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FASHION おしゃれプロ

2018.03.08

超人気スタイリスト・辻直子さんがファッションで大事にしているのは「好き」かどうか

 

本当におしゃれな人は、MYルールをもっていて、好きなもの、大切にしていることがあるということは、あえて着ないものや取り入れないこともあるはず。スタイリスト・辻直子さんのこだわりをうかがいました!

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スタイリスト辻さんは、〝好き〟という気持ちをゆずらず、〝ベーシック〟という言葉の響きに流されない

パリジェンヌを思わせる、女っぽくて余韻のある着こなしが辻さんの代名詞。「辻さんが着るからなんだか素敵」という独特のムードは、まさに女の憧れです。

「スタイルのある大人の女を目ざすなら、世間でいう〝ベーシック〟=だれにでも似合う共通アイコン、ではないということを理解するのが大事だと思います。〝ベーシック〟ってその人のスタイルの〝軸〟になるもの。だから人によって違ってあたりまえなんです。ちなみに、私のベーシックは、『ヒール・コート・ワンピース』。世間で〝永遠のベーシック〟と見なされている『ライダース・トレンチコート』は着ません。アイテム自体が嫌いとか、似合わないとかではなくて、着た感じが〝なんか違う〟んです。なりたい女性像にならないというか…。これは本当にいろんなブランドのものを、試して試して試した結果。だからすっぱりあきらめました(笑)」

似合う、似合わないの先にある、自分が目ざす自分でいられるか否か。これこそが、辻さんの服選びの決め手のようです。

「お店で試着するときや出かける前にコーディネート全体をチェックするときは、自分と洋服とのバランスをすごく気にします。感覚的なことなのでうまく説明しづらいのですが、洋服が立ちすぎずにちゃんと〝私〟という人間に着地しているかどうか。これが何よりも大事ですね」

辻さんの着こなしがいつでも〝辻 直子〟として成立しているのは、きっと頭ではなくハートで洋服と向き合っているから。辻さんは、〝好き〟という気持ちにまっすぐな人とも言えます。

自分が好きと思える服は失敗知らず

「ほぼ毎日ヒールなのですが、これもヒールを履いたときの自分の姿が好きだから。スタイリストって動き回る職業なのでけっこう驚かれますが(笑)、足が疲れにくいほうなので全然平気。それから買い物するときも、〝好き〟という気持ちが常に先にありますね。手もちの服に合うかとか、どんなシーンで着られるかとか、そういうことはあとから考えます。私ももう40代。積み重ねてきた経験があるから、年相応に、きちんと社会性をもって着こなす術は知っています。だから、それを着た自分の姿を素直に『好き』と思えたなら、絶対になんとかなる。それにちゃんと気持ちがあって選んだ服って失敗しないんです。服選びって、なんだか恋愛と似ているのかも(笑)」

「今シーズン買ったお気に入りのコートは、首元まで留めて、すっぽり〝覆う〟感じで着こなします。すそからのぞく赤をアクセントに」コート/ステラ マッカートニー ワンピース/ナオコ ツジ+メゾン ド リーファー ピアス/マリア ブラック バッグ/サカイ 靴/ジャンヴィト ロッシ

好きな服を着ることで、人生はもっと彩り豊かになる

 感覚的である一方で、客観的であることも、辻スタイルの重要なキーワードです。

「客観的な目線で自分を研究することは、〝軸のあるおしゃれ〟に欠かせないこと。私の場合、少年っぽい骨格を生かして、コーディネートは〝覆う〟か〝見せる〟か。〝覆う〟なら首から脚まですっぽり覆いますし、〝見せる〟ならデコルテも脚も潔く見せる。いろいろ研究した結果、このバランスが自分の体型や雰囲気を魅力的に見せてくれる気がするんです。それからヘアスタイル(やわらかい髪質で、ちょっとくせ毛です)を人からほめていただくことが多いので、長さをキープしてコーディネートの一部として考えるようにしています」

私たちは大人になればなるほど、あきらめなければならないことが増えると思いがち。でも辻さんを見ていると、いつだって前向きにおしゃれを楽しんでいる印象です。

「欲しいものがない、なんていうときは全然なくて(笑)。仕事で新しいシーズンの洋服をリースするときも、プライベートで買い物するときも、いつもワクワクしています。ファッションにおいて常に私が突き動かされるのは、『着てみたい!』という探究心。だからこれからも、自分の気持ちに正直に、服を着て、生きていきたいです」

「6割コンサバ」の作り方』 ¥1,500 集英社

『BAILA』の人気連載「ザ・辻 フェミニン」をまとめた一冊。きれいで女らしくて、色あせない―辻さんの提案するキーワード「6割コンサバ」をテーマに、そのおしゃれ哲学を堪能できる。撮りおろしの私服スナップも充実。

スタイリスト

辻 直子さん

ファッション誌はもちろん、女優、タレントのスタイリング、ブランドのカタログ、ディレクション、イベント…、多岐にわたって活躍するスタイリスト。女性像までをも想像させるスタイリングにファンも多い。 私服やライフスタイルがのぞけるインスタグラムも人気。

Domani2018年2月号『スタイルある女が「してること」「してないこと」』より 本誌撮影時スタッフ:撮影/柴田文子(étrenne/人物)、寺山恵子(静物) ヘア&メーク/桑野泰成(ilumini.) 構成/今村紗代子

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