Summary
- お茶のシミは、タンニンの酸化で時間がたつほど落ちにくくなる。
- 素材によって落ちやすさが異なり、綿は残りやすく、化学繊維は比較的落としやすい。
- 中性洗剤や酸素系漂白剤、重曹など家庭でも使える方法で落とせる。
気づいたときには時間がたってしまった、お茶のシミ…。「もう落とすのは、難しい…」と感じた経験があるかもしれません。
そこで、この記事では、自宅でできる実践的な落とし方や、素材別の注意点、失敗を避けるコツまで創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにお聞きしました。
洗濯ビギナーでも無理なく取り組める方法を紹介しますので、慌てずに一つずつ確認してみてください。
時間がたったお茶のシミは、なぜ落ちにくい?
シミの原因を理解しておくと、正しい対応がしやすくなります。ここでは、お茶特有の汚れの性質と、時間の経過が及ぼす影響について説明します。
お茶のシミはなぜ残りやすいのか?
お茶に含まれる「タンニン」という成分は、植物由来のポリフェノールの一種です。このタンニンが衣類の繊維につき、色素が残るとシミになります。
色が目立たないからといって放置すると、知らないうちに色が定着してしまうことがあるため、最初の対応が重要です。

時間がたつとどう変化する?
お茶のシミは、時間がたつと乾燥して繊維の奥に入り込み、酸化が進みます。この酸化によってシミの色が濃くなり、目立ちやすくなるのが特徴です。さらに、酸化が進んだタンニンは洗剤に反応しにくくなり、通常の洗濯だけでは落ちづらくなる場合があります。
特に何度も洗濯をくり返しても残るシミは、酸化による変化が進んだサインです。時間がたったシミには、一般的な洗い方だけでなく、専用の処理が求められます。
素材によって落ちやすさは違う
お茶のシミが定着するかどうかは、生地の種類にも大きく左右されます。綿素材は吸水性が高く、タンニンが入り込みやすいため、時間がたつと落としにくくなる傾向があります。
一方、ポリエステルなどの化学繊維は水をはじきやすいため、表面にとどまることが多く、比較的落としやすいでしょう。
ウールやシルクのような繊細な素材は、シミの処理によって生地を傷める可能性があるため、洗剤の種類や処理方法にも気を配ることが大切です。素材を見極めることで、失敗を防ぐ対策にもつながります。
お茶に含まれるタンニンが酸化して繊維に定着してしまうと、通常の洗濯では落ちにくくなります。
自宅でできるお茶シミの落とし方|基本と応用
時間がたってしまったお茶のシミでも、段階的に対応すれば落とせる場合があります。ここでは基本の落とし方から、アイテム別の工夫を紹介します。
まずは、水洗いと前処理で土台づくり!
シミに気づいたら、軽く湿らせた布で押さえるのが基本です。乾いた状態でこすると、汚れが繊維に押し込まれてしまうので注意しましょう。
ぬるま湯で軽くたたくようにしてシミを浮かせることで、後の処理がスムーズになります。このひと手間だけでも、落ち具合に大きな差が出ますよ。洗剤を使う前に、生地の状態を確認しながら優しく前処理を進めることが大切です。
家庭にある洗剤での落とし方
前処理のあとに使いたいのが、「中性洗剤」です。汚れの成分にやさしく作用し、色柄物にも使いやすいのが特徴。シミ部分に少量の洗剤をのせて、指先や綿棒で軽くなじませてから、ぬるま湯で流します。
それでも残る場合は、酸素系漂白剤の出番です。
オキシクリーンなどを40℃前後のお湯に溶かし、15〜30分つけ置きすることで、酸化したタンニンにもアプローチできます。色落ちの心配がある素材は、あらかじめ目立たない場所で試してから行いましょう。
重曹を使う方法
自然派の方法や部分洗いには、重曹が役立ちます。重曹は水に溶かしてからペースト状にし、シミに塗布してからしばらく置くと汚れが浮きやすくなります。手に入れやすく、時短にもつながるため、忙しい日常でも取り入れやすい手段だといえるでしょう。

中性洗剤・酸素系漂白剤・重曹を使い、段階的に処理するのが効果的。
失敗を防ぐために気をつけたいこと
自己流で試して繊維を傷めてしまうことのないよう、ありがちなNG行動や注意点をまとめて紹介します。
こすりすぎ・熱湯使用はNG
お茶のシミを落とそうとして力まかせにこすると、繊維が毛羽立って傷みやすくなります。特に濡れた状態では繊維がやわらかくなっているため、無理な摩擦は避けたいところです。
また、熱湯をかけると汚れが繊維に固定されてしまい、かえって落ちにくくなることがあります。焦って処理せず、ぬるま湯で軽くたたくなどして段階的に進めていくことが、素材を守る近道です。


