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2019.05.05

「年齢詐称の逆ギレ妻に娘を連れ去られ、泥沼裁判へ」親権の行方は?〜由伸さんの場合vol.2

結婚した妻は年齢も学歴も職業もすべてウソ。貯金の使い込みも発覚し、逃げるように娘を連れて家を出た妻に親権を取られてしまった由伸さん。ー人生とは喪失と再生の繰り返しのドラマ。「バツイチ」という離婚経験者たちは、ある意味、喪失を乗り越えてなお強く生きるサバイバー!幸せになることをあきらめない、由伸さんが経験した離婚の話、第2回。

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使い込みと経歴詐称を問い詰めると逆ギレして離婚を要求

結婚した妻の年齢も経歴も、すべてが詐称だったら?―そんな悪夢が現実となってしまった由伸さん。さらに、4千万円もの貯蓄を使い込んだ妻は、3歳になる生まれつき持病のある娘を連れて、家を出て行ってしまいます。

前回のお話▶︎経歴詐称の妻が貯金を使い果たし、娘を連れ去り、親権も奪われた僕

「体調が悪いから実家に帰る」と言っていた妻ですが、出て行ってから次々に経歴詐称の証拠が発覚。

由伸さん(以下、よ):問い詰めようとすると、弁護士を立てて「離婚したい」と向こうから言ってきました。

初めは子供のために離婚をしたくなかった由伸さんですが、日本の法律では2年別居すると離婚が成立してしまうため、渋々こちらも弁護士を雇って法廷で戦うことに。しかしここからが本当の地獄の始まりだったのです(涙)。

日本の法律は「連れ去ったもん勝ち!?」という衝撃

法律に疎い私からすると、経歴詐称して夫の結婚前からの貯金を4千万円も使い込み、娘を勝手に連れ去った妻にどう見ても非がある!―だから裁判では当然由伸さんが有利になるのでは、と思ったのですが、そうは問屋が下ろさないらしいのです。衝撃!!

由伸さんのケースでは奥さんが経歴詐称して結婚し、由伸さんの貯金を使い込んでいたわけですが、これも「最終的に結婚したのだから結婚詐欺罪は成立せず、夫婦間の金銭について何があったかは、夫婦の問題なので罪には問われなかった」のだそう。

よ:最初はTV番組などにも出ている、離婚の裁判に強いと評判の有名女性弁護士に裁判での代理人を依頼しました。だけど僕の置かれている立場を詳しく説明したら、全く動いてくれなくなりました。なぜなら、日本ではどちらかの親が子供を連れ去って1ヶ月経過したら、自動的に親権は連れ去った側のものになるんですよ。離婚を申し立てた時点で子供がどちらの親と一緒に居るかで、親権が決まってしまうんです。

つまり由伸さんのケースでは、親権を裁判で争っても99%負ける裁判。勝つことを目的としているその女性弁護士にとって、由伸さんの弁護を引き受けても、ということだったみたい。

ちなみに親権をどちらが取ろうが養育費や慰謝料とは全く関係がなく、これらの弁護はすべてそれぞれ別件として、着手金とは別に弁護士への成功報酬がかかるそう。

親権は、母親>連れ去った側の順に有利となる事実

よ:僕も初めて知ったけれど、日本って連れ去り天国なんですよ。今、ニュースでもたまに海外への子供の連れ去りに関する「ハーグ条約」という言葉を耳にするけれど、他の国なら問題になっているようなケースが、この国では堂々とまかり通っている。

補足すると、連れ去った方の親が子どもにDVや虐待を働いているという証拠がある場合はもちろん別。だけど例え連れ去った妻が無職だったとしても、「今後働く」という見込みさえあれば親権が取れるのだと、由伸さん。

よ:日本では、①母親、②連れ去った側、の順が優先順位となり、親権が取れるんです。

―って、皆さん、ご存知でしたか?―恥ずかしながら、私は知らなかったです。性別がどうあろうが、教育に相応しい環境と資質を備えた者が親になるべきだと感じるけれど、司法は子供を育てるのは母親が最善だと判断しているのですね。

娘を連れ去った妻から裁判でDVを訴えられて…

さかい(以下、さ):でも、そんなことってあるんですか…(絶句)。どう考えても、由伸さんの場合は奥さんがおかしいじゃないですか…。

よ:そう思いますよね。でも、司法は母親を信じて守るというスタンスの元に成り立っているんです。だから、妻が裁判で離婚理由は僕のDVだと主張して来たので、こちらがDVをしていないという証拠を提出しなければいけなかったんですよ。

さ:え、普通に考えたら向こうが「DVされた証拠」を提出すべきなのに、言いがかりをつけてきた上に、「DVしてない証拠」って一体!?

よ:そうなんですよね…。だけど僕の場合はカメラが趣味で、毎日奥さんと子供の写真を撮ってたんです。だからそれが決定的な証拠になりました。DVされてたら、そんな毎日笑顔で子供と写真に映ったりできないですもん、普通に考えて(苦笑)。

―「日本の憲法は明治時代に作った法律をそのまま継承しているから、今の時代にそぐわなくなっている」とは由伸さんの弁。

私たち女性が「弱者」だと見なされていた時代には弱者を守るために機能していたのかもしれませんが、こういう話を聞くと、たしかに色々と問題がありそうに感じます。

裁判に負け、親権は妻の元へ

さ:でも、裁判って弁護士勝負じゃないんですか? 腕のいい弁護士を雇えば、勝てるとか、ないんですかね?

よ:親権に関しては、弁護士の腕ではどうにもならないのが現状みたいです。さっき言ったように、僕のようなケースだと、今の法律では99%勝てない。負けるとわかっている裁判だから、誰も引き受けたがらないんです。

結局3年近くかかった裁判の末、親権は奥さんの元へ。DVの事実は立証されなかったため(当たり前だ)、慰謝料はナシ。由伸さんが現在6歳になる娘の養育費を払う義務を負い、会えるのは1か月に1回という判決が下されました。

この養育費に関しても裁判の時点でのお互いの収入から算出されるため、どうやら奥さんは裁判中は収入をわざと低くなるようにして働き、その分由伸さんが養育費を多く支払うように仕向けていた模様。

普段は女性側がDVやモラハラの被害者になったケースの話しか耳にしないので、「どうすればヒドい夫と穏便に別れられるか」という悩みばかりを考えていたけれど、法律を逆手に取るとこんなことが可能になるなんて…。なんだかフクザツな心境です…。

そんなワケで、長くなったので、この離婚を通じて由伸さんが感じたことは、次回に続けたいと思います。

※裁判の結果や取材者本人の解釈の内容は、インタビュー取材時の話を元に構成されており、この限りではありません。

 

インタビュー・文

さかいもゆる

出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。

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