曖昧な関係だった彼から突然のプロポーズ
前回のお話▶︎結婚直前に浮気発覚した彼と結婚したらやっぱり浮気された話
付き合ったり別れたりを繰り返し、なんだかあやふやな関係だった秀子さんと同僚のAさん。そんな状態のまま、契約社員の秀子さんが契約終了の3年目を迎えます。
秀子さん:そろそろ仕事でもプライベートでもシフトチェンジしなきゃなと思っていたときに、社内で好きだと言ってくれる人が現れたんです。
その彼とデートしていた秀子さんに、Aさんから久々の食事のお誘いが。彼からの名古屋に転勤になったという報告を受けて、「時間があったらそのうち遊びに行くね」と社交辞令で答えたら、「3月に契約終了になったら、秀子も名古屋に来る?」と、突然のプロポーズめいたセリフが飛び出したのです。
秀子さん:しばらく疎遠になっていたのに、なぜ今?という感じでした。彼も30歳だったので、いろいろ計算もあったのかもしれませんね。でも私はやっぱり彼が好きだったので、デートしていた別の社内の相手にはわけを話して謝って。Aさんと結婚して名古屋に行くことを決めました。
九州が勤務地だったため、3月の契約終了までは結婚準備のため、週末になるたびに名古屋に通う生活が約5か月続き、4月に引っ越し→入籍→挙式がバタバタと完了。
ところが、引っ越してすぐに「なんかおかしいぞ」と、女の勘が働きました。
秀子さん:彼の「今日遅くなるんだよね」という一言で、ピンときたんです。浮気してるな、って。
たった一言の言葉のトーンで浮気に気づくんだから、女性の直感ってすごいですよね。科学的にも、女性には「いつもと違うという違和感」に敏感な特性があるらしいですよ。
このときの違和感を見過ごしたまま結婚してしまったのが致命傷に。結婚後、1週間で秀子さんは再び、Aさんの浮気の気配に気づいてしまいます。
さかい:どうやって発覚したんですか?
秀子さん:実は決定的な証拠はなかったんですが、「何かおかしくない?」と聞いたら、彼が白状したんです。前回おかしいと思ったときと同じ相手でした。婚姻届を提出するのがあと1週間遅ければ良かったのに、と思いました。「何をしてくれたんだこいつは…」と。
同じ局内の男性を振って結婚したこともあり、プライドの高い秀子さんは、Aさんの浮気のことを誰かに相談もできず。今さら離婚というのも対面が悪いので、しばらくは黙って結婚生活を続けることに。
秀子さん:挙式は神父様ではなく、参列者たちに誓う人前式スタイルだったのですが、「この人は何をもって私との結婚を誓ったんだろう」と思いました。でも今思えば、引っ越し前から様子がおかしいと感じることはあったんですよね。だけど結婚したら彼も落ち着くかなと思っていたんです。でも、そうはならなかった。
そこからは秀子さんの夫に対する不信感が募り、彼女にとって、夫は「ただの同居人」と化しました。こうやって仮面夫婦が生まれていくのですね……。
そんな切ない秀子さんの仮面夫婦エピソードは、次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。