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「飛んで火に入る夏の虫」の意味や読み方とは?
「飛んで火に入る夏の虫」は「とんでひにいるなつのむし」と読みます。「入る」は「はいる」ではなく、「いる」と読むので注意しましょう。
意味は以下の通りです。
明るさにつられて飛んで来た夏の虫が、火で焼け死ぬ意から、自分から進んで災いの中に飛び込むことのたとえ。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
自ら災難や災いに向かって飛び込んでいくことや、自ら滅亡を招くことを表すことわざ。向かう先に災いがあることを理解していないときに用います。
「飛んで火に入る夏の虫」の由来は?
なぜ、「飛んで火に入る夏の虫」という表現をするのでしょうか? 言葉の由来について見ていきましょう。
夏の夜に自動販売機や、コンビニの蛍光灯に虫が集まっているのを見かけることがあるでしょう。これは、虫の多くは光に寄ってくる習性を持つことから。この習性は蛍光灯に限らず、火などの明るいものにも飛んで集まって来ます。
かつて蛍光灯などがなかった時代は、火を使って明かりを灯していました。その中に虫が自ら飛び込み、死んでしまうことが由来となり、できたことわざが「飛んで火に入る夏の虫」です。
明治時代以前では「愚人は夏の虫、飛んで火に入る」、または「愚人は夏の虫」だけで用いられることもありました。「飛んで火に入る夏の虫」と、現在と同じ表現になるのは明治時代以降になります。
「飛んで火に入る夏の虫」の元となった言葉とは?
中国、南北朝時代の歴史を記した書物、『梁書(りょうしょ)』に「飛蛾(ひが)の火に赴くが如し」という一文があります。これが転じて「飛んで火に入る夏の虫」になったのだとか。しかし、知らずに災いに向かっていくことを表した「飛んで火にいる夏の虫」に対して、「飛蛾の火に赴くが如し」は、「自ら好んで災いに向かう」という意味合いの違いがあります。
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「飛んで火に入る夏の虫」の使い方を例文でチェック
「飛んで火に入る夏の虫」は、自ら破滅に追い込むような行為、または怖いもの知らずの行動などに対して、忠告したり揶揄する際に用いられます。使い方を例文でチェックしていきましょう。
「ブラック企業で有名なあの会社に入社するなんて、彼は飛んで火に入る夏の虫のようなものだ」
ブラック企業に入社するなんて、自分から苦しい状況に身を投じることになる、ということをいっています。
「詐欺をはたらいた相手が捜査官だったなんて、飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ」
相手が捜査官だと知らずに詐欺をはたらき、「自ら墓穴を掘ってしまった」という状況を表す一文です。
「世界チャンピオンの彼女に勝負を挑むなんて、飛んで火に入る夏の虫のようなものだ。やめておいた方がいいに決まっている」
ほとんど勝ち目のない勝負を挑むことは、無謀な挑戦とも。そのことを忠告する際にも「飛んで火に入る夏の虫」は使うことができます。
「飛んで火に入る夏の虫」の類語・言い換え表現とは?
「飛んで火に入る夏の虫」と同じ意味合いで使うことができる言葉をチェックしていきましょう。