「垣間見える」とは?
「垣間見える」という言葉を学ぶ前に、まずは基本的なことからチェックしていきましょう。
読み⽅と意味
「垣間見える」は「かいまみえる」と読みます。「垣間」という言葉は、垣のすきまのこと。「垣間見える」の意味は、チラっと見える、ものごとの一部を知るという意味です。ですが、実はこの「垣間見える」という言葉、辞書で調べても出てこないことがあります。この理由に関しては、次で解説いたします。
「垣間見える」と「垣間見る」の違い
実は「垣間見える」は本来、「垣間見る」というのが正しい表現。ただ、「垣間見える」も日常の会話ではよく使われており、誤用と断定してしまうほどのものではなく、許容の範囲だという考えが多いようです。
語源
「垣間見る」は、古くは『竹取物語』や『源氏物語』などの古典で見られる言葉です。当時の高貴な女性は、顔を表に出すことなく暮らすというのが一般的でした。そこで、なかなか見る機会のない女性の顔をチラっと見ること、ものの隙間から覗き見ることを、「かいまみ(垣間見)」と言っていたのです。
『竹取物語』では、かぐや姫の顔を垣間見ようと、多くの人が翁(おきな)の家に押し寄せました。また、「垣間見る」シーンが数多く登場するのが、紫式部の『源氏物語』です。主人公の光源氏は、若紫(のちの紫の上)や、空蝉(うつせみ)を垣間見しています。光源氏だけではなく、『源氏物語』には、登場人物の男性が高貴な女性を「垣間見る」シーンが度々描かれています。
「垣間見る」、「垣間見える」があるのなら、「垣間見せる」という言葉もあるのではないかと思われるかもしれませんね。「垣間見せる」も、ある意味「垣間見る」の派生と言えなくもありませんが、こちらは一般的に使われることはなく、許容されている「垣間見える」ほど市民権を得ているとは言えないでしょう。また、「垣間見れる」という言葉もチラホラ見かけますが、この「垣間見れる」というのは、「垣間見られる」の「ら抜き言葉」です。
「垣間見る」、「垣間見える」、「垣間見せる」、「垣間見れる」。似たような言葉が沢山出てきて混乱しますが、正しくは「垣間見る」、許容されているのが「垣間見える」と覚えておきましょう。
「垣間見える」の使い⽅を例⽂でチェック
ここでは、「垣間見る」と、許容とされている「垣間見える」の使い方を、例文を用いて解説していきます。
彼女の意外な一面を垣間見た気がした
「垣間見る」は、チラっとみる、ものごとの一部を知るという意味だということを、冒頭で説明しました。この例文では、ものごとの一部を知るという意味で「垣間見る」が使われています。彼女の意外な一面を知ったという意味になります。
ふとしたことで、彼の優しさが垣間見えた
こちらは覗き見たという意味ではなく、上の例文と同じく、ものごとの一部を知ったという意味で使われています。
厳重な警備で、中の様子を垣間見ることはできない
この「垣間見る」は上の2つとは異なり、チラっと見るという意味の「垣間見る」です。警備が厳しくて、中の様子を少しでも見ることもできないという意味で使われています。
類義語や言い換え表現は?
「垣間見る」、「垣間見える」の類語や言い換え表現についても、チェックしておきましょう。