ブレない強さ、冷徹な態度、秘めた優しさ…。もっと知りたくなる黒木先生の魅力
あの「スーパー塾講師」が土曜夜のドラマになると聞いて、「待ってました!」「いよいよ!」と声をあげているママたち、きっと多いことでしょう。スーパーな講師とは、大人気のコミック『二月の勝者―絶対合格の教室―』(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中)の黒木蔵人。ドラマでは、柳楽優弥さんが演じます。
Domaniでは、ひとクセもふたクセもある黒木になりきっている柳楽優弥さんにインタビュー。中学受験を描くストーリーをとおして、ママたちに伝えたいことを特別解説していただきました。
冷徹なセリフを連発? その真意は
「クセが強いだけでなく、黒木は思ったことをストレートに伝えるし、冷徹な態度をとることもあります。その発言には、人からどう思われるかとか、好かれようとかが、一切ありません。相手や状況を俯瞰して、そのうえで必要なことをストレートに伝える。僕自身は、そんなリーダーにとても心強さを感じています。堂々としている様子は、魅力的にさえ思えてくるんです」と柳楽さん。
▲第一話より(提供:日本テレビ)
その代表的なセリフには、
「塾は“子どもの将来”を売る場所。生徒は“金脈”、その親たちは“スポンサー”だ」
(合格へ導くのにいちばん大切なことは)「父親の経済力と母親の狂気」
「塾講師は『教育者』ではなく『サービス業』ですよ」
などなど。ドス黒さがあるけれど、見方を変えれば、たしかに柳楽さんがいうように「心強いリーダー」や「堂々として魅力的な人」にもなる。その理由を、「言葉の奥では家族や子どもに寄り添っているし、とても人間的だから」だと柳楽さんは分析する。
黒木の言葉は価値観を変えるチカラがある
黒木先生が「親や子どもに寄り添っている」のは、ドラマのスタート時から多くの場面で見ることができる。柳楽さんが特に印象に残っているものをあげてもらうと――。
「サッカー選手を目指す子どもに、高校受験より中学受験がなぜ向いているのか、“サッカー選手としての” 将来をみすえて、黒木はアドバイスします(第1話)。受験によって小6でサッカーを中断するか、中3で中断するか、その説明は、“確かに”と思わされるし、価値観が変わります。
また、受験生への母親への気遣いも忘れません。子育ての苦労をねぎらい、『(子どもを)我々と一緒に支えましょう』と話します(第2話)。
ほかにもドラマではいい言葉がたくさんあるし、僕はそんな黒木にはとても人間味を感じているんです」
柳楽さんがこう指摘するとおり、ドラマは名ゼリフのオンパレード。それも、現代の中学受験事情をリアルに反映し、実践的で膝を打ちたくなるものばかり。現実に受験を控えている家庭にとっては、身にしみる。人気コミックのドラマ化というだけでなく、「受験ドキュメンタリー」とも呼ばれるのは、こんなところに理由がありそうだ。
▲第一話より
子どもの直感を信じてやらせてあげたい
黒木先生ともう一方の主役でもある生徒たちは、小学6年生になったばかりという設定(11~12歳)。柳楽さんが俳優の道に進み始めたのもこの年代で、自身と生徒役の子どもたちを重ね合わせながらも、「昔も今も、子どもは意外と変わらないものかも」と目を細める。
「僕自身は、とにかくモテたい、そして演技をやりたい、と思っていた子どもでした。勉強は嫌いだけど体育は得意で、受験もイヤだった。ドラマの子どもたちのように進路を悩むというより、どうやったら演技がうまくなるかだけを考えて、今までやってきました。その結果、いろんな偶然や人との出会いが重なって、俳優を続けることができた。本当に幸運なことだと思います。
ただ、誰もがやりたいことを早くから見つけられるかというと、そうもいかないのが現実だと思います。僕が親の立場になってみて、何かを伝えられるとしたら、『人に迷惑をかけること以外なら、やりたいことをやってみればいい』。直感でもいいから。案外子どもの直感は鋭いし、親はそれを信じてやらせてあげればいいんです。僕も親からやらせてもらってきましたから。たとえ失敗しても、失敗を通じて身の丈を知るし、失敗して周囲と話す中で、やりたいことを探していけばいいんだと思います」
柳楽さん自身は、勉強が嫌いだった子ども時代を経て、大人になった今、改めて学ぶことへの関心が高まっている。
「今年は一級小型船舶操縦士免許を取りました。ここ数年でいちばん勉強して苦戦もしたけど、僕のやり方は問題と答えをひたすら覚えていく方法でした。次は…ヘリコプターの操縦免許でも取ろうかな。そして、やっぱり語学はいつでも勉強していたいと思います。以前に演技の勉強でニューヨークに滞在したとき感じたのは、やっぱり文法の基礎は学んでおいたほうがいい、ということ。今からでも勉強を再開したいですね」
ドラマ撮影が始まったら、しばらく自身の勉強はおあずけ。カリスマ塾講師になりきって、これから数か月間を乗り切る。そんな中でホッとする時間は、「家で家族と過ごす時間」。ちなみに、ドラマ『二月の勝者』のオンエア時間である土曜夜10時、ふだんはどんなふうに過ごしているかというと…。
「休日なら家でお酒をたしなんでいます。10時ころはそろそろ2杯目くらいの時間です」(笑)。
10月16日(土)夜10時スタート!
新土曜ドラマ「二月の勝者―絶対合格の教室―」
主人公・黒木蔵人は、業界最大手の名門中学受験塾から、業績不振の中堅塾「桜花ゼミナール」に校長として迎えられたスーパー塾講師。着任早々、新6年生に「絶対に全員を第一志望に合格させる」と宣言。さて、中学入試の来年2月までにその約束は果たせるのか…? 未来を生き抜くために今、子供たちに教えるべきことは何なのか。そこから見えてくる「家族問題」「教育問題」など、現代社会のさまざまな問題に切り込む奥深さにも注目。桜花ゼミナールの新任講師・佐倉麻衣役に井上真央、超名門中学受験塾「ルトワック」のトップ塾講師・灰谷純役に加藤シゲアキが出演。 毎週土曜夜10:00-10:54 日本テレビ系にて放送
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/2gatsu/
2018年1号から連載され、単行本は累計200万部以上を突破する人気作。中学受験のリアルな描写、心に響く名ゼリフにより、大人も子どもも楽しめる「人生攻略ストーリー」。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09189792
俳優
柳楽優弥
やぎら・ゆうや/1990年生まれ。東京都出身。2002年に映画『誰も知らない』のオーディションを受け、演技の経験がまったくないまま主役に抜擢される。同作により『カンヌ国際映画祭』において史上最年少で最優秀主演男優賞を受賞。一躍注目を集める。近年の出演作に、ドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)、『太陽の子 GIFT OF FIRE』(NHK)、映画『ディストラクション・ベイビーズ』などがある。
撮影/黒石あみ ヘア&メイク/勇見勝彦 取材・文/南 ゆかり