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LIFESTYLE 私の生き方

2017.08.28

女、妻、母、 働くいい女の「火曜14時」 今月の母:山田香織さん

女、妻、母、それぞれの働く素敵な女性の生き方をクローズアップしたDomaniの人気連載。魅力あふれる女性たちの姿をお届けします。

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シニア男性の趣味だった盆栽に新たな風を吹かせたい。家業を継いで18年、モチベーションの源は女性に生まれた弱みを強みと捉える〝挑戦者の快感〟でした。

今月の母:山田香織さん
盆栽 清香園(せいこうえん) 五代目 
彩花流盆栽(さいかりゅうぼんさい) 家元・39歳

人生は学びの連続。どんなピンチも 〝やるしかない〟とプラス思考で

今や海外からも注目される日本の伝統文化、盆栽。今年4月の『第8回世界盆栽大会』は8日間で4万5000人を動員。盆栽人気の過熱を人々に印象づけた。そしてそれはかつて18歳の山田さんが夢に描いた光景でもあった。170年続く盆栽園に生まれた彼女だが、〝中年男性の趣味みたいで古くさいし、家業を継ぐのは重苦しい〟と大学は経済学部を選ぶ。

「でも、 18のときに両親と行ったフランス旅行で考え方が一転。西洋文化の奥深さに衝撃を受け、盆栽のことも〝家業〟ではなく〝日本文化〟という大きな視点で捉え直すことができたんです。どうすれば若い世代や私のような女性でも楽しめる形になるのか。挑戦して開拓して、裾野を広げていきたい。〝新しい盆栽〟の開拓者になろうと決心しました」

そのためには1歳でも若いうちに動こうと、 在学中に盆栽教室を設立。伝統的な盆栽は大自然の風景を1本の木で表現する。山田さんはより写実的な風景を手軽に楽しむことに主眼を置き、草花を用いた寄せ植えという新たな表現の〝彩花盆栽〟を提唱した。

大学卒業と同時に父に弟子入りして修業も並行。生計が立たない期間を乗り切り、結婚。翌年の出産後から仕事が一気に加速した。NHKの園芸番組の司会の仕事が決まったのだ。

30代は盆栽家であり実業家、妻であり母として奔走し続けた。過労で甲状腺の病に倒れたり、ふたり目出産の時期と初の個展が重なり、切迫早産の不安と闘いながらも個展を成功させるなど、文字どおり体当たりで仕事にあたってきた。いったい何をモチベーションに苛酷な状況を乗り越えてきたのだろうか。

「盆栽業界において女性であることはやはり弱みです。握力腕力においても限界を思い知らされる。でもそのコンプレックスを克服したかったし、負けてなるものかという気持ちが 自分を奮い立たせてくれました。くたくたで 家に戻ったら子供が熱を出して緊急外来に駆け込むこともありましたが、逃げ場のないしんどい状況でふんばる積み重ねも、自信をつけてくれました。実はつい最近なんですよ、胸を張っていいんだと思えたのは。ずっと〝盆栽なんて…〟とどこか消極的な自分がいたんです。今は性別も世代も国籍すら関係なく盆栽の素晴しさをお伝えできる。先日の『世界盆栽大会』ではそれを肌で感じることができました。長いようで、あっという間の18年でした」

40代への展望を尋ねると、意外にも〝創り手 として伝統的な盆栽を深めたい〟との答えが。「少しゆとりができたことで、盆栽家としての新たな創作意欲が湧いてきました。健康のため睡眠時間と自分のペースを大切に過ごしています。今、 40代がとても楽しみなんです」

やまだ・かおり/1978年生まれ。埼玉県出身。
盆栽園の四代目園主のひとり娘として、幼少期から盆栽の教えを受ける。21歳で彩花盆栽教室を設立。大学卒業後清香園へ入社。28歳で結婚、29歳と34歳で出産。盆栽を若い層や女性に広めるべく精力的に活動し、今年『第8回世界盆栽大会』にも出展。子育てが一段落した今改めて、 日々の料理づくりに楽しさを感じている。

Domani8月号 女[独身]、妻[既婚子供なし]、母[子供あり]」Catch!働くいい女の「火曜14時」より
本誌撮影時スタッフ:撮影/真板由起( NOSTY)  ヘア&メーク/今関梨華( P-cott ) 構成/谷畑まゆみ

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