密集干しを避けるための工夫
洗濯物をギュッと詰めて干していませんか? 一見効率がよさそうでも、衣類同士が密着していると空気が通らず、乾きにムラが出やすくなります。この状態が続くと、湿った部分に雑菌が残って臭いの原因になってしまいますよ。
対策としては、ハンガーの間隔を広めに取ることが基本です。できればこぶし1個分以上あけて干すと、空気の通り道がしっかり確保できます。タオルなどは端を少しずらして干す「ずらし干し」にすると、風の当たり方が均一になり、乾きが早まります。
また、アーチ状に干せるタイプのピンチハンガーを使うと、内側にもしっかり風が通ります。効率よく、そして清潔に仕上げたいときにこそ試してみたいやり方です。
風通しをよくし、密集干しを避ければ防臭に効果的。
臭いが残ったときの応急対処とリセット方法
「臭ってしまった」というときも、すぐにできる対処法があります。洗い直す前に知っておきたいテクニックを中心に、実用性を重視して解説します。
重曹・オキシクリーンのつけ置きで臭いをリセット
部屋干し臭がしみついてしまったと感じたら、洗い直す前に「つけ置き」で対処してみるのもひとつの方法です。重曹や酸素系漂白剤(オキシクリーンなど)には、繊維に残ったニオイのもとを分解する作用があります。中でも酸素系漂白剤は、除菌と漂白の両方のはたらきがあるため、頑固な臭いにもアプローチしやすいとされていますよ。
使用時には40℃前後のぬるま湯を使い、洗面器やバケツに水をはったうえで適量の粉末をよく溶かしてから衣類を浸けるのがポイント。つけ置きの目安は1〜2時間程度。その後は通常通り洗濯機で洗うと、臭いの軽減が実感できるでしょう。
衣類の素材によって使えない場合もあるため、表示タグの確認は忘れずに行いたいですね。

洗濯槽の汚れが原因のケースもある
衣類の臭いがなかなか取れないときは、洗濯機自体に目を向ける必要があるかもしれません。見た目にはきれいに見えても、洗濯槽の内側には洗剤カスや皮脂汚れが蓄積しやすく、それが雑菌の温床となっていることがあります。
特に洗濯後すぐの衣類から臭いがあるときには、洗濯機内部の汚れが影響している可能性大。
定期的に洗濯槽クリーナーを使うことで、こうした見えない汚れを取り除くことができます。市販の洗浄剤を使用する場合は、説明書にある回数や水位の指示に沿って行うのが安心です。
洗濯機の臭い対策は、衣類の仕上がりにも直結します。日頃からのメンテナンスで、洗濯後の清潔感をキープしていけるといいですね。
プロ視点からの補足
部屋干し臭の主な原因は、皮脂やたんぱく質を栄養にして繁殖した細菌(主にモラクセラ菌)が出す代謝物(脂肪酸や有機酸)の臭いです。
この菌は乾燥に強く、洗濯後にわずかに残った汚れや水分を栄養源にして増殖し、室内干しで乾きが遅いとさらに増殖するため、臭いが発生しやすくなります。モラクセラ菌は「どこにでもいる菌」ですから完全に落とせたとしてもすぐに付着しますので現実的には根絶することは出来ません。
ですので、菌の活動を抑えるという意味でも早く乾かす・菌の栄養の素を残さない洗濯は非常に大切です。また、湿気がこもったままの保管やたたみ置きは、生乾き臭だけでなくカビの原因にもなりますので注意しましょう。
最後に
POINT
- 部屋干し臭はモラクセラ菌など雑菌の繁殖が主原因。
- 洗剤・柔軟剤は抗菌効果のあるタイプを活用すると安心。
- 干し方を工夫し、風通しをよくすることが最大の防御策。
部屋干し臭は避けられないものではありません。臭いの原因を知り、洗剤や柔軟剤の選び方、干し方を少し見直すだけで、大きく変わることがあります。無理なく取り入れられる方法を見つけて、自宅でも気持ちよく洗濯物を乾かしていけるといいですね。
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