プロポーズが彼の愛情表現のMAXだった
前回のお話▶︎共感力ゼロの夫に身体が拒絶反応を!
出産してから共感力ゼロの夫に気づき、愛情が冷めてしまった多恵さん。旅行先で一時はレスが解消されて盛り上がったものの、決定的な出来事が起こります。
多恵さん:結婚4年目の結婚記念日に、「息子を預けて久々にふたりでディナーに行きたいな」と夫に伝えていたんです。そしたら向こうはそんなことすっかり忘れてて。それを言われた瞬間に、愛情が「無」になりました。私、サプライズ大好きなロマンティストなんですよね。ここは花束のひとつも用意して、『いつもありがとう』くらいは言って欲しかった……。だけどよく考えたら、そういう自分を彼の前で出したことがなかったんですよね。交際中は嫌われたくないからそういうのを言ったことがなかった。言ったことないなら知りようもないですよね。
そう反省する彼女。
アラサーで、今までの恋人とは感情的になりすぎたことでダメになってしまったという自覚もある。そんな〝やっちまった〟体験の積み重ねがあると、自分の本当の感情を出すのが怖くなりますよね。その気持ち、同じ感情派の私には、すごくわかります。
さかい:それにしても、そんなロマンティストな多恵さんが、なぜそういう男性と結婚したんですか? タイプが真逆に思えますけど……。
多恵さん:それが、その家族旅行で訪れた奄美大島がふたりの思い出の地で。そこで彼がすごくロマンティックなプロポーズをしてくれたんですよね。ふたりで海に潜ったら、海中に浮きがあって。「あれなんだろう。ちょっと引っ張ってみて」と言われて引っ張ったら、「Will You Marry Me?」と書かれたプレートだったんです。今思えば、彼としてはかなりがんばってくれたんでしょうね。でもそれも、もしかしたら周りに「俺はこれだけがんばったんだぞ」っていう誇示のためで、私のためではなかったんじゃないかなと。
さかい:モラハラ男性って、付き合っているときはそういうことして周りにアピールするって言いますもんね。だけど何かモラハラ的な兆候はなかったんですか?
多恵さん:彼が以前結婚しようとした相手がいて、式場の予約までしていたのに、相手の浮気がわかって破談になったらしいんです。浮気に気づいたとき、婚約者に興信所をつけて浮気を突き止めて婚約不履行で訴えたという話を結婚してから聞いて、「この人は自分にされた攻撃は絶対にやり返すんだな」と怖くなったことはありました。
さかい:機能不全家族で育ったとか、そういう彼の家庭環境的な背景はどうですか?
私がこう聞いたのは、モラハラになる人というのは子供の頃に自分の感情を抑えないといけないような家庭で育った、自己肯定感が低い人が多いと聞いたことがあるからです。
多恵さん:ご両親が高齢で産んだ子供で、お兄さんとひと回り以上年の差があるんですよね。とてもいい方たちなんですが、彼に聞くと、両親とも教師で鍵っ子だったとか。そのために病気で寝込んでも、おにぎりを置いてお母さんは仕事に行ってしまうし、自分の気持ちを出して素直に甘えたりする場面がなかったようなんです。本人は「さみしくなかった」と言ってるけど、本当は甘えたくて我慢してたんじゃないかな。
結婚してからは家計はすべて夫が握り、相談した弁護士には「それも立派なモラハラですよ」と言われたそう。
結婚前に気づけたら……と思うけれど、お互いにいいカオだけ見せて付き合っている恋人時代には、なかなか見抜けないのかもしれませんね。
そこからシブチン夫に養育費の交渉をして離婚成立するまでのお話は、次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。