Q.10年前に離婚。最初の5年目以降、養育費支払いが滞っていますが、過去に遡って請求は可能?
離婚の原因は、元夫の借金、嘘だらけの話、金遣いが荒く生活費がなくなってしまい、これでは子供達の将来を守れないと思ったこと。
離婚時に、養育費として毎月10万円を支払ってもらう約束をしましたが、途中から支払いが滞ったため、家庭裁判所に相談。子どもが20歳になるまで毎月45,000円を支払うことで同意し、4年間ほど支払いがありましたが、また支払わなくなりました。本人は病気になって支払えなくなったと言い、それっきりです。
最後に支払いがあったのは3年前の4月。連絡を取るのも嫌になり、それ以降連絡をしていません。離婚後当初は子どもも父親に会っていましたが、そのうち父親が「忙しいから会えない」というようになり、子どももだんだん察したのか父親に会いたいと言わなくなりました。
父親の責任も果たさないような父親を本当に情けなく思いますし、子どもも大きくなり父親の話も全くしなくなりました。ですが、二男は来年から大学に行く予定で学費も必要です。もう元夫とは関わりたくないしですが、養育費があればもっと楽になるので、可能なら支払って欲しいとも思います。
どのようにすれば支払ってもらうことが出来ますか? また、未払いだった時期の分も遡って支払ってもらうことは可能でしょうか?(宮城・43歳・18歳と21歳の2児のママ)
A,「一般的には、次男が大学に進学したとして、その費用を元配偶者にも支払って欲しいという要求は認められないことがほとんど。なぜなら大学進学は両親の協議によって決めることだと見なされ、他方が承認してもいないのに、その学費を養育費とは別に要求することはできないからです。
また滞っている養育費については、給与の差し押さえということもできるでしょうが、こちらも、元配偶者がどこに居てどんな仕事をしているのかで状況は変わってきます。過去の分に関しては、まとめて請求をしても支払ってもらえない場合には、裁判手続きを取る必要があります。
それと、家庭裁判所で月々45,000円の養育費で合意したということですが、それはいつの話で、調停として調書を作成しているのか。また、その金額は何人に対してなのか、など、家庭裁判所での合意の正確な内容がわかれば、より詳細にお答えすることができます。必要な詳細な情報を細かく聞くことで、初めて法律相談が役に立つアドバイスとなる。―これが弁護士の仕事がフルオーダーメイドだと言われる所以です」(中川裕一郎先生)
●本連載では離婚に関する慰謝料や養育費など、法律的な悩みや疑問にプロの弁護士が直接回答します!ご相談ごとがあるかたは、domani2@shogakukan.co.jp またはこちらのフォームより詳細の情報をお寄せください(お子さんの年齢、性別、ご自身の職業などをお知らせください。より詳しい回答ができます)。 メールの場合は件名に「離婚相談」と書いてなるべく具体的な内容をお送りください。すべてのご相談にお答えできるとは限りません。あらかじめご了承ください。
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お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカーとして世界に飛び出し、地球を一周回ってみつけた社会的正義を実現するという生涯の目標のため弁護士に。紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にすべく日々奮闘中。親身になってアドバイスをくれる人情派弁護士として、依頼者たちからの信頼も厚い。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの人気連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。
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