など、様々な慣用句に「赤」という漢字が使われています。これらは全て、「嘘」や「恥」「裸」などの名詞の意味を強調するために「赤」という漢字が付けられたそう。言い換えれば、「まったくの嘘」や「明らかな恥」と言うこともできます。
つまり、「赤」という色が持つ鮮烈なイメージや視覚的な印象が、言葉の意味を強調する役割を担っていると考えてよいでしょう。
使い方を例文でチェック!
「赤の他人」という言葉を耳にしたことがあっても、口にする機会は少ないかもしれません。ここでは主な使い方を3つ紹介します。
友達だと思って声をかけたら赤の他人だった
こちらの例文は、日常生活でよくあるパターンです。知り合いだと思って声をかけたら、まったく別の人で恥をかいてしまったという経験がある方もいるでしょう。あえて「赤」を付け加えることで、「まったく別の人間だった」ということを強調することができます。
友人に「赤の他人のお前にとやかく言われたくない」と怒鳴られた
友人や恋人と喧嘩をして、ついこのように口走ってしまった経験がある方もいるかもしれません。ここでの「赤の他人」は、「血も繋がっていないのに」という意味合いが強いです。深い信頼関係を結んでいたと思っていた相手から、このようなセリフを言われたらショックですね…。
君とは初めて会ったのに、赤の他人とは思えない
まるで、どこかで会ったような気がする相手に「赤の他人とは思えない」と言うこともあります。一度も会ったことがないはずなのに、以前どこかで会ったような不思議な運命を感じている時に使用します。恋愛小説やドラマで出てきそうな、少しロマンチックなセリフです。
類語や言い換え表現とは?
「赤の他人」以外にも、「他人」のことを指す言葉がいくつかあります。さっそくみていきましょう。
ひと様
「ひと様」の意味は以下の通りです。
他人を敬っていう語。(<小学館デジタル大辞泉>より)
他人のことを丁寧に表現したのが「ひと様」です。多くは、母親が我が子に向かって「ひと様に迷惑をかけてはいけません」と嗜めるときに使われます。直接関わりを持たない人のことを指すこともあれば、世間全般を指すこともあるでしょう。他人への慎みが感じられる、やや古風な表現です。
例文:「ひと様に迷惑をかけるような子に育てた覚えはありません」と母に叱られた
よそ者
続いて、「よそ者」の意味を見ていきましょう。
他の土地から移って来た人。また、仲間でない人。(<小学館デジタル大辞泉>より)
他の場所から移住してきた人のことを「よそ者」と言います。都会から田舎にやってきた人や、またはその逆など、地域の共同体から外れた人のことをそう呼ぶことが多いようです。自分たちとは異なる価値観や文化を持っている人を警戒しているような、どこか排他的なニュアンスが含まれている言葉です。
例文:都会から引っ越してきたと話したら、クラスメイトによそ者扱いされた