Summary
- 「乗りかかった船」は途中でやめるわけにはいかないことのたとえ
- 語源は「岸を離れた船は簡単に降りられない」という比喩
- 類語に「渡りかかった船」「騎虎の勢い」などがある
「乗りかかった船だから」と言われると、なんとなく意味は分かるけれど、正しく使えるか? と言われたらちょっと自信がない…。そんな感覚を持つ人も多いのではないでしょうか? この表現には、言葉以上に関係性や責任感がにじんでいます。
そこで本記事では、「乗りかかった船」の意味や使い方、言い換え表現や背景にある考え方まで、今の生活や仕事に生かせる視点を整理して紹介します。
「乗りかかった船」の意味と語源をしっかり押さえる
言葉の持つ重みを理解するには、ただ意味をなぞるだけでは足りません。ここでは、「乗りかかった船」という表現がなぜ使われ、どんな背景から生まれたのかを見ていきながら、安心して使える知識を身につけていきます。
「乗りかかった船」とはどういう意味?
「乗りかかった船」とは、すでに関わり始めた物事に対して、途中でやめることはできず、最後まで関わり続けるしかないという状況を表す言葉です。
辞書では次のように説明されています。
乗(の)り掛(か)かった船(ふね)
《乗って岸を離れた船からは下船できないところから》物事を始めてしまった以上、中途でやめるわけにはいかないことのたとえ。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
自ら進んで関わったかどうかにかかわらず、始めてしまった以上は途中で辞められないというたとえとして使われます。その裏には葛藤や迷いがありながらも退かないという姿勢が込められているといえますね。

語源は?
「乗りかかった船」という表現には、岸から離れた船からは簡単には降りられないという状況から生まれた言葉です。
「乗りかかった船」とは、始めた以上はやめられない状況のたとえ。
場面別の使い方を例文でチェック!
意味を理解しても、「どんなときに、どう使えばいいのか?」は迷いが出るものです。特に、職場などでは言葉選びが人間関係に直結する場面も多くあります。ここでは、「乗りかかった船」の使い方を例文とともに見ていきましょう。
「この企画は思った以上に大変だが、乗りかかった船だから最後までやり遂げよう」
上記は、ビジネスシーンでの例文。自分が関わり始めた仕事を途中で投げ出せないというたとえとして使われています。困難に直面しても「始めてしまった以上、完結させるべき」という覚悟のようなものが感じられますね。
「子どもの係決めで役員に選ばれてしまったけど、乗りかかった船だから任期が終わるまで務めるしかない」
頼まれごとや面倒な用事を断りきれずに引き受ける場面でも使われます。やや諦め混じりではあるものの、責任から逃げずに対処する姿勢が伝わり、共感を得やすい表現です。

強引に聞こえないための配慮と調整
「乗りかかった船」という言い回しは、使い方によっては押しつけのような印象を与えてしまうことがあります。
例えば他者に対して「あなたも乗りかかった船だからやりなさい」と言うと、強制されたと感じさせてしまうでしょう。同じようなことを伝えるにしても「私も不安だったけれど、ここまで来たらやるしかないと思って…。乗りかかった船だし、一緒にがんばりましょう」というように前置きを加えることで、柔らかく伝えることができますよ。
状況の共有を意識した表現に調整することが大切です。
「乗りかかった船」の類語・言い換え表現を紹介
似た言い回しや別の言語と比較することで、より立体的な理解につながります。ここでは、「乗りかかった船」の類語と言い換え表現を紹介します。
類語や言い換え表現
「乗りかかった船」と同じように、一度始めたことを途中でやめられない状況を表す言葉はいくつかあります。その中でも代表的なのが「渡りかかった船」と「騎虎(きこ)の勢い」です。

渡りかかった船
「渡りかかった船」とは、すでに川を渡り始めてしまった以上、引き返せないことを意味します。転じて、物事に関わり始めたからには最後までやり遂げるしかないというたとえとして使われます。類似表現に「渡りかけた橋」があり、いずれも「乗りかかった船」と同様の意味を持ちます。
騎虎の勢い
「騎虎の勢い」とは、中国の歴史書『隋書』独孤皇后伝に由来する表現です。虎に乗った者は、降りれば食い殺されるため、降りずに進むしかないという状況を指します。ここから、始めてしまったことを途中でやめられない、後戻りできない立場を意味するようになりました。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
最後に
POINT
- 「乗りかかった船」は途中でやめられない状況のたとえ
- 語源は「船に乗ったら途中で降りられない」比喩に由来
- 類語には、「渡りかかった船」と「騎虎の勢い」がある
「乗りかかった船」は、古くからある表現でありながら、今も多くの場面で生きる言葉です。意味だけでなく、背景や言い換えの工夫まで身につけることで、より深みが加わるでしょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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