真面目な彼に出会って男性不信が癒された
元夫の女癖の悪さからメンタルを病んで男性不信になってしまった佐知さん。精神科通いで人生どん底にあったときに出会ったのが、今の夫、Bさんです。
前回のお話はこちら▶︎29歳で焦って結婚し離婚。アラフォーで再婚、出産して今が一番幸せなバツイチ女性の話
Bさんは、実家が経営する教育施設の幼児向け体育の先生として毎日佐知さんの職場に訪れていたそう。―ん?1度目の結婚相手Aさんも佐知さんのお父様の檀家仲間だったし、2度目も実家の経営する職場絡み。なんか佐知さんてば、実家絡みの縁が多くないですか?
佐知さん(以下、佐):(笑)。彼のことは、毎日仕事ぶりを見ていて、その誠実さに惹かれたんです。この人は一生懸命で不器用で、人を裏切らない人だろうなって思いました。クラスのミーティングで毎日のように顔を合わせていて、世間話もするようになって。半年くらい過ぎたときに、私から飲みに誘いました。あるとき教室に行ったら彼が暗い顔して、膝を抱えて体育座りしていたことがあって。長年付き合っていた彼女にフラれたって聞いて、『キター!!』って(笑)
―男性不信のわりには積極的でちゃっかりしているようにも感じるけど、前の結婚での傷が癒されるまでの半年は、何年もだと思えるほど長く感じたそう。
「ちょっと誰かに突かれたら泣き出しちゃうくらいに情緒不安定でしたね〜」。
Bさんは「面白みはないけれど、真面目で不器用。仕事と家の往復しかないような生活を送っているタイプ」。元々結婚しようと思う相手としか付き合わず、ひとりの女性と長く交際するために、30代半ばにして交際経験がふたりだけ、というところも佐知さんにとっての安心材料になったよう。
佐:始めの頃は、彼の腕枕で寝ているだけで『人は裏切らないんだな』って改めて思える自分に感動して、涙が出たことも。彼と一緒にいることで心の傷が修復されていくような感覚を覚えました。
3年ほど同棲して結婚を考えたとき、佐知さんのお父様が「どこの馬の骨かわからない男と結婚なんて!」と反対したそう。―前回の結婚では、そんな男だったAさんと自分が仲良くして本性見抜けなかったくせに、お父さん、勝手だなあ。
ほんとなら30過ぎているいい大人だし強行突破しても良かったんじゃないかとも思ってしまいますが、ここでも、後継ぎ&ひとりっ子の佐知さんは一応お父様の意向を汲んで、お互いの釣書を用意して再婚の許可をもらったのでした。
さ:ところで釣書って書いたことないんですけど、一体どういうものなんですか?
佐:私もわからなかったから、ネットで調べて。白い便箋に縦書きで、経歴や家族構成、趣味なんかを書くんです。私は教育施設を継ぐという立場上、いろんな資格をいっぱい持っていたのでなかなか見栄えのいい釣書になりました(笑)。
ほ〜! そういうものなんですね。
結婚式は佐知さんにとっては2度目の挙式ということで、家族と仲のいい友達だけを呼んだこじんまりした式にしたそう。
不妊治療で再び心を病み、職場にも行けない日々
このとき、佐知さん35歳。
子供が欲しかった彼女は再婚と同時に病院での不妊治療に励みますが、なかなか子宝に恵まれず、再び心を病むことに。
佐:不妊治療ってギャンブルみたいなものなんですよ。お金を注ぎ込んで、今回はダメだったけど、次にお金をかけたら今度はできるかもしれない、それの繰り返し。だけどお金だけがどんどん消えて行って、毎月生理が来るたびに落ち込んで。教育施設で働いているから、施設にやって来るお母さんとそのお子さんたちを毎日見るのが辛くて職場にも行けなくなりました。テレビで芸能人が妊娠・出産したっていうニュースを観ただけでも涙が出るくらいに辛かったですね。
また占いに頼るようになり、5年目に3回病院を変えたところで娘を授かります。
佐:私、何でも滑り込みなんですよね。最初の結婚も30歳の誕生日直前だったし、出産も40歳の誕生日の3日前。
さ:占い的な観点からいうと、誕生日前に人生の大きなイベントが起きやすく、結婚相手は実家絡みから現れるっていう星の元に生まれたんですかねぇ。
佐:そうかもしれませんねえ(笑)。占いに行きまくったので、運勢のバイオリズム的なことには相当詳しくなったし気にするようになりました。
―これ、たぶん佐知さんだけじゃなくて、バツイチあるあるなんですよね…。だいたいみんな離婚前から「本当に離婚という選択肢を選んでいいのだろうか。果たして離婚しても幸せになれるのだろうか」などと悩み過ぎて占いに通い出し、離婚してからもとにかく、いい占いがあると聞くと行かずにはいられない(笑)。「この前行った占いがすごい当たってて〜」という話をしたらその場で予約を入れる、というバツイチ仲間たちの行動を何度目の当たりにしたかわかりません。めっちゃ共感!!
子供を授かって変わったこととは?
さ:ところで、子供ができたことで夫婦の間ってどう変わるものなんですか?
佐:いちばんの変化は、夫より子供が優先になる、ってことですよね。だけどうちは夫婦仲は良くって、親に娘を預けてふたりで外出することも結構あります。あとは、前は私が稼いでるから彼の収入が気にならなかったけど、今は娘がいるのでちゃんと働いて欲しいって思うようになりました」
ちなみに、Bさんは結婚後色々あって佐知さんの家業を継ぐことになり、佐知さんと一緒に教育施設で働いているのですが、体調を崩してここ1年ほど休業中。家にいるんだから家事をやってくれて当然と思いきや、「お皿洗ってなかったから洗っといたよ」とかドヤ顔で言ってくるらしいです。「まあ、育児をやってくれているから助かりますけどね〜。でも正直、こっちが稼いでるんだからそれくらいやっておいてよ、って思うときも結構あります」
さ:再婚していちばん良かったことって何ですか?
佐:人間に戻れたこと、ですかねぇ。男性不信になっているときは人を常に疑ってしまっていたし、家から一歩も出られず人混みに居るのも無理、楽しい場所にも行けなかった。
さ:そうか…。佐知さんは安心感を与えてくれる人に出会えたんですね。
私も同じバツイチとして、「なぜ自分が再婚したいか」(私は再婚希望派)と自問自答するときがあるんですが、結局やはり、「精神的な安定・安心感が欲しい」のひとことに尽きるかもしれません。
女性ってアラフォー以上になるとホルモンバランスのせいか、精神的に不安定になりやすい傾向にありますよね。そういうとき、ほっと出来て安心して甘えられるパートナーが居たらいいなあと思い続けて早○年(涙)。
―だけど佐知さんのお話を伺っていて改めて思ったのが、結婚していようが独身であろうが、アラフォーにもなるとみんなそのときのステージによって何かしら悩みがあり、外からどう見えようが、悩んでいない人なんてきっと居なんだろうなあという、当たり前のこと。
バツイチでアラフィフ独身でフリーランスの私から見れば、家業があり再婚していて夫婦仲も良く、かわいい娘さんにも恵まれている佐知さんはとても幸せに見える。でも実際はお母様が大病で入院して居たり、夫は病気で休業中、家業の経営で四苦八苦しているし跡取りとしてのプレッシャーも大きい−と、佐知さんにだって悩みはあるし、今でも何かあるとダウジング占いに駆け込んでいるそう。
だから何が言いたいかっていうと、人の幸せを羨んだり比べたりすることには意味がない、ってこと!―そんなことを感じた、今回の取材でありました。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。