イギリス生活の2年間で、母娘ともに自由になった!
●PROFILE
エリさん・41歳・東京都港区在住
リサーチ会社勤務
11歳(女児)の母
○前編:やっぱり海外で暮らしたい! 離婚を経て母娘イギリス留学へ
いちばんの収穫は内面の変化でした
3年間の準備期間を経て、念願の母娘イギリス留学へ。期間は、大学準備コースとマスター取得を合わせて2年。それは、私にとっても娘にとっても、新しい価値観に触れる、貴重な時間でした。
朝、娘を小学校に送って行き、その後私は大学へ。授業が終わる時間に合わせて迎えに行きますが、授業の都合でお迎えに間に合わないときは、娘の学校のママ友が面倒を見てくれたりもしました。大学の先生に許可をもらい、授業に一緒に連れて行ったこともありました。
家に帰って夕食を作り、そこから寝るまではまた勉強の時間。やってもやっても勉強が間に合わなくて、でもまたそれが楽しくて。マスターを取得するのは、並大抵のことではないと痛感しました。
そうやって得た学位は大きな収穫ですが、それ以上に大きかったのは、私自身の内面の変化でした。
日本にいたときは、シングルマザーである自分にどこかで引け目を感じていたけれど、海外ではそんなこと誰も気にかけない。何もかもが平等で実力主義。そして個人の人間性を見て接してくれる。年齢や性別、社会的地位や人種…それも関係ありません。人の目や世間体を気にするのではなく、自分の好きな事に向かえばいいんだ。それも楽しみながら。そうわかって、すごく気持ちが楽になりました。
そして娘のほうはというと、行く先々でふつうに出会う、さまざまな人種、宗教、習慣やファッション…に触れて、その中に混じって生活することを、当たり前に受け入れている。みんな違って当たり前。こうしたことを肌で感じることは、その後の財産になりました。
娘は「ホテルウーマンになりたい!」
けれど、いざ日本に帰って就職活動を始めると、やっぱり壁にぶち当たります。帰国後に面接を受けた企業では、年齢制限で諦めなくてはならないところも多かったし、年齢制限がないからと受けてみれば「シングルマザーだけど、大丈夫?」というような、仕事能力とは関係ない質問をされたり。これをイギリス人の友人に話したら、「ありえない!」「裁判で訴えるべき!」って(笑)。ほんとうに、そうですよね。
正直、早くに留学して、40歳の壁にぶつかる前に転職までを済ませてしまったほうが、よかったのかもと思うこともあります。でも、時間を戻すことはできないし、年齢制限なんて言っている遅れた会社は、こっちから御免です。となれば、これからの時代、自分から仕事を開拓していくしかありません。
日本で娘の小学校転入が落ち着いた4月、私は内定をもらった会社に入りましたが、これがゴールではありません。今、リサーチ会社でお客様からの問い合わせに対応する業務をやりつつも、私が本当にやりたいのは、もっと別のところにあります。リサーチをしながらそれを分析し、医薬品・医療業界への提案につなげていくこと。それをずばり表す言葉や職種はいまだ見つかっていませんが、ないならば自分がつくっていく。すでにできているルールや仕事にあてはめて考える必要は、ありません。
働く先は、政府の機関かもしれないし、民間企業や研究所かもしれないし。はたまた、どこか海外かもしれないし、どこにも所属しない働き方がいいのかもしれない。入り込める場所と可能性を探してきます。一度の転職で、目指す仕事につけなかったとしても、それはすべて過程。海外のように転職を繰り返しながら、少しずつ目指す仕事に近づいていけばいい。いろんなこだわりやしがらみから自由になった私には、そんな仕事の仕方が合っているような気がしています。
そして娘は、10歳にして「ホテルウーマンになりたい!」と。ヨーロッパを旅する中で見た、ホテルウーマンのように、たくさんの国の言葉を話し、いろんな国の人と接するのが、夢なのだそうです。
さて、私と娘、どちらが早く夢にたどり着けるかわかりませんが、それぞれがいきつけた好きな道を、お互いに応援し合えたら。目指すは「親友のような親子」です。
▲娘と一緒にならっている「ロータスフラワーペインティング」。左の赤い作品がエリさんのもの、右が娘の作品。
●ワーママ転職成功の法則
1、やりたいことがあるなら、勇気をもって行動を起こす
2、目指すものがあるなら、時間はかかっても諦めない
3、でも無理はせず、自分のペースで!
南 ゆかり
フリーエディター・ライター。半年にわたって取材・執筆した書籍『真夏も雪の日もかき氷おかわり!』発売中! ほかに書籍『今の私は』(後藤真希・著)、Oggi誌面インタビュー連載「この人に今、これが聞きたい!」「お金に困らない女になる!」などなど。