この場合、原因は「うっ血」です。身体を動かしたり、横になったりするなど、うっ血を解消する動作をすると、出ていたいぼ痔が中に入るのです。
肛門をうっ血させないように1時間に1回は身体を伸ばしたり、動かしたりするなど、座りっぱなしにならないように気をつけましょう。
こまめに水分を摂る
冬は乾燥しやすい季節であるうえ、水分補給がおろそかになりがちです。肌が乾燥するとカサカサしたり、ごわついたりするように、体内の水分が不足すると便が硬くなり、出しにくくなります。硬くなった便を無理やり出そうとすると肛門が切れて、切れ痔になりやすくなるのです。
また腸の動きも悪くなるので、便秘を引き起こしやすくなります。こまめに水分補給をするだけで便秘が改善される方もいるので、下剤やサプリに頼る前に「こまめな水分補給」をオススメします。
こまめな水分補給とは、のどが渇いてから飲むのではなく、のどが渇いていなくても少量ずつ飲むことです。口の中を湿らす程度でかまいません。飲む物は、水やお茶、紅茶など、基本的には何でもかまいませんが、できるだけカフェインが入っていないものを推奨します。
ただし、冷たい飲み物は身体を冷やしてしまうので、温かい飲み物がオススメです。少量ずつこまめに飲むことで、トイレが近くなることもなく、しっかりと便通の改善に効いてくれるでしょう。
キレイに拭き取れないときの対処法
排便後、キレイに拭き取れない、何度拭いても便がついてくる……そんなとき、温水洗浄したくなるかもしれません。それは便がスッキリ出し切れずに肛門の中に残っている証拠です。本来なら便を出し切ってほしいのですが、どうしても出し切れず困ったときは、温水洗浄をせず、「自家製ウェットティッシュ」を作って拭くことをオススメしています(お尻の洗いすぎの問題は『「温水洗浄便座で洗いすぎのお尻」が大変なワケ』を参照ください)。
脱脂綿や化粧用コットンなどを水道水で濡らして自家製ウェットティッシュを作り、それで肛門を拭くだけです。便の汚れが取れやすく、キレイに拭き取れます。ただし便器に流さないこと! トイレットペーパーと違って水に溶けないため排水管が詰まってしまいますのでご注意を。汚物入れに捨てるなどしてください。
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肛門科医/大阪肛門診療所副院長
佐々木 みのり(ささき みのり)
大腸肛門病専門医・指導医。大阪医科大学卒業後、大阪大学医学部皮膚科学教室入局。4年間、皮膚科医として勤務後、1998年より肛門科医に転身。同年7月に肛門科女性外来を開設。
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