レスが当たり前だと思っていたけれど、もしかして違うの!?
結婚9年目の同世代夫と暮らす39歳の若菜さん(仮名)。子どもが生まれてからはだんだんと夫との夜の生活がなくなり、もはや3年以上“完全なるレス”が続いています。
「でも、いろんな記事やテレビで“日本の夫婦はほとんどがレス”って見聞きするので、それが当たり前だと思っていたし、改善しようとも思ってきませんでした。私も夫も、お互いにそういうことには飽きてしまったというか、そういうムードになることがないので、無理にするものでもないしって思っていて。
夫とレスについて面と向かって話をしたことはありませんが、夫ももともとそんなに積極的ではないほうだから、今の関係に不満はなさそうに見えます。
ところがこの前、家族仲も夫婦仲もいいママ友のひとりから『夫婦仲がいい秘訣は、やっぱり夜の生活。レスでも平気って言っている人は強がりだと思うし、無理をしているようにしか見えない』という話を聞いたんです。その場にいた他のママ友たちも『わかる〜!』『レスなのに円満は、やせ我慢だよねー』って同意していたのを聞いてから、モヤモヤしてしまって…」
私も「強がっているだけ」かもしれないという不安
「そのママ友と話をして以来、どんなに夫婦仲が円満なふりをしていても、やっぱり夜の関係がないというのは、本当に仲がいいわけではないのかなっていう不安を覚えるようになってしまいました。
自分のことを振り返ってみると、インスタグラムに家族仲がよさそうに見える写真をポストして、頻繁に家庭料理も投稿して“円満家庭”に見せているけれど、そういうふうに見栄を張っている時点で、本当は仲良しじゃないってことなのかもしれないって、心のどこかでずっと思っていたんです。本当に円満なら、わざわざSNSで円満な様子ばかり選んでポストすることもないんじゃないかなって。
実際、うちの夫婦は喧嘩もないし穏やかではあるけれど、深い絆で結ばれているって感じでもないし、そんなに円満なほうではない気がします。
だからそのママ友の話は、私が感じていたそういう漠然とした不安の根底にあるものを、ズバリと言い当てられたような気になってしまい、それからモヤモヤが止まらないのです」
若菜さんは現在、レスの改善を積極的に望んでいるわけではないけれど、レスが解消しない以上は、自分がずっと漠然と抱えていた夫婦仲への不満は解消しないのかもしれない、という悩みを抱えています。当然ながら夫婦仲や家庭円満の秘訣が夜の生活だけにあるわけではありませんが、レスが続いている妻には、若菜さんと同じように漠然とした不安を覚えている人もいるのではないでしょうか。
理想の夫婦生活のあり方は夫婦の数だけ異なるとわかっていても、心の底から「私たち夫婦は円満だ」と言い切ることのできない状況にあると、レスが夫婦仲に不満を抱く原因だと感じても無理はありません。しかし「第4回【ジェクス】ジャパン・セックス・サーベイ 2020」の調査結果によれば、既婚者でレスにあるカップルはおよそ半数。もちろん自然にレスではない夫婦関係を継続できるに越したことはないのでしょうが、仮にレスであっても夫婦間で納得できる関係を構築できているのなら、周囲の言葉に惑わされすぎることはないのではないでしょうか。
取材・文/並木まき